フェデラーがモンフィスに競り勝ち準々決勝へ、マッチ1200勝の金字塔 [ムトゥア・マドリッド・オープン]

ATPツアー公式戦の「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/スペイン・マドリッド/5月5~12日/賞金総額727万9270ユーロ/クレーコート)の男子シングルス3回戦で、第4シードのロジャー・フェデラー(スイス)が第15シードのガエル・モンフィス(フランス)に6-0 4-6 7-6(3)で競り勝ち、ベスト8に駒を進めた。

 マッチポイントに直面し、しかもセカンドサーブとなって、フェデラーは“パニックムーブ”の時間がきたと判断した。

 そんな訳で彼は、2016年以来のクレーコートでの大会で期待を裏切らないようにするため、全面的な攻撃モードに入ってネットにチャージした。そして、その作戦は機能した。

 ラッキーなボレーと、それに続くスマッシュのウィナーが、フェデラーを試合の中に引き留めた。2ポイント後のアグレッシブなフォアハンドのおかげで彼はふたつ目のマッチポイントをセーブして勝負をタイブレークに持ち込むと、そのまま勝利に向け突き進んだ。

「僕のチャンスは、ベースラインからよりネットでのほうが大きいと感じた。だから、いわば死にもの狂いの『パニックムーブ(やけっぱちの賭け)』だった」とフェデラーは試合後に明かした。

「僕はすごくナーバスになっていた。だからただ、“ネットに出て、リスクを犯せ”とだけ考え、それがうまくいったんだ」

 ここ3年でわずかふたつ目のクレーコートでの試合で、フェデラーは第3セットの終わりに3ゲームダウンから挽回した。結果的に勝敗の行方がかかったタイブレークでは相手を圧倒し、2時間を超える戦いの末に準々決勝進出を決めた。

 これはフェデラーにとってキャリア通算1200回目のマッチ勝利であり、彼はこれでプロ化以降の時代でこのマイルストーンに至った唯一の男子プレーヤーであるジミー・コナーズ(アメリカ)に合流することになった。

「以前に第1セットを6-0で取ったあとに試合を落としたことがあったかどうか、はっきり覚えていない。この統計は通常、自分がいい調子であることを示すものだ。しかしガエルが相手では、本当に何が起こるか決して分からない」とフェデラーは語った。

「彼はあのあと素晴らしいリズムに入っていき、プレーの強度をぐっと上げた。最後には、僕は素晴らしいタイブレークをプレーした。だから今、非常にホッとしているし、すごく幸せでもある」

 第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)、第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)、前年度覇者で第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)らも勝ってベスト8に進出した。

 初戦でリシャール・ガスケ(フランス)をストレートで下したフェデラーは、第1セットを20分足らずで取ったこの日の試合でも、またも心地よい勝利をつかむかに見えていた。しかしフェデラーはそれから5ゲームを連続で落とし、故障から復帰して今季2つ目のタイトルを狙う世界ランク18位のモンフィスにリードを奪い返された。

 ときにいら立っているように見えたフェデラーは、第3セット0-3、1-4から挽回し、非常に長いものとなった5-6からの第12ゲームではふたつのマッチポイントを凌いだ。そしてタイブレークでは、最初の7ポイントのうち6つを取ってコントロールを取り戻した。

 第1セットで9ポイントしか奪えなかったモンフィスは、今季のマッチ19勝目をもう少しのところで逃してしまった。彼は2月のロッテルダムで優勝していた。

 フェデラーは準々決勝で、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と対戦する。ティームはこの日、第10シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-4 7-5で退けた。

 今シーズンのティームはハードコートのインディアンウェルズとクレーコートのバルセロナで優勝しており、4月のバルセロナでは優勝への道のりでナダルを倒していた。彼はまたここマドリッドにおいて、2年連続で準優勝している。

 今季のマッチ20勝目を記録したフェデラーは、残りのシーズンでよい体調を維持するため、ここ2年クレーコートシーズンを丸々スキップしていた。

 このマドリッド・オープンは、3年の不在のあとにフレンチ・オープン帰還の準備をしている彼にとって最初のクレーコートでの大会となる。彼は今季、ハードコートで開催されたドバイとマイアミで優勝しており、ここマドリッドで2012年以来となる3度目のタイトルを目指している。

 この日フランシス・ティアフォー(アメリカ)を6-3 6-4で下したナダルは、今大会で6度目のタイトルを目指して進撃中だ。

「よりよいリズムでプレーし、いくつかのポジティブなものを見せた。満足しているよ」とナダルは振り返った。彼は胃炎のため、大会前の練習がほとんどできないまま試合に入ることを余儀なくされていた。

 これに先立ち世界1位のジョコビッチは、ジェレミー・シャルディ(フランス)を6-1 7-6(2)で下して8強入りを決めた。これはジョコビッチにとってシャルディに対する連続13回目の勝利であり、そのすべてがストレートセットだった。

「過去に一度も負けていないと、より自信をもって試合に臨めるものだ。でも彼は、ここでよいプレーをしていた」とジョコビッチはコメントした。

 ジョコビッチは次の準々決勝で、ラスロ・ジェレ(セルビア)に4-6 6-3 6-2で挽回勝ちをおさめた第9シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。

 また、第8シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)がフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)を6-3 6-4で、スタン・ワウリンカ(スイス)は第6シードの錦織圭(日清食品)を6-3 7-6(3)で下して勝ち上がった。

 ワウリンカは、ナダルの次の相手だ。一方のチチパスは、ズベレフと対戦する。ズベレフはこの日、予選勝者のホベルト・ホルカシュ(ポーランド)に3-6 6-4 6-4で競り勝った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はロジャー・フェデラー(スイス)
MADRID, SPAIN - MAY 09: Roger Federer of Switzerland celebrates defeating Gael Monfils of France during day six of the Mutua Madrid Open at La Caja Magica on May 09, 2019 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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