「年下との対戦は難しいけど、自分がベテランのように感じて楽しめるようになった」1回戦突破の大坂なおみ [オーストラリアン・オープン]

1回戦を勝ち抜いた大坂なおみ(フリー)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の女子シングルス1回戦で第13シードの大坂なおみ(フリー)が世界ランク50位で20歳のカミラ・オソリオ(コロンビア)を6-3 6-3で下したあと、記者会見で試合を振り返った。

今シーズンのグランドスラム初勝利はどんな気分?

「凄くいい気分。先週から前哨戦を戦っているけど、グランドスラムが始まると雰囲気が全然違った」

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の問題が大会に影を落としているが、影響はあった?

「完璧に正直に言うと、私にはまったく影響がなかった。男子のドローには影響があったはずだから、そちらの選手に聞いたらいいかもしれない。このような状況になる前から、私は自分のことに集中してよりよくなるために何をすればいいかに注目することが目標だった。それに、私はあまりニュースを見ないの」

これで皆がテニスに集中できると思った?

「わからない。人々は自分が注目したいことに注目するもの。個々人の問題ね。私はテニス選手だから、自分の試合に集中している。あなたがニュースに注目するのも勝手。私はテニスに集中している。あまりニュースを見ていない」

ペン・シューアイ(中国)の問題に関してはどう思っている?

「そのことについてニュースは何も聞いていない。WTAが上手く対応していると思う。もっと情報が必要だと思うけど、それを得るのも難しい状況なのかな。ある意味皆が待っているような状態だと思う」

 バックハンドのスライスによって自分のテニスがどう向上した?

「いつもバックハンドのスライスを練習してきたけど、試合で使うには物足りなかった。このオフシーズンと大会への準備で、前より楽しくできている。あまりミスを気にし過ぎないで思い切ってスライスを打っていけば、そのうちよりよいショットになっていくだろうから。そう考えながら打っている」

数日前、インスタグラムで人々が自分のことをどう思うかあまり気にしないと投稿した。

「見ちゃったのね? 3分後には消したのに」

いいことだと思う。

「自分が少し攻撃的なのかどうかわからない。でも、何かテキストで書くとちょっとアグレッシブになってしまうものだと思う。何と言えばいいのかしら。自分のキャリアはこの時点で長い訳ではないけど、これまで自分のことを証明することに気を使い過ぎていた。あなたたちもそんな姿を見てきたと思うけど。まず何よりも楽しみたいと思う。自分がすべての試合で勝つとは思えないけど、厳しい試合を楽しんで、チャレンジしていく自分の姿は想像できる」

オーストラリアン・オープンでジョコビッチはプレーすべきだったと思う?

「私の意見に何か意味があるの?」

他の選手たちがどう思っているのかを聞きたくて。

「聞いてくれたのはありがたいけど、パスしたいと思う」

この試合でスマッシュをミスして思わず笑ってしまった場面があった。楽しもうという姿勢が見えた。意識的にそうしているのか、リラックスしたほうが楽だから?

「今オフに、私自身がテニスに戻りたいと思った。私たちテニス選手は少し休んでから少し自動的にシーズンに向けて動き出す。でも、私は自分が戻りたいタイミングで戻ってきた。過去には自分が動揺してしまう状況があると思った。でも、今ではここにいたいから、そしてここにいるのが楽しいからここにいる。楽しめるだけ楽しみたい。ロッド・レーバー・アリーナでプレーするのはいいこと。ここで素晴らしい成績を残していることは、いつの日にか誇りに思って、楽しめるようになると思う」

オーストラリアン・オープンへの入り方、気持ちは過去とは違う?

 「以前より心地よいと感じている。皆を喜ばせたいという気持ちによって、人間は自然と心地が悪くなることもある。昨年のフレンチオープンのあとは皆が自分を評価している感じがして、外に出ると周囲の人が皆そうしていると思わずにいられなかった。スタジアムに入ってプレーするときに、皆が注目していることを自分がわかっていると、少し変な感じがする。うまく説明できたかわからないけど、今はポジティブな意味でもっと自分勝手になっていいかなと思っている」

オソリオのテニスでよかったところ、課題は?

