背中の痛みにわずらわされフェデラーが〈ベイビー・フェド〉に敗れる [USオープン]

 彼はウインブルドン決勝でのノバク・ジョコビッチ(セルビア)との伝説的5セットの死闘から2ヵ月弱の今、コート脇でジョコビッチに合流した。前年度覇者で第1シードのジョコビッチは4回戦でスタン・ワウリンカ(スイス)に2セットを奪われたあと、肩の痛みを理由に棄権していた。

 これにより第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)は、まだ勝ち残ってる唯一のビッグ3のメンバーとなった。

 一試合を相手の棄権で免除されて体力を温存した上に、自分がいるドローのボトムハーフ(下半分)の強豪が次々に番狂わせを食らうという幸運にも恵まれているナダルは、準々決勝で第20シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)と対戦する。

 また、もうひとつの準々決勝では第13シードのガエル・モンフィス(フランス)と第24シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)が顔を合わせる。

 今はややランキングを落としているが、ディミトロフがグランドスラム大会の準決勝に進出するのはこれで3度目だ。彼は金曜日の準決勝で第5シードのダニール・メドベデフ(ロシア)と対戦する。

 メドベデフは、自分にブーイングする観客たちに皮肉でお礼を言い、自分が勝ち続けているのは観客たちの敵意のおかげだと示唆することで彼らを挑発したために、フラッシングメドウで大きな注目を集めた。

 しかし今、人々は23歳のメドベデフの変化に飛んだ独特なプレースタイルのほうにより注意を注ぐようになるかもしれない。

 彼はこの火曜日の準々決勝で12本のダブルフォールトともう少しで崩れ落ちそうだったという体にも関わらず、その独特なプレーの力を借りて3度グランドスラム大会を制した実績を持つ第23シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を7-6(6) 6-3 3-6 6-1 で倒した。

 アーサー・アッシュ・スタジアムでこの日紹介されたとき、メドベデフに野次を飛ばしたが、のちに拍手喝さいを送ったニューヨークの観客たちとの関係をどう表現するかと尋ねられた彼はこう答えた。

「ふたつの言葉がある。ひとつは間違いなく“電撃的”。なぜって、本当に電撃的でワクワク、ハラハラさせる鮮烈なものだからね。そしてもうひとつは“論争(騒ぎを巻き超すの意味で)”だ」

 彼は微笑みを浮かべ、「本当に多くの人々が僕のインタビューが好きで、本当に多くの人々が僕を嫌っている」と言った。

「僕にはただ『みんな、僕は自分自身であり続けるよう努めるよ』と言えるだけだ」

 少しの間、プロとしての好戦的な個性を取り戻した彼は、「『ああ、皆すまないね』、そして『ありがとう』」と言い添え、それから笑った。

 ディミトロフは2019年の大部分で四苦八苦し、今季一週目から、どの大会でも準々決勝に至ることすらできずにいた。そしてグランドスラム大会どころか、彼がツアーレベルの大会で最後に準決勝に至ってから、一年半が過ぎ去っていた。

グリゴール・ディミトロフ(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

 オーストラリアン・オープンでの4回戦敗退から始まって、フレンチ・オープンでの3回戦、そしてウインブルドンでの1回戦敗退まで、彼のグランドスラム大会での成績も、悪い方向に向かっていた。そのため数年前には世界3位にまで上ったことのある彼のランキングは、今やトップ集団からはるかに離れている。

 彼のコーチであるアンドレ・アガシ(アメリカ)、ラデク・ステパネク(チェコ)はフラッシングメドウに来てさえいない。

 彼らは大会から離れることを選んだ。なぜかと聞かれたディミトロフは咳をし、口ごもった。しかし間違いなくここまでのところ、その方法でうまくいっている。

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はロジャー・フェデラー(スイス)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

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