[浜松ウイメンズオープン] ワイルドカード選手権 ベスト4進出者たちの、それぞれの戦い(大会提供レポート)
去る9月23日と24日、浜松市の花川運動公園にて、浜松ウィメンズオープン本戦の出場1枠をかけた、“ワイルドカード選手権”が開催された。参戦選手は28名。試合は8ゲームの1セットマッチ方式で、初日に3回戦まで、翌24日に準決勝と決勝が行われた。そのワイルドカード選手権で準決勝に進んだ4選手たちの、それぞれの想いに迫る。
澤柳璃子:1年ぶりの公式戦。保留していた進退の行方は――?
澤柳璃子(リンクス・エステート)(写真提供◎浜松ウイメンズオープン実行委員会、撮影◎てらおよしのぶ)
昨年のこの時期、澤柳璃子(リンクス・エステート)は、自身の去就を“ペンディング”状態にしていた。
引退か、現役続行か――。
23歳の若すぎるその逡巡に、周囲の声は継続を望むそれが多数を占める。特に、「この大会の結果を踏まえて進退を考える」と公言していた全日本選手権で準優勝したとき、これで彼女の心も、継続で決まったのではと思われた。
だが、ジュニア時代から将来を嘱望され、日本テニス協会の強化選手にも選ばれてきた澤柳には、プロとしてやる以上は、トップ100を目指すべきという明確な定義がある。全日本後、「果たして自分には、それだけの情熱や覚悟があるのか?」と自身に問いかけた時、確たる返事が返ってきたとは言い難かった。
今の彼女は、昨夏から始めた高校の男子テニス部コーチを続けながら、ときにジュニア選手の遠征帯同をしたり、一般のテニス愛好家向けのクリニックなども行っている。さらに今年7月からは、スポーツ用具メーカーのウイルソンに契約委託として就職し、ラケットのプロモートや試打会などを生活の主軸とした。
その澤柳が今回のワイルドカード選手権に参戦したのは、昨年ベスト4に入った浜松オープンと、そして全日本選手権でもう一度、自分を試してみたいからだ。
とはいえ、今回は自らの去就をかけて……というのでもない。
「指導している高校の生徒やジュニアたちに、モチベーションを与えたい」――。
それが、彼女にとっての一番のモチベーションでもある。
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