「500勝しても何も変わらない」今季限りで引退のジル・シモン

4月のセルビア・オープンで1回戦でダミアー・ジュムホール(ウクライナ)に逆転負けのジル・シモン(フランス)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)のメディアデーで、今年限りでの引退を発表したばかりのジル・シモン(フランス)が記者会見に臨んだ。

今季限りでの引退を発表したが、今はどんな気持ち?

「気分はいいよ。この決断ははっきりしていて、合理的な判断だと思う。自分の最高のプレーを見せて楽しみたい」

引退の理由は?

「すべてだ。プレーのレベルが一度下がり、その後も継続して落ちていった。とても難しくなってきた。体力の回復が遅過ぎるんだ。普段ならクレーコートシーズンの終わりに調子は悪くないし、グラスコートシーズンも大丈夫だった。でも、今はシーズンの終わりには疲れ果てている。すべてが難しいんだ。準備期間が足りない。すべての大会で最高の状態に仕上げることができない。テニスはフィジカル面で消耗が大きい。毎週のようにプレーしないといけない。継続していいプレーをする必要がある。そのためには物凄い努力が必要で、なかなか調子が上がらない。だから、今年いっぱいで終わりにすることがいいと思った」 

フレンチ・オープンに来てノスタルジーを感じている? また、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)も今季引退することをどう思う?

「引退のことはしばらく考えていたから、発表したときは何か感じることがあると思っていた。でも発表してみると、それで終わりだった。撤回することはない。何かもっと感情の変化があると思っていたが、まったくなかった。だから、正しい決断だと思う。その後は自分の決断を完全に受け入れることができた。ノスタルジーなどない。できることはすべてやったという気持ちだ。とても難しくなってきたから、ここで辞めるべきだ」

「ツォンガにとっては僕より難しい決断だったんじゃないかな。フィジカル面もそうだけど、彼には子供がいるからツアーを転戦し続けるのが難しいはずだ。彼はテニスが大好きだ。スタジアムの雰囲気も大好きだ。テニス中心の生活も、他の選手を観るのも好きなんだ。テニスアカデミーを作ることにも熱心だね」

「でも、いつかは引退するときがくる。彼は素晴らしいカムバックを期待していたんじゃないかな。昨冬、復帰したときプレー自体は悪くなかったけど、今年の初めは結果がまったくついてこなかった。ランキングがどんどん下がり、もう一度トップレベルに戻るのは、特にフィジカル面で難しいと感じたんじゃないかな」

素晴らしい成績を残しているが、マッチ勝利「500」にあと2勝で引退するのは残念?

「わからない。300勝、400勝は届いたから、そんなに変わらないかな。あと2勝できるか。簡単ではないね。達成できても、僕の人生は何も変わらないと思うよ」

引退後もテニス界に残るつもり?

「しばらくゆっくり休みたい。子供たちとしばらく会ってないから、ゆっくり過ごしたいね。僕のキャリアはかなり長かった。17年間もツアーを周っていたから。半年、1年くらい休めたらいいね。でもテニスはいつも自分の情熱だった。今後どのように関わっていくか決めていない。ずっと選手でいたかったからね。今後は違ったことに挑戦すると思う。小さい頃からプロ選手を夢見ていた。引退後のことは何も考えたことがなかった。今は新しいことに挑戦するモティベーションもない」

自分のポテンシャルを考えて、そのキャリアに満足してる? 達成したいことはできた? グランドスラムで優勝したかったんじゃないか? 最高の思い出は?

「一度にたくさん聞いてきたね。答えは難しいな。自分のベストは尽くしたと思う。いつも正しい決断ができたとは思わない。17年間戦ってきた。テニスしかやってこなかった。いつも完璧にプレーできる訳じゃない。でもいつでもベストを尽くし、結果がついてくることもあった。大事なのは勝利数やランキングではない。もっと先にあるものだ。キャリアを振り返ったら、もっといいものにできたかもしれない。勝てたのにと思う試合もあれば、負けてもおかしくない試合も多い。あまりに長い間プレーしたから、ひとつだけ思い出を挙げるのは難しい。思い出がたくさんあり過ぎるんだ」

「いいパフォーマンス、悪いパフォーマンス、いい大会、悪い大会がある。でも、いい思い出がたくさんある。例えば、(2010年に)メスで初優勝したときは最高だった。ラファエル・ナダル(スペイン)やロジャー・フェデラー(スイス)に勝つよりも、いい思い出だ。残念なこともあれば、素晴らしい思い出もある。悪夢のような試合もある。あと1ポイント取れば勝利で40-0から逆転されたこともある。いろんな思い出があるよ。リードしているのに負けたり、逆転することもある。いろんな感情が沸き起こる。大きな大会で優勝したとか、そういうものが重要ではない。僕はベストを出し尽くした」

君は選手協会の一員だと思うが、ウインブルドンの状況やポイントについてどんな見解を持っている?

「非常に難しい問題だ。もし誰もが納得できるいい解決策があるなら、すでに下されただろう。まだ僕らのところまで話がきていない。大会側がまだ話しているところだ。だから、その発表を待っている。当然、賛成意見も反対意見も出るだろう。今はとにかくどんな決定が下されるか待つしかないよ」

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写真◎Getty Images

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