男子テニスの国別対抗戦、「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」（スペイン・マドリッド／11月18～24日／室内ハードコート）の大会5日目のモーニングセッションで行われた準々決勝で、ロシア（グループB・2位）がセルビア（グループA1位）を2勝1敗で下してベスト4進出を果たした。

　ノバク・ジョコビッチ（セルビア）はシングルスとダブルスの双方でプレーしたが、それでもセルビアをロシアに対する敗戦から救うことはできなかった。

　リーダーとしてセルビアをけん引したジョコビッチは第2シングルスでカレン・ハチャノフ（ロシア）を6-3 6-3で倒して1勝1敗のタイに持ち込み、それから30分後にはビクトル・トロイツキ（セルビア）と組んで勝負のかかったダブルスを戦うためコートに戻った。彼らは3つのマッチポイントを棒に振った末に、若手ペアのハチャノフ／アンドレイ・ルブレフ（ロシア）に4-6 6-4 6-7(8)で敗れた。

「本当に辛い敗戦だ」とジョコビッはコメントした。「これは、おそらく一生に一度起こるかというような類いの試合だろう。シーズンは終わった。我々はページをめくり、次に進むよ」。

　一方のハチャノフは試合直後に興奮に声を弾ませながら、「典型的なデビスカップの試合だった。双方が国のために持てるすべてを捧げ、最後の最後まで戦った。この種の試合に勝つには、そうするしかない」と喜びを吐露し、「あるポイントで、僕らはラッキーだった。セルビアに申し訳なく思うが、勝てて本当にうれしいよ」と話した。

　ハチャノフ／ルブレフは第3セットのタイブレークで5-6、6-7、7-8と3度に渡って絶体絶命のピンチに直面しながらその都度追いつき、最初のマッチポイントをものにして2008年以来の準決勝進出を実現した。

「双方のチームに、多くのチャンスがあった」とルブレフは振り返った。ルブレフはこの日の第1シングルスでフィリップ・クライノビッチ（セルビア）を6-1 6-2で倒し、ロシアにリードを与えていた。「まるでコイントスのようだった。そして僕らは、このコイントスに勝ったんだ」。

　ロシアは準決勝で、カナダ（グループF・1位）と対戦する。カナダは木曜日の準々決勝でオーストラリア（グループD・1位）を2勝1敗で下し、一足早くベスト4に駒を進めていた。ロシアは3度目のデビスカップ制覇を狙っており、実現すれば2006年以来の栄冠となる。

　2010年デビスカップ優勝国のセルビアは、2017年以来の準決勝進出を目指していた。2017年のセルビアは準決勝で、結果的に優勝したフランスに敗れていた。

　デビスカップのシングルスで15試合連続となる勝利を挙げたあと、ジョコビッチはダブルスで苦労していた。とはいえ、非常に競った第3セットのタイブレークでほとんどのチャンスを浪費してしまったのは彼のパートナーであるトロイツキのほうだったのだ。最後もトロイツキがリターンをネットにかけ、試合に終止符が打たれていた。

　試合直後、タオルで頭を覆ってうなだれていたトロイツキは、「恐らくここまでひどい気分になったことはこれまでない」と心境を吐露した。「キャリアを通し、このような瞬間を経験したことは一度もなかった。僕はチームを失望させてしまった。仲間たちに謝りたい」。

　2017年以来デビスカップでプレーしていなかったジョコビッチは、第2セットでセルビアが劣勢に立たされていたときにフラストレーションを隠すことができなかった。彼は主審に文句を言い、あるポイントを落としたあとにはいら立ってボールをスタンドに打ち込んだ。彼はまた、右腕に治療を受けるためメディカルスタッフの介入をリクエストした。

