シナーが2セットダウンからの逆転劇でグランドスラム新チャンピオンに「信じられないような気分」 [オーストラリアン・オープン]
シーズン最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月14~28日/ハードコート)の男子シングルス決勝で、第4シードのヤニク・シナー(イタリア)が第3シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)に3-6 3-6 6-4 6-4 6-3で逆転勝利をおさめてグランドスラム初制覇を果たした。
出だしから相手に主導権を握られて2セットダウンと追い込まれたシナーはお互いにブレークポイントがないまま終盤まで進んだ第3セット5-4で迎えた最初のチャンスをものにして逆転勝利に望みを繋ぎ、第4セットも最後に相手のサービスゲームを破って試合を振り出しに戻すと第5セット第6ゲームでブレークしたリードを最後まで守りきって3時間44分で歓喜の瞬間を迎えた。
アグレッシブな姿勢を貫きチャンピオンシップポイントをダウン・ザ・ラインに放ったフォアハンドのウィナーで決めた瞬間、シナーはコートに倒れ込んで勝利を噛み締めた。
「とても誇りに思う。本当に厳しい試合だった。彼(メドベージェフ)は本当にいいスタートを切り、コートの端から端まで僕を振り回した。僕はゲームプランをうまく機能させることができていなかったけど、第3セットで何とか小さなチャンスを掴むことができた。そこから流れが変わったんだけど、うまく修正できて本当によかったよ」とシナーは試合を振り返った。
「今はいろんな感情があり過ぎて一旦落ち着いて整理する必要があるけど、信じられないような気分だ」
メドベージェフの6度目に対してシナーがグランドスラム決勝の舞台に立ったのは今回が初めてで、これまでもっとも近づいたのは準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)にストレートで敗れた昨年のウインブルドンだった。
「最後のゲームで最初のポイントは非常に重要だった。僕はネットに出て、シャープではなかったけどとにかくボレーをねじ込んだ。僕は『攻撃に出たい。待ちたくない』と考えていたんだ。マッチポイントでも同じで、思いきって打っていこうと思った。それは正しい選択だったよ」
準決勝で男子の最多記録となる10度(2008年、11~13年、15~16年、19~21年、23年)の優勝を誇る第1シードのジョコビッチを倒して同大会での連勝を「33」で止めていたシナーは決勝までの過程で1セットしか落としていなかったが、メドベージェフは3試合(2回戦、準々決勝、準決勝)のフルセットを含む26セットを戦っていた。
「あっという間に2セットダウンになったけど、僕は試合を長引かせようと思っていた。ダニールはコートで長い時間を過ごしていたから、長引けば長引くほど僕に有利だとわかっていた。今日はそれがとても重要だった」とシナーは明かした。
グランドスラム決勝で2セットダウンから挽回して優勝したのはシナーがオープン化以降8人目だが、全豪では2度目となる。2年前の決勝でラファエル・ナダル(スペイン)がやってのけたが、そのときの相手もメドベージェフだった。
四大大会の男子シングルスで1976年フレンチ・オープンを制したアドリアーノ・パナッタ(イタリア)に次ぐ2人目のイタリア人チャンピオンとなった22歳のシナーはオーストリアに程近いイタリア・サン カンディドで生まれ、かつてはスキーの有望選手だった。
「皆が僕の両親のような親を持てたらと思う。僕が子供の頃、両親は僕がやりたいことを自由に選ばせてくれた。僕はほかのスポーツもしていたけど、両親は僕に決してプレッシャーをかけなかった」とシナーは表彰式のスピーチで両親への感謝を述べた。
「できる限り多くの子供たちがこの自由を得られるよう願っている。だからこの場で僕の両親にありがとうと言いたい」
写真◎Getty Images
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