キリオスがATPカップのデビュー戦で山火事に苦しむオーストラリアに資金を調達

今年新設された世界テニス国別対抗戦「ATPカップ」(オーストラリア・ブリスベン、パース、シドニー/1月3~12日/賞金総額1500万ドル/ハードコート)が開幕し、初日のナイトセッションは3つの会場でラウンドロビンの3対戦が行われた。

 ニック・キリオス(オーストラリア)は4000豪ドルの価値を生んだ試合で20本のサービスエースを決め、ドイツ戦におけるオーストラリアの勝利のお膳立てをした。

 それはすべて、山火事の被害に苦しむ母国の人々のためだった。その感情の爆発と奇行で頻繁にテニス界のバッドボーイとみなされているキリオスは今月、サービスエースを決めるたびにオーストラリアの一部を荒廃させた山火事の復興作業に当てるため200豪ドルを寄付すると約束していたのだ。この山火事のせいで少なくとも19人が死亡し、1400軒の家々が破壊されていた。

 彼は金曜日のブリスベンでヤン レナード・ストルフ(ドイツ)に対する試合を価値の高いハイレベルの弾丸サーブで始め、6-4 7-6(4)で終わらせた。試合を締めくくったのは、センターに突き刺さったセカンドサーブによるサービスエースだった。

 続くエース対決では、アレックス・デミノー(オーストラリア)が世界ランク7位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に対する番狂わせを演じた。パット・ラフター・アリーナで彼は第1セットを先取されながらも巻き返し、4-6 7-6(3) 6-2の挽回勝ちに成功したのだ。オーストラリアはダブルスにも勝ち、結局3勝0敗でドイツを圧倒した。

1月開催のATPカップ、日本戦含む16試合をCSテレ朝チャンネルで生中継

 他のプレーヤーおよびATPカップやオーストラリアン・オープン開催者らによる他の援助金調達のための努力に触発され、キリオスは今週初頭にこのエースをキャッシュに変えるアイデアを考案した。彼は観客たちに鼓舞され、彼の故郷キャンベラを含む山火事の被害にあった地区で苦しむ人々の苦境を救うという考えにモチベーションを与えられたと話した。キャンベラで開催予定だった大会は、山火事に近い位置にあることからくる劣悪な空気の質を理由に会場をビクトリア州の町へ移すことを余儀なくされていた。

「厳しい状況だ」とキリオスはコート上のインタビューで涙にむせ、タオルで顔をぬぐいながら語った。「(作った援助資金は)被害者の家族、消防士、動物たち、火災によって家や家族を失った人々にいく。これは現実世界でのこと、テニスよりも重大なことだ」。

「正直、(このような状況の中)コートに出て行ってテニスに集中するのは難しい。自分が打っているサービスエース、僕はそのことだけを考えている。ラインに向かって立つたびに、僕はそのことだけを考えるんだ」

 パースではグループDでノルウェーがアメリカに競り勝ったあと、ロシアがイタリアを下した。世界5位のダニール・メドベージェフ(ロシア)が第2シングルスでファビオ・フォニーニ(イタリア)を1-6 6-1 6-3で下した瞬間、彼はロシアに覆せない2勝0敗のリードを与えた。

 シドニーでダビド・ゴファン率いるベルギーがモルドバを3勝0敗で下したあと、現地時間の午前2時45分過ぎにブルガリアが死闘の末にイギリスを2勝1敗で倒した。勝負のかかったダブルスで、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と世界477位のアレクサンダル・ラザロフのペアがふたつのマッチポイントを凌いだ末に、ジェイミー・マレー/ジョー・ソールズベリー(イギリス)に7-6(5) 6-7(2) [11-9]で競り勝ったのだ。ディミトロフはこれに先立つ第2試合でダニエル・エバンズ(イギリス)を2-6 6-4 6-1で下し、スコアを1勝1敗に持ち込んでいた。

(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)

※写真はニック・キリオス(オーストラリア)
BRISBANE, AUSTRALIA - JANUARY 03: Nick Kyrgios of Australia sihns autographs after winning his match against Jan-Lennard Struff of Germany during day one of the 2020 ATP Cup Group Stage at Pat Rafter Arena on January 03, 2020 in Brisbane, Australia. (Photo by Chris Hyde/Getty Images)

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