メドベージェフから殊勲の勝利を挙げたアンベールが2021年末の苦難について語る「非常に厳しい時期だった」 [ATPカップ]
2020年に創設された男子テニス国別対抗戦「ATPカップ」(オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー/1月1~9日/賞金総額1000万ドル/ハードコート)の大会2日目のナイトセッションは、グループBとグループCのラウンドロビン(グループ内総当たり戦)第1戦各が行われた。
ケン・ローズウォール・アリーナで行われたグループB「ロシア対フランス」のエース対決で、23歳のユーゴ・アンベール(フランス)が世界ランク2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)を6-7(5) 7-5 7-6(2)で倒す殊勲をやってのけた。
第1セットをタイブレークで落としたアンベールは第2セットも0-3と劣勢に立たされたがそこから巻き返し、第3セットでも1-3から挽回して勝利を掴んだ。
将来を嘱望される若手と見なされながらも未だブレークスルーを果たせないアンベールは、原因不明の疲労に苛まれて昨年9月のチャレンジャー大会を最後に公式戦でプレーしていなかった。
昨シーズンはアンベールにとって、よい面と悪い面の双方がある年だった。アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を打破し、東京オリンピックではステファノス・チチパス(ギリシャ)に勝って準々決勝に進出したが、グランドスラム大会では2回戦を超えることができなかった。
メドベージェフに対する勝利のあとアンベールは「ここ5週間は非常にいい準備を行うことができ、凄くフィーリングがよくなっている。練習期間を通し、どんどん調子がよくなっていくのを感じているよ」と話し、昨シーズンを早めに切り上げて回復に努めたおかげで無事に復調しつつあることを明かした。
「(メドベージェフ戦で)僕は3セットともいいレベルだった。僕は今、ここにいることができて本当にうれしいんだ」
アンベールは昨年の苦境を振り返り、「肉体的にもメンタル的にも非常に厳しい時期だった。ベルシー(パリ・マスターズ)やデビスカップなど好きな大会がやってくるのがわかっていても、コートに戻ることすらできなかった。頭は戻りたがっているのだが、身体がついていかなかった」とフランスの『レキップ』紙に明かした。
東京オリンピックのあとアンベールはパリに戻って2日のうちにトロントに発ったが、異常な疲労はそこから始まった。練習でも息が上がり、1時間のプレーで脚がつった。USオープンでは45分プレーしたあと、エネルギー貯蔵庫が空だと感じた。9月28日にオルレアンのチャレンジャー大会で初戦敗退を喫したあと、1週間の休みを取ったが回復しなかった。
「練習を始めたが30分で力尽き、練習後には体中が痛んだ。普通のルーティンの練習が乗り越え難い山となった」
ナショナルセンターで調べても特に病気などであるとは診断されず、全体的な疲労ということしかわからなかった。そのためアンベールはそこでシーズンを打ち切る決断を下し、数ヵ月の休養を取ったことで心身ともにふたたびエネルギーが戻ってきた。
「僕は物事を真剣に受け止め、常に物事をしっかりうまくやりたいと思う性質だったから非常に辛いことだった。でも健康のことも考えなければならないと悟った。体に活力があり、気分がいい状態のときに人は最高の結果を出せる。このレベルで最高峰の選手に対して戦うときには110%の状態でなければチャンスはないんだ」
こう語ったアンベールはATPカップの残りに向け、「まだマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)やアレックス・デミノー(オーストラリア)に対するビッマッチがある。昨年のオーストラリアン・オープンのニック・キリオス(オーストラリア)に対する1回戦と同じく、シドニーでのデミノー戦は凄い雰囲気になるだろう。僕はこのようなビッグマッチが好きだ。しっかり準備するよ」と意欲を見せた。
フランスはアンベールの勝利にも関わらずダブルスを落として1勝2敗でロシアに敗れたが、続くラウンドロビンでベレッティーニ率いるイタリアとデミノーがエースとして牽引するオーストラリアと対戦する。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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