山陽女学園(広島)、東京代表4校、大阪代表3校が8強入り [2022中学センバツ]

清田あいこ/大塚あや(山陽女学園)写真◎上野弘明


 中学1、2年生が対象の団体戦「第10回全国選抜中学校テニス大会」(3月28~30日/香川県高松市・香川県営総合運動公園テニス場/砂入り人工芝コート)は競技初日の29日、男女1、2回戦を行い、それぞれベスト8が出揃った。

 女子で勝ち上がった8校は、第1シードの山陽女学園(広島)、東京代表の4校、第3〜4シードの東京女子学院、第5〜8シードの富士見丘、同シードの明星、小平市立小平第二に、大阪代表の3校、第2シードの堺リベラル、第3〜4シードの城南学園、そして浪速。

 山陽女学園と堺リベラルは、トップ2シードの貫禄勝ちを見せた。

 昨年大会の準優勝校で、全国中学生大会(全中)の優勝校である山陽女学園は、1回戦の長野県屋代高等学校附属戦で3試合(D2→S→D1)すべてで1ゲームも落とさず、2回戦でも北星学園女子(北海道)に計4ゲームしか許さない内容だった。また堺リベラルも、1回戦のさぬき市立志度(香川)に対して1ゲームも落とさず、2回戦の日本大学第三(東京)に3試合で計4ゲームしか落とさないという、両校が圧倒的な強さで勝ち上がった。

 山陽女学園で唯一、春夏全国大会を経験しているキャプテンの清田あいこは、「昨年の自分は先輩を頼ってばかりだった。でも今回はその経験を生かして引っ張る立場にある」と、自分に言い聞かせるように話した。コロナウイルス感染拡大防止のため、大会は声を出して応援することが禁じられている。清田は今回が3回目の全国大会だが、いずれもコロナの影響を受け、まだ一度も「声を出して応援したことがない」という。そのかわり「リアクションで応援する」と、自分なりにチームを率いる方法を見出し、過去2度の準優勝を越える初優勝を目指す。

 山陽女学園の次の相手は、センバツ9大会連続出場で準優勝が2度、6度目のベスト8入りを果たした富士見丘だ。

 山陽女学園に“完封負け”を喫した、屋代高等学校附属の中村浩一郎監督は、「選手たちが楽しんでプレーしていた」と対戦を振り返った。それは「相手が(自分たちを)下に見ず、しっかりプレーしてくれたことがあってのこと」と、相手チームを称えた。D2で出場したキャプテンの功刀明音は、「相手は比べものにならないくらい技術がすごかったけど、打ち返せたときは楽しくて、みんなも状況は苦しくても笑顔でいたのが見えて、楽しめているんだと思った」と笑顔を見せた。「全国の舞台は特別だと思っていた。実際に来てみたらやっぱり特別で、だけど自信になった」と、スコアからは見えない大きな収穫を得たようだ。


2回戦の日本大学第三(東京)対堺リベラル(大阪)写真◎BBM

 創部2年目でセンバツ初出場を果たし、8強へ勝ち進んだ堺リベラル。喜田達也監督は、昨夏の全中ベスト4の「勢いを保てている」と、勝ち進む過程に揺るぎない自信を見せている。ここから先はさらに「全力で向かう、出し切りたい」と、勢いを増すと口にした。

 女子で初出場は全部で11校あり、初勝利を挙げたのは堺リベラルのほか、城南学園、えびの市立加久藤(宮崎)、富山市立堀川(富山)、東京女子学院、日本大学第三。

 登録選手が最少の5名で、すべて1年生という少数精鋭チームの、えびの市立加久藤は、1回戦で成蹊(東京)にD2が7-6(3)、Sが6-4、D1が1-6と、2勝1敗で競り勝ったあと、2回戦で城南学園に1勝2敗で敗れた。シングルス2試合に出場した1年の尾山絢香が、2勝を挙げる活躍を見せた。


尾山絢香(えびの市立加久藤)写真◎上野弘明

 近畿2位の城南学園は準々決勝で、昨年2度目のセンバツ優勝を果たした小平第二と対戦する。小平第二は9回のセンバツ出場で6度目のベスト8入り。

 東京2位で関東1位の実績を携えて初出場を果たした東京女子学院は、1回戦で愛媛県立松山西、2回戦で立命館守山(京都)に、それぞれ3勝を挙げての快進撃。「ダブルスの練習に力を入れている」と柴田士斗監督は話し、それが優勝するために必要なことで、とりわけ関西勢を倒すための鍵とも言った。次に対戦する相手は同じ東京代表で、2大会ぶり2度目のベスト8入りを決めた明星。もしもその試合に勝てば準決勝で、浪速対堺リベラルの大阪代表同士の勝ち上がりと対戦することになる。

 浪速は2回戦で、横浜市立岡野(神奈川)を2勝1敗で破って、2大会ぶり3度目の8強入りを果たした。


馬渡愛(浪速/左)対内田千帆(横浜市立岡野)写真◎上野弘明

 その2回戦は2面展開で、D2を浪速が6-0で先勝、同時進行していたシングルスの馬渡愛(浪速)と内田千帆(岡野)の1年生対決は、一進一退の攻防を見せていた。その試合が簡単に勝敗をつけずに進んだことで、続いて始まったD1の試合が浪速の勝利にみるみる近づいても、全体のボルテージは高いままだった。だが結局は、浪速が2つのダブルスを取り勝敗は決まった。それでも、内田と馬渡の試合は温度を下げずに続いた。

 最後は内田がタイブレークを7-6(5)で取り、対戦は終わった。「隣のダブルスに励まされ、いいプレーができた。ここ一本という大事なときが、いつもよりわかった試合だった」と、敗れても自身の成長を口にした馬渡。一方の内田も、「気持ちを強く持てた。最近の試合の中では一番力を発揮できたと思う」と胸を張った。チームの勝敗が決まっても目の前の試合に集中し、戦い続けたふたりの姿に、浪速の出口晴久監督は「価値ある試合だった」と振り返った。

 出口監督は、浪速のメンバーの実力は横一線で、その中で馬渡が見せたプレーはメンバーにきっとよい影響を与えると言った。次の対戦に勝つイメージはもうできている、そんな表情でもあった。

 一方、岡野の田中耕太郎監督は、「悔しい気持ちはあるが悔いはない」と力強く語った。内田が最後まであきらめずに戦い抜いたことに対して、当然のこと……という言葉は使わず、「こんなに素晴らしい機会に“捨て試合”なんてもったいなさすぎる。一秒一秒噛み締めてやろう。負けそうになったときにどう挽回するかでその人の価値が決まる、と選手たちに話してきた」と振り返った。「内田のおかげでみんな何かを感じたと思う」とも言い、この試合は両校にとって価値ある試合になったに違いない。


2回戦の横浜市立岡野(神奈川)対浪速(大阪)写真◎BBM

 30日は男女準々決勝、準決勝、決勝が行われる。準々決勝は各対戦が2面を使用。試合順はD2→S→D1。全試合が1セットマッチ。試合開始時間は9時の予定。(編集部◎青木和子)

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