世界1位ジョコビッチ「肝心なのはグランドスラム大会だ」 [USオープンPreview]

 多くの者がジョコビッチの成功の秘密は、そのリターン力、あるいはもっとも重要な瞬間に力を発揮できるメンタルの強さであると言っている。しかしその一方で、彼自身が自分のもっとも重要な能力に挙げているのが動きのよさ、コートカバリング力だ。それゆえ彼の右足の状態は、重要になりかねないのである。

 自分の動きのよさは「すべての基盤」であり、「もっとも重要なことなのだ」と彼は言った。

「それが、よりよいバランスを保つことを可能にするんだ。結局のところ、テニスプレーヤーとして求めるものはそれだろう」と彼は説明した。

「よいバランスであるときには、どんなふうにボールを打てるか。適切なスピード、正確さをもってボールを打ち抜くことができるだろう?」

 試合中のジョコビッチを見てみると、彼が瞬時に方向を変え、体をねじり、ターンし、手足をゆがめ、スライドし――クレー、グラス、そしてハードコートの上でさえ――常に適切なタイミングで適切な場所に至っていることがわかる。

 彼はその分野での自分の強みは足首の柔軟さだと信じており、その点に関して母国セルビアでほかのスポーツを行いながら育ったことに感謝しているという。

「子供の頃、かなりスキーをやっていたおかげだよ。僕はかつて多くの時間をスキーに費やしていた」とジョコビッチは明かした。

「それがコーディネーションや、一方から他方へ動きの方向を変換させる能力にもいい効果を与えたんだ。それらは違うスポーツではあるけれど、本質的に、ほとんどのスポーツでいくつかの主要な筋肉と関節を使っているわけだからね」

 数シーズン前、彼に最大の問題を与えたのは右肘の故障だった。彼はUSオープンの時期を含め2017年の半分をその問題のために棒に振り、2018年2月に手術を受けた。その後、ふたたびエンジンをかけるのに少し時間がかかったが、今やすべてがうまくいっている。

「ノバクが以前の彼と同じ人間に見えなかった1、2年があったが、彼は今、雪辱を胸に戻って来た」とESPNの解説者ジョン・マッケンロー(アメリカ)はコメントした。

 ジョコビッチがウインブルドン決勝で大接戦の末にフェデラーを倒してから、まだ1ヵ月半しかたっていない。勝利を味わう時間はそうなく、体を休める時間もそうなかった。

「このスポーツは少しばかり残酷だ」とジョコビッチは言った。

「自分の成功に感嘆し、それを祝うとうときにはね。シーズンは進み続けているから、すべてを振り返り、浸る時間を持つような贅沢はほどんどできないんだよ」

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は24日のUSオープン前のキッズ・イベントに参加し笑顔を見せるノバク・ジョコビッチ(セルビア)
NEW YORK, NEW YORK - AUGUST 24: Novak Djokovic makes an appearance at the Arthur Ashe Kid's Day on center court at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 24, 2019 in New York City. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

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