バーティ電撃引退に対する周囲の反応
女子テニス世界ランク1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)が3月23日に自身のインスタグラムを通して唐突に現役引退を発表し、テニス界を驚愕させた。彼女の電撃引退に、他のテニス選手を含めた多くの人々が驚きの声を上げながらも祝辞を述べた。
グランドスラム大会のシングルスで3度優勝(2019年フレンチ・オープン、2021年ウインブルドン、2022年オーストラリアン・オープン)したバーティは、単調にハードヒットする選手の多い女子テニス界でスライスバックハンドの妙技や緩急、球種の多彩さ、ショット選択と組立ての巧妙さなど他者とは違ったテニスを展開することで高い評価を博していた。また身長166cmと長身ではないにも関わらず、コースや球種など多くの意味で優れたサービス力も誇っていた。
オーストラリアのスコット・モリソン首相はツイッターを通し、「国民にインスピレーションを与えてくれてありがとう。貴方の業績は、永遠に祝われ続けるでしょう」とバーティに感謝の言葉を送った。
元世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)は「アッシュ、何と言えばいいの? 私が今、泣いているって知ってるでしょ? あなたがツアーからいなくなるなんて寂しいわ」とツイートし、バーティに心からの気持を伝えた。
「あなたはほかの人とは違い、特別だったわ。私たちは素晴らしい瞬間を分かち合った。あなたにとって、次は何なの? ゴルフのグランドスラム大会チャンピオン? 幸せでいてね。人生を最大限楽しんで!」
ビリー ジーン・キング・カップ(旧フェドカップ)のオーストラリア代表チーム監督を務めるアリシア・モリック(オーストラリア)は火曜日にバーティ自身からの電話でニュースを知らされたと明かし、オーストラリアのメディアに「彼女はテニスと人生から自分が何を求めているのかについて、正確に知っています。彼女はここ12ヵ月、大いに考えたり悩んだりはしていなかったはず。純粋に、彼女はテニスキャリアから得られ得るすべてを引き出し切ったと感じているんです」と話した。
「トップに立っているときに引退するというのは常軌を逸しています。かなり勇敢であり、かなり高貴なことでもありますね」
元世界1位で1997年と98年にUSオープンを制した元トップ選手のパトリック・ラフター(オーストラリア)はオーストラリアのABCラジオに意見を求められ、バーティが引退するという決断を後悔することはありそうもないとコメントした。
「彼女は、自分の中でやるべきと思っていたことをすべてやりきったんだ。彼女は本当にウインブルドンで優勝したいと願い、それをやってのけた。そしてオーストラリアン・オ―プン優勝を目指そうと決め、彼女がそれを勝ち獲ったことを僕は本当にうれしく思う。彼女は今、本当に満足しているのだと思うよ」
USオープン優勝経験を持つサマンサ・ストーサー(オーストラリア)はバーティの「信じられないようなキャリア」を称え、「自分の心の声に従うのはあなたにとっていいことよ。そしてまたも、自分らしいやり方でそれをやるとはね」とインスタグラムにコメントを投稿した。
「あなたにとって“次”が何なのかを聞くのを楽しみにしているわ。それまでの間、引退を楽しんで!」
ウインブルドン優勝歴2回のペトラ・クビトバ(チェコ)はバーティと同じコートに立てたことを幸せに思うと言い、「あなたがいないテニス界は、もはや同じではあり得ない」と引退を惜しみながらも「私はあなたを人間としてもアスリートとしても尊敬している。あなたに幸運を祈ります」とツイッターを通してメッセージを送った。
同じくオーストラリアン・オープン後に引退した車いすテニスのクアード(重度障害者クラス)部門で世界1位だったディラン・オルコット(オーストラリア)は、「素晴らしいテニスプレーヤー、そしてそれ以上に素晴らしい人間。あらゆる意味でのチャンピオン」という言葉でバーティの人間像を表現した。
シェルビー・ロジャーズ(アメリカ)は「何という偉人、コート内外でのインスピレーション。私が出会った中で最高の人間のひとりだった。私たちのナンバーワンに幸運を祈ります」とツイートし、マディソン・キーズ(アメリカ)も「驚くべきテニス選手。でもより重要なことに、ツアーでもっとも気さくで感じのいい人のひとりだった」とバーティの人柄を称えた。
素晴らしい選手であると同時に親しみやすい人間だったバーティの、他者とは一線を画した数奇なテニス人生に今も続々と賛辞が集まっている。
写真◎Getty Images
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