準優勝のメドベデフ「全身全霊で戦った、僕のために観客のために」 [USオープン]

 第3、第4セットの最後のゲームでナダルのサービスをブレークしたとき、そして第5セットでもうだめかと思われたときにも、彼は諦めることを拒否した。彼はナダルが5-2からサービスに入ったゲームでブレークを果たし、最後のゲームでも再度ブレークチャンスをつかんだ。しかしナダルはそこで踏ん張り、ついに試合を終わらせることに成功した。

 その頃までには、観客の多くがメドベデフの名を叫んでいた。

「僕はすべてのポイントで戦っていた。彼らはそれを評価したのだと思うよ」とメドベデフは自己分析した。

「彼らのために全身全霊を込めて戦い、すべてを出し尽くさなければならないのだとわかっていた。第一に僕自身のために、しかし観客たちのためにも。彼らはそれを見てとり、その価値を認めてくれたのだと思う」

 それから表彰式の際に、彼は自分に声援と拍手を送りながら立っているファンたちの姿を見た。メドベデフがブーイングを浴び、あるファンが彼に中指を突き出して侮辱している場面さえ見られた3回戦とは大違いだった。3回戦でのメドベデフは、まずボールパーソンからタオルをひったくった仕草、それからラケットを主審のほうに向け放ったこと、そして中指を素早くこめかみに当てるといったいくつかの行為で観客たちを怒らせていた。

 その3回戦後のコート上のインタビューの際に、メドベデフが腕を伸ばしてもっとブーイングするよう促して彼らを挑発したとき、彼は――少なくとも今大会の残り期間は――ファンたちが憎みたがる『悪役選手のリスト』上に定位置を確保したかに見えていたのだ。

 メドべデフはすでに優秀な選手だ。彼はこの夏の一連のハードコート大会で4大会連続で決勝に進出し、世界ランキングでトップ5に浮上。フラッシングメドウでのパフォーマンスは、これまでのところグランドスラム大会で最高の成績だった。

「今夜は皆が、まだ23歳なのにも関わらず彼(メドベデフ)がなぜ世界4位の選手なのかを目にした」とナダルはコメントした。

 そんな訳で、自分に対して批判的になる傾向が強いというメドベデフも、自分のよい仕事に拍手喝采を送った新しいファンたちに同意しなければならなかった。

「自分を誉めてやらなければいけないね」とメドベデフは言った。

「これらの経験を通し、大きく成長できていたらいいと願う。でも僕は続けなければならず、もっともっと強くなる必要がある」

(APライター◎ブライアン・マホニー/構成◎テニスマガジン)

※写真は表彰式でのダニール・メドベデフ(ロシア)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

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