ディミトロフの驚きの進撃は準決勝でストップ「過剰に失望したくはない」 [USオープン]

 本当にそれは、もう少しで日曜日の決勝まで続きそうに見えていたのだ。ディミトロフは6-5とリードした第1セットのメドベデフのサービスゲームで、セット奪取まであと1ポイントというところまで迫っていた。しかしディミトロフはそこからフォアハンドをネットにかけ、もう1本をアウトしてメドベデフに挽回を許してしまった。

 実際、ディミトロフは43対41とメドベデフよりも多くのポイントを取っていた。彼はウィナー数でも14対7と2倍を刻み、アンフォーストエラーも15対18と相手より少なかった。それでも彼は、この試合に1セットも取れずに敗れたのである。

「僕はただ、カギとなるポイントでいいプレーができなかった。特に第1セットのセットポイントでね」とディミトロフは振り返った。

「彼が何をやってくるかはわかっていた。彼は思っていた通りのことをやってきたよ。第2セットでもまた、僕は自分のサービスでフリーポイントを得ることができなかった。彼のサービスに対しても同じだったよ」

USオープン2019|トーナメント表

 ずっと昔に、フェデラーに似た片手打ちバックハンドとオールラウンドなプレースタイルゆえ、『ベイビー・フェド』とあだ名されていたディミトロフは、グランドスラム大会どころかATPツアーレベルでも準決勝に至るのに1年半近く待たなければならなかった。彼は今季のオーストラリアン・オープンは4回戦で敗れ、フレンチ・オープンで3回戦、そしてウインブルドンでは初戦で敗退していた。

 彼のコーチであるアンドレ・アガシ(アメリカ)とラデク・ステパネク(チェコ)は、ニューヨークにやって来さえしなかった。彼らは間違いなくどこかで、ついにその潜在能力のある部分を発揮したかつての期待の星の試合を観ていたのだろうが…。

「僕はいまだ、何か違ったことができていたのではないかと感じている」と彼は言った。

「それが何だか、今この時点ではわかっていなけれど」

(APライター◎ダン・ゲルストン/構成◎テニスマガジン)

※写真はグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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