苦しかった今シーズンを乗り越え人間的成長を実感するサバレンカ「負けることもあるけど、そこから学ぶことができる」 [WTAファイナルズ]

写真は表彰式のスピーチで涙を浮かべるアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)(Getty Images)


 女子トップ8によるエリート大会「WTAファイナルズ・フォートワース」(WTAファイナルズ/アメリカ・テキサス州フォートワース/10月31日~11月7日/賞金総額500万ドル/室内ハードコート)の女子シングルス決勝で、第6シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)が第7シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)を7-6(4) 6-4で倒してチャンピオンに輝いた。

 敗れたサバレンカは苦労の多かった今季を起死回生のタイトルで終えることはできなかったが、今は未来に向けて明るい展望を抱いている

「私は今季、負け方を学んだ。以前の私はタフな敗戦のあとに物凄く腹を立て、攻撃的になっていた。でも今は敗戦を受け入れられるようになったの。これはテニスだけではなく“いい人間である”ことに関することだから、私にとって凄く重要なことだと思うわ。私は自分がよりよい人間になりつつあると感じている。それがもっとも重要なことよ」とサバレンカは今季最後の試合を戦い終えたあとに語った。

 サバレンカは世界ランク2位として今年を始めたが、予選ラウンドで敗れた昨年のWTAファイナルズから始まったサービスの狂いに苦しめられてシーズン開始から3ヵ月ほどは頻繁に1試合で二桁のダブルフォールトを犯していた。彼女はただ負けるだけでなく、酷い形で試合を落とすようになっていた。

 しかしめげることなく努力を続けたサバレンカはクレーコートシーズンに入る頃には調子を回復させ、未だ本調子ではないサービスからのダメージを軽減する方法を学んでいった。彼女は夏のハードコートシーズンにバイオメカニズムのスペシャリストを雇って調子の改善を図り、その甲斐もあってUSオープンで3度目のグランドスラム4強入りを果たした。USオープン準決勝では最終的に優勝したイガ・シフィオンテク(ポーランド)に敗れたが、フルセットの戦いを繰り広げた。

「負けることもあるけど、そこから学ぶことができる。前に進み、努力し続けることが大事なの。以前の私は敗戦のあと、1週間は心ここにあらずという感じになっていた。練習はしていても、負けた試合のことばかりを考えてしまうから全然身が入っていなかったわ。要するに私はよりプロフェッショナルになりつつあるということね」

 WTAファイナルズでのサバレンカは第5シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)に対する敗戦後に奮起して第3シードのジェシカ・ペグラ(アメリカ)を下し、準決勝では第1シードのシフィオンテクを退けた。彼女はその試合でUSオープン準決勝での敗戦から学び、より辛抱強く統制の取れた賢明なプレーをすることでリベンジに成功した。彼女はガルシアに対する決勝でも同様のプレーをしたが、一歩及ばなかった。

「今シーズンの私は根強かったサービスの問題を修正し、出だしがあまりよくなかったにもかかわらずWTAファイナルズ出場を果たしてトップ5で終えた」とサバレンカは今季を振り返った。

「少なくともサービスについては、愚かな迷いに心を煩わされることなく来季に向かっていける。自分がしっかりサービスを打つことができるとわかっている。ダブルフォールトが出ることもあればエースを決めることもあるけど、自分は多くの武器を持っているからそれは問題ではないの。それが今季に得た素晴らしいことなのよ」とサバレンカは手応えを口にした。

「私はまだ若いけど、かつては自分が負けることができないティーンエイジャーであるかのように敗戦で本当に腹を立てていた。誰かが自分を倒すということを受け入れられなかったの。でもそれは間違いよ。次に試合で何が起こるかは誰にもわからないし、相手に対して『いい人間』であり続けなければならない。今日は彼女が勝ったけど、次は自分が勝つかもしれない。相手に敬意を持つことが大事だと思うわ。でもまあ、まだ結果が伴っていないから説得力がないわね。あといくつかタイトルを獲るためには、愚かなティーンエイジャーになる必要があるのかもしれないけど、どうなるかしら…」

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写真◎Getty Images

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