「彼女との対戦は素晴らしかった。彼女は若く、ファイティングスピリットが素晴らしかった。年下と対戦するのは珍しい。彼女が過去にロッド・レーバー・アリーナでプレーしたことがあるのか知らないけど、彼女は闘志をむき出しにして叫んでいた。凄いなと思った。そこは称えられる点だった。あと彼女のリターンが素晴らしい。安定していた。ベースラインの近くに踏み込んで積極的だった。どこが改善点か? あるゲームで3つのダブルフォールトがあったから、そこは改善すべき点かもしれない」

ボーイフレンドがアルバムを出したばかり。ラッパーは自分の経験を歌詞にするけど、そのことを恥ずかしいとは思わない?

「そんなに頻繁に頭を過ぎることではないけど、彼はいつも許可を取ってくる。自分で歌詞を書いているのは凄くいいことだと思う。あまり自分が首を突っ込み過ぎないようにしている」

今日、コート後方のMelbourneの文字を踏むとき少し躊躇しているように見えた。

「いつもあんな感じだと思う。いつもメルボルンでコートに立つとき、ラインやメルボルンのロゴを踏みたくないと思う。何故かはわからない。ほとんどのアスリートには縁起を担ぐ部分がある。1つか2つなのかわからないけど。自分にとってそれは、ラインとロゴを踏むこと。私は水のボトルが完璧に真っすぐ並んでないと嫌なの。何故かはわからないけどね」 

テニスを楽しむと言っていたが、大会を楽しむのも同じこと?

「そういう風に考えたことがないけど、自分が大会は一番好き。練習は本当に嫌い。“練習は意味がない”くらいに思っている。ウィム(フィセッテコーチ)を批判するつもりじゃないのよ。大会が大好きでそのすべてのプロセスが好き」

コートでふたたび楽しめるようになったターニングポイントがあった?

「ターニングポイントは昨年のUSオープンのあと。自宅で座っていて、自分がこの先何をしたいのか考えた。テニスでまだしたいことがたくさんあると思った。ウインブルドンはこの2、3年出場していない。だからあそこに戻ってまたあの経験をしたい。ある意味仕事がまだ残っている感じだけど、誰も常に完璧にはできない。落ち込むこともあるけど、それを乗り越える方法を見つけないといけない」

セカンドサーブでの相手の位置が高かった。

「セカンドサーブで凄く前に踏み込んできたと思った。でも、それと同時に自分のセカンドサーブも悪くなかったと思っている。あまりリスクを犯し過ぎてもいけない。セカンドサーブはこの数ヵ月練習してきたし、今後もさらによくしたい。もちろん彼女もよかった」

試合前にコーチが用意した相手の情報。

「ウィムが用意してくれた相手の映像も役に立った。それが無ければもう少し難しかったと思う」

その映像と実際で相手が違ったところは?

「映像は映像に過ぎないのであまり頼り過ぎないようにしている。何故なら、皆が私と対戦するとき、他の選手とは戦い方を変えてくることが多いから。私がアグレッシブなタイプだからなのか、他の試合以上に相手はリスクを犯して早いテンポで攻めてくるケースが多い」

2回戦への改善点。

「1回戦だから、結果はあまり気にしていない。自分のメンタリティがどうだったかが重要。安定していた。5-0から少し落ちたけど、何とか持ち直して第1セットを取れた。次の試合で同じような状況にならないようにしたい。今回は悪い経験してしまったから、そこから学びたいと思う」

グランドスラム大会の1回戦は難しく、相手のオソリオが失うものがなかったのも難しかった?

「もちろん難しかった。年下の相手はいつでも難しい。でも以前ほどは気にならなくなった。自分がツアーではベテランのように感じることがある。2000年代生まれの世代も増えており、少し恐れている。一番大事なのは楽しむこと。私の場合、ここでビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と戦った。だから、私も恐れを知らずに戦える側の気持ちがよくわかる。とても危険ではあるけど、楽しみでもある」

 大坂は2回戦では、1回戦6-1 0-6  5-0の時点でデヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)の棄権によって勝ち上がったマディソン・ブレングル(アメリカ)と対戦する。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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