出産後の初優勝を目指すセレナが19歳アンドレスクとの決勝へ [ロジャーズ・カップ]

WTAツアー公式戦の「ロジャーズ・カップ」(WTAプレミア5/カナダ・トロント/8月5~11日/賞金総額283万ドル/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、地元選手で19歳のビアンカ・アンドレスク(カナダ)が20歳のソフィア・ケニン(アメリカ)を6-4 7-6(5)で倒し、同大会で決勝に進出した50年ぶりのカナダ人女子プレーヤーとなった。

 女子の決勝に進出した彼女以前の地元選手は、フェイ・アーバン(カナダ)だった。それは大会がまだクレーコートで行われ、「カナディアン・オープン」と呼ばれていた1969年のことだ。

「間違いなくプレッシャーはあるだろうけど、私には失うものは何もないわ」とアンドレスクは決勝を見据えた。

「どうなるか見てみましょう。私はただ、現在のこの瞬間に集中するよう努めるつもりよ」

 会場のトロントにほど近いオンタリオ州ミシサガ出身のアンドレスクは、日曜日の決勝の決勝で第8シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦する。

「観客たちは当然ながら彼女を応援するでしょうけど、肝心な点はそれではないわ」とセレナはコメントした。

「大事なのは、ただコートに出て行って素晴らしいテニスをするということなのよ。幸い私にはキャリアの中で(自分の対戦相手に加担する)厳しい観客を前にしてプレーしたことが何度もあるから、その経験が役に立つことを願うわ」

予選から快進撃の21歳ブーズコバに苦戦を強いられたセレナ

 この日のセレナはもうひとつの準決勝で、予選から勝ち上がってきたマリー・ブーズコバ(チェコ)を1-6 6-3 6-3で退けた。

「私はとにかく安定性のあるプレーをし、過剰にミスを犯さず、必要とあらば何千というボールを打つため精神的に準備する必要があった」とセレナは準決勝を振り返った。

「第1セットでの私は、決めようとしてムキになって打ち過ぎていたわ。だから、そのあとは少し違ったプレーをしなければならなかった。変化を加えて同じようなことばかりせず、相手に予想されないようにプレーすることが重要だった。これは何より、今後のためのいいレッスンでもあったわ」

予選から快進撃を見せたマリー・ブーズコバ(チェコ)
TORONTO, ON - AUGUST 10: Marie Bouzkova of Czech Republic hits a shot against Serena Williams of the United States during a semifinal match on Day 8 of the Rogers Cup at Aviva Centre on August 10, 2019 in Toronto, Canada. (Photo by Vaughn Ridley/Getty Images)

 現在世界ランク10位で37歳のセレナはこの大会で3度(2001年、11年、13年)優勝を遂げており、そのすべてを会場がトロントだったとき(ロジャーズ・カップは男女の会場をトロントとモントリオールで毎年入れ替えて行っている)に実現している。

 この結果でセレナは、この大会での通算成績を34勝4敗とした。彼女はツアー通算72勝を挙げているが、出産前の2017年オーストラリアン・オープンを最後に優勝から遠ざかっている。

「過去数ヵ月は、本当に辛いものだった」とアンドレスク

 地元優勝を目指すアンドレスクは、右肩の故障で戦線離脱を余儀なくされた5月のフレンチ・オープン以来の大会に臨んでいる。彼女は3月のインディアンウェルズで優勝し、WTAツアー初タイトルを獲得していた。

「過去数ヵ月は、本当に辛いものだった」とアンドレスクは打ち明けた。

「ただ今ここにいられるということだけでも、本当に信じられないほど素晴らしいことだわ」

 満員の騒々しい観客たちに応援に支えられ、アンドレスクは5本目のマッチポイントでケニンにとどめを刺した。アンドレスクは第2セットがタイブレークにもつれ込む前に3度試合を終えるチャンスを手にしたが、ケニンはそのつど反撃してピンチを凌いでいた。

 これはアンドレスクにとって、フルセットに持ち込まれなかった今大会最初の試合だった。彼女は最終的にバックハンドのウィナーで試合に終止符を打った。

 勝利の瞬間、彼女は膝をついて手で顔を覆い、それからアヴィバ・センターのハードコートにキスをした。オンコートインタビューのあと、彼女は観客席に来ていた両親と長い抱擁を交わした。

「タイブレークの間に経験したすべての感情を、私の体はただただ放出したがっていたのだと思う」とアンドレスクは振り返った。

「ロジャーズ・カップの決勝に進出したなんて、ただただ信じられない。この大会にやってきたとき、私はどんな期待も抱いていなかった」

 2月のアカプルコで接戦の末にアンドレスクを倒したケニンは、試合を完了させて彼女に勝った最後の選手だ。故障で途中棄権した試合を除外して考えると、アンドレスクはこれで16試合に連続して勝っていることになる。そしてその中には、トップ10選手に対する6勝も含まれている。

 大会後に更新される世界ランクで、アンドレスクは27位から最低でも19位まで上がることになる。(C)AP(テニスマガジン)

試合後に健闘を称え合うビアンカ・アンドレスク(カナダ/右)とソフィア・ケニン(アメリカ)
TORONTO, ON - AUGUST 10: Bianca Andreescu (R) of Canada hugs Sofia Kenin of the United States following a semifinal match on Day 8 of the Rogers Cup at Aviva Centre on August 10, 2019 in Toronto, Canada. (Photo by Vaughn Ridley/Getty Images)

※トップ写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
TORONTO, ON - AUGUST 10: Serena Williams of the United States waves to the crowd after defeating Marie Bouzkova of Czech Republic following a semifinal match on Day 8 of the Rogers Cup at Aviva Centre on August 10, 2019 in Toronto, Canada. (Photo by Vaughn Ridley/Getty Images)

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