1年前の暗闇から抜け出したキリオスが西岡良仁を下して3年ぶり2度目の優勝 [シティ・オープン]

写真は3年ぶり2度目の優勝を決めた瞬間のニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月1~7日/賞金総額210万8110ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝で、ニック・キリオス(オーストラリア)が日本の西岡良仁(ミキハウス)を6-4 6-3で下して3年ぶり2度目の優勝を飾った。

 キリオスがATPツアーのシングルスでタイトルを獲得したのは、3年前の同大会以来でキャリア7度目となる。

 躍進を遂げたウインブルドンに続いて2大会連続で決勝に進出したキリオスは立ち上がりの第1ゲームでブレークし、セットの残りで自分のサービスゲームをきっちりキープして第1セットを先取した。キリオスは第2セットの出だしでも同様のプレッシャーをかけ、第1ゲームでふたたびブレークした。

 第2セットでのキリオスはそのあと何度か引き離すチャンスがありながらものにできずにいたが、最後のリターンゲームでそれをやってのけた。デュースを繰り返した末にフォアハンドでリターンを強打して西岡のミスを引き出したあと、キリオスは感極まってコートの上に倒れ込んだ。

 決勝でのひとつを含む今大会で直面した10度のブレークポイントをすべて凌いだキリオスは時折ぶつぶつ呟いたり叫んだりはしていたが、試合を通して概ね集中力を保ち続けた。

「僕にとって本当に感動的なことだ。1年前の状況を考えると、信じられないような変化だよ。僕は大きなエネルギーを持って試合に臨むことができた。今日は僕のほうが経験的に勝っていると思っていた。このコートが大好きで、ここでたくさん素晴らしい試合をしてきた。だから本当にうれしいよ」とキリオスは試合後の記者会見で語った。

「僕は本当に暗い場所にいた。それをこのように転換できるとはね…。僕がここに至る手助けをしてくれた多くの人々がいる。でも僕自身も継続し、耐え抜き、信じて、それら苦しい時期を潜り抜けてプレーし続け、このような大会で優勝する強さを示して見せた」

 常にその才能で一目置かれながら行き過ぎた感情の爆発とやる気がないような態度や暴言でかつては悪童扱いされていたキリオスだが、いい仲間といいチームに恵まれたことで彼はほんの少し変わり、間違いなくいい方向に歩みつつあるように見える。

 男子シングルス表彰式のあとに友人のジャック・ソック(アメリカ)とのペアで参戦したダブルスの決勝に臨んだキリオスは、第4シードのイバン・ドディグ(クロアチア)/オースティン・クライチェク(アメリカ)を7-5 6-4で倒して単複2冠を達成した。

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写真◎Getty Images

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