ナダルの“忘れ難き夜”と21回目のグランドスラム制覇「すべてを出し尽くすべき日だった」 [オーストラリアン・オープン]

写真は13年ぶりの栄冠に輝き、男子史上最多となる21回目のグランドスラム制覇を果たしたラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス決勝で第6シードのラファエル・ナダル(スペイン)が2セットダウンから巻き返して第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を2-6 6-7(5) 6-4 6-4 7-5で倒し、男子史上最多となる21回目のグランドスラム制覇を果たした。

 同大会での優勝はナダルにとって、これが2度目に過ぎない。

 ぎりぎりまで追い詰められても決して挫けないナダルらしいしぶとさとメンタルの強さを見せたこの死闘のあと、ナダルは「1ヵ月半前なら、これが僕にとって最後のオーストラリアン・オープンになるだろうと言っていたかもしれない。でも僕は今、進み続けるための大きなエネルギーを感じる」と語った。

「来年も皆さんと再会するために、僕はベストを尽くすよ」

 ナダルにとって優勝回数がもっとも少ないグランドスラム大会だったこのオーストラリアン・オープンで、彼は2012年決勝で5セットの戦いの末にノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れ、2017年決勝でもリードを覆されてロジャー・フェデラー(スイス)に屈していた。

「試合を通し、僕は自分に『僕はチャンスを手にしながら何度もここで敗れてきた』と自分に向かって繰り返していた。ただ終りまで、信じ続けたかったんだ。ただ戦い、解決策を見つけようとすることの意義を信じ続けたかった」とナダルは明かした。

「2012年、2017年、ケガをしていた2014年にも、僕はキャリアを通して何度かここオーストラリアでそのような立場に立たされた。今夜は忘れ難きものだった。そして、本当に幸運だと感じている。同時に僕はツアーに戻ってくるために戦い、テニスをプレーし続けるチャンスを自分に与えたんだ」

 昨年9月に慢性的な問題を抱える足に手術を受けたナダルはまず歩くことから始め、長期間に渡って練習さえ満足に行うことができなかった。そのため彼は、このような戦いをするための体の準備はできていなかったと打ち明けた。

「僕は自分の内側にあるすべてを出し尽くした。今は(疲労で)祝うことさえできない。でもこれは、すべてを出し尽くすべき日だった。僕は戦いを楽しみ、感情を楽しんだ。その終わりにこのトロフィーを手にしているということは、僕にとって膨大な意味がある」

 表彰式で歓喜に酔うナダルを一歩引いた位置から薄っすらと笑みを浮かべて見守っていたメドベージェフは、「自分のテニスに後悔はない」と明言した。

「凄い試合だった。もちろん、もし勝ちたいなら僕がもっとうまくできたはずのちょっとしたポイントやちょっとした詳細はあったよ。でもそれがテニスであり、人生だ」

 メドベージェフは第3セット3-2から3つのブレークポイントを手にしたが、それをものにすることができなかった。

「あの3本のリターンはすべて覚えているよ。ただ少し硬くなってしまったね。ウィナーを打つべきだったかもしれない。そうすれば試合に勝っていたかもしれない。でも、それがテニスなんだ」とメドベージェフは振り返った。

 何よりナダルの疲れ知らずのプレーぶりに感服した様子のメドベージェフは、「ラファのプレーは非現実的だった。僕は自分がきちんとプレーしていると感じていたけど、ラファがプレーレベルを上げたんだ。フィジカル的に、僕にはアップダウンがあった。今日の彼は、フィジカル的に僕よりも強かった」とコメントした。
 
「僕を倒したことについて、彼に大きな敬意を払うよ。何故なら僕はベストを尽くしたし、本当に全力でトライしたからね」

 第9シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)に対する準々決勝で自分自身も2セットダウンから挽回していたメドベージェフは、その試合後に「2セットダウンとなったときに何を考えたか」と聞かれて「ジョコビッチだったらどうするだろうと考えた」と答えていた。

 しかし今の彼は、「次に2セットダウンとなったら『僕に対してラファがやったようにやろう』と思うだろうね」と言って微笑んだ。

「これらのセットの間に彼(ナダル)が厳しい瞬間にも頑張り抜いたそのプレーは、彼にとって歴史を築くためだったんだ。彼がそのことについて考えないようにしていたとしても、それは頭の片隅にはあったはずだよ」とも話したメドベージェフは、自分もいつかこのように多くの威信あるタイトルを獲れるようになりたいと考えている。

「僕はベストを尽くし続ける。いつの日かこういう素晴らしい大会のチャンピオンになるため、これまで以上にハードワークを積むよ。でも僕は、この敗戦や自分のテニスにがっかりはしてはいない」

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写真◎Getty Images

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