　セルビアは唯一の優勝を果たした2010年以来、4度目となる準決勝進出を目指していた。それ以降の彼らは2013年に決勝まで勝ち進んだが、準優勝に終わっていた。

　今大会でのセルビアは、シングルでは1セットも落とさずにスムースにグループ・ステージを勝ち抜いた。彼らがこれ以前に喫した唯一の黒星は、すでに勝負が決まったあとに行われたフランス戦のダブルスにおいてだった。

　ロシアはグループ・ステージで前年度優勝国のクロアチアを倒したが、開催国スペインには1勝2敗で競り負け、成績のもっともよいグループ2位の一角として準決勝行きを決めていた。日程の関係でロシアは2日の休みを経てこの試合に臨んだが、セルビアは水曜日と木曜日にプレーしていた。

（APライター◎タレス・アッゾーニ／構成◎テニスマガジン）

※トップ写真はノバク・ジョコビッチ（セルビア／右）とビクトル・トロイツキ（セルビア／左）
MADRID, SPAIN - NOVEMBER 22: Novak Djokovic of Serbia and team mate Viktor Troicki react during Day Five of the 2019 Davis Cup at La Caja Magica on November 22, 2019 in Madrid, Spain. (Photo by Alex Pantling/Getty Images)

※写真はすべてGetty Images

デビスカップ - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

デビスカップ の記事一覧 - 「テニスマガジンONLINE」はテニス専門誌『Tennis Magazine（テニスマガジン）』の公式サイトです。国内・海外のテニスニュース、選手、技術＆レッスン、アイテム、プレーヤーのための部活動「テニマガ・テニス部」の最新情報を配信します。

tennismagazine.jp

イギリス、スペイン、ロシアが準決勝に進出 [デビスカップ・ファイナルズ] - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

男子テニスの国別対抗戦、「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」（スペイン・マドリッド／11月18～24日／室内ハードコート）の大会5日目は準々決勝の残り3対戦が行われ、第5シードのイギリス（グループE1位）、スペイン（グループB・1位）、ロシア（グループB・2位）がベスト4に進出した。

tennismagazine.jp

カナダがキリオスを欠いたオーストラリアを倒し、一足先に準決勝へ [デビスカップ・ファイナルズ] - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

男子テニスの国別対抗戦、「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」（スペイン・マドリッド／11月18～24日／室内ハードコート）の準々決勝でカナダが勝負のかかったダブルス制し、オーストラリアを2勝1敗で下して準決勝に一番乗りした。

tennismagazine.jp

楽天がデビスカップの新たなグローバルパートナーに決定！ - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

楽天株式会社とKosmos Tennis（本社：スペイン バルセロナ、CEO：ハビエル・アロンソ、以下「コスモス・テニス」）は、男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ」において、楽天が2019年、2020年のグローバル イノベーション＆エンターテインメント パートナーおよびグローバルプレゼンティング パートナーになることについて、国際テニス連盟（ITF）と合意したと発表した。

tennismagazine.jp

提案に修正を加えて可決、デビスカップが2019年からシーズン末のチーム・イベントに - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

デビスカップは、やや名声を失った大会をふたたび活性化したいという願いのもと、根本的な化粧直しをすることになる。来年から、男子テニスのトップチームの大会は、シーズン末に、中庸的な地において18チームによるトーナメントという形式で勝敗を決することになるのだ。
国際テニス連盟（ITF）は、スケジュール過密を理由に頻繁に国のために戦うことをスキップしてきたエリート・プレーヤーらにとって、これはより魅力的なフォーマットであると信じている。新しい方式では、チームは11月の決勝トーナメントへ歩を進めるた...

tennismagazine.jp

部員限定記事 - テニスマガジンONLINE｜tennismagazine.jp

部員限定記事 の記事一覧 - 「テニスマガジンONLINE」はテニス専門誌『Tennis Magazine（テニスマガジン）』の公式サイトです。国内・海外のテニスニュース、選手、技術＆レッスン、アイテム、プレーヤーのための部活動「テニマガ・テニス部」の最新情報を配信します。

tennismagazine.jp