ナダルがストレート勝利で大会をスタート、対戦相手のハンフマンとは試合前に奇妙なやりとり [フレンチ・オープン]
フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月26日~6月9日/クレーコート)の男子シングルス1回戦で、前年度覇者のラファエル・ナダル(スペイン)が12度目のタイトルを目指す進撃を、世界ランク184位のヤニック・ハンフマン(ドイツ)に対する6-2 6-1 6-3の勝利によって軽快にスタートさせた。
ナダルは最初のゲームでこそやや不安定で4つのブレークポイントを凌がなければならなかったが、試合の残りではもう2度と相手にブレークポイントを許さなかった。
「最初の2セットのあと、ちくしょう!って感じに考えるものだ」とハンフマンはコメントした。
「…厳しいね」
とはいえ、ナダルの恐るべきフォアハンドはベストの状態ではなく、ウィナー(9本)より多くのアンフォーストエラーを記録した。
「僕はマッチプランを持って臨んだが、そのいくつかはあまりうまく機能しなかった」とアメリカの南カリフォルニアで大学テニスをプレーしていた27歳のハンフマンは試合を振り返った。
「でも、だからこそ彼は優れた選手なんだよ」
予選3試合に勝ったハンフマンは、本戦1回戦でナダルの“サンドバック”となる栄誉を授けられた。しかし彼はセンターコートでのキャリア初の晴れ舞台で、みっともない真似はさらさなかった。
事実上、ナダルが自分の裏庭としたそのスタジアムで、ハンフマンはナダルの最初のサービスをブレ―クするチャンスを4度手に入れた。
しかし----ロラン・ギャロスでナダルと初めて対峙するという体験は、経験の薄い者に奇妙な影響をおよぼすようである。
試合開始直前のウォームアップ後のことだ。両選手はふたりの子供とネット際での記念撮影に応じたが、そのときハンフマンはなぜか、ナダルに握手の手を差し出した。試合後、彼自身でさえが、通常は試合後に行う伝統の握手を、なぜあそこで求めたのか説明できなかった。もしナダルが彼を無視したら、非常に恥ずかしい思いをするところだったが、幸いナダルは差し出された手を空で揺れるままにしておかず、自分も手を差し伸べた。
「あれは奇妙だった。正直、自分が何をしていたのかわからないよ。僕はちょっと混乱していたんだ」とハンフマンはその場面を振り返った。
「彼が子供、それから審判と握手しているのを見て、思わず自分の手を突き出してしまった。なぜかはわからないけど」
第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)も、この日は世界44位のフホベルト・ホルカシュ(ポーランド)を6-4 6-2 6-2のストレートで下し、次のラウンドに駒を進めた。
また、第4シードのドミニク・ティーム(オーストリア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したトミー・ポール(アメリカ)を6-4 4-6 7-6(5) 6-2で、第13シードのボルナ・チョリッチ(クロアチア)はアルヤズ・べデネ(スロベニア)を6-1 6-7(4) 6-4 6-4で倒して勝ち上がった。
そのほか、第24シードのスタン・ワウリンカ(スイス)、ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)、第21シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)らも2回戦に進んだ。
一方、1月のオーストラリアン・オープンで準々決勝に進出した第32シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)は、フィリップ・クライノビッチ(セルビア)に2-6 6-4 3-6 6-3 0-6のフルセットで敗れた。彼は試合途中で何度か嘔吐し、終盤になると彼のテニスはついに崩れた。
「いうまでもなく、力が枯渇してしまい、僕の中にはもう何も残っていなかった」とティアフォーは試合後に語った。
「試合中に吐くというのは、ふつうあまり起きることじゃない。第3セットの終わりにロッカールームに行ったときにも吐いてしまったよ」
これで彼のロラン・ギャロスでの戦績は0勝4敗となった。
1回戦で敗退したそのほかのシードの中には、第12シードのダニール・メドベデフ(ロシア)もいた。彼は、地元選手のピエール ユーグ・エルベール(フランス)に6-4 6-4 3-6 2-6 5-7で逆転負けした。また、第10シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)がヤン レナード・ストルフ(ドイツ)に6-7(1) 3-6 4-6で、第15シードのニコラス・バシラシビリ(ジョージア)は世界78位のフアン イグナシオ・ロンデロ(アルゼンチン)に4-6 1-6 3-6のストレートで敗れた。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はラファエル・ナダル(スペイン)(撮影◎毛受亮介)
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