土居と日比野で圧倒的な2連勝、日本がワールドグループ2部残留に王手 [フェド杯ワールドグループ2部プレーオフ 日本対オランダ]
女子テニスの国別対抗戦「フェドカップ(フェド杯)」のワールドグループ2部プレーオフ「日本対オランダ」(4月20、21日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)の初日はシングルス2試合が行われ、ともに日本が勝利を挙げた。
大坂なおみ(日清食品)が出場を辞退した日本チームだが、同様にエースで世界ランク7位のキキ・バーテンズを欠くオランダに対し、土居美咲(ミキハウス)と日比野菜緒(ブラス)が快勝。ワールドグループ2部残留に早くも王手をかけた。
◇ ◇ ◇
先陣を切ったのは土居だった。10ヵ月前には300位台まで落としていたランキングを104位まで戻してきた27歳は、同じく27歳で176位のリシェル・ホーヘンカンプ(オランダ)を6-3 6-4、1時間12分で一蹴した。
「自分のテニスをやりさえすればチャンスは広がると思っていました」
その自信は今年、オーストラリアン・オープンやインディアンウェルズ、マイアミというビッグイベントで予選を突破するなどして蘇ってきたものだろう。自分のテニスとは、武器であるフォアハンドで相手を積極的に揺さぶるプレーだ。
この試合での土居はラブゲームでのサービスキープで絶好の立ち上がりを見せると、第4ゲームでブレークに成功。鮮やかなフォアハンドのウィナーを随所で放ち、試合が進むにつれてリズムに乗った。
ホーヘンカンプは「自分のプレーも悪くなかったが、相手のプレーがよすぎた。アグレッシブなプレーで常にプレッシャーをかけてきた」と脱帽。第2セットは4-0から4-3まで追い上げられたものの、「自分のテニス」を失うことはなかった。
2月の1回戦で2年ぶりにチーム復帰したものの、初日の2試合目でマッチポイントも握りながら逆転負けを喫した。結果、翌日はメンバーを外れ、チームは敗れた。1ヵ月後のインディアンウェルズでは「しばらく引きずりました」と話したが、今日は「何がなんでもリベンジしたい」という気持ちが勝った。
大坂に代わってエースという立場も背負うが、2番手の日比野も112位とほぼ同格であり、「正直そこまで(意識していない)という感じ。みんな一丸となってやろうという思いのほうが強い」と話す。
ダントツの存在がいないからこそ生まれた結束なのかもしれない。土居が作った流れを引き継いだ日比野は、149位のビビアネ・スクーフス(オランダ)に対してさらに短い54分、6-1 6-2で決着をつけ、試合後はチーム戦の重圧ではなくその心強さを強調した。
「フェドカップは一人で戦っているんじゃない。これまでの経験から、コーチやスタッフ、他の選手も皆で戦っているんだという気持ちでコートに入れたので、過去3回よりもいいプレーができたと思う」
第2ゲームと第6ゲームをブレークした第1セットを6-1で奪うと、日比野は第2セットも最初のゲームをブレーク。すぐにブレークバックを許したが、流れは譲らずふたたび突き放した。今取り組んでいるドロップショットやネットプレーといった多彩なプレーにも果敢にトライし、成功させた。
「選手たちには戦術を伝えるよりも、普段から取り組んでいること、経験から学んだことを発揮できることが大事だと話している」という土橋登志久監督の言葉を完璧に実践したといえる。
オランダのポール・ハールヒュース監督も土居と日比野を称えた。
「日本の選手たちのほうがランキングが上だということと勝敗は関係ない。最初のポイントからマッチポイントまで、彼女たちはすごくいいプレーをした。僕たちの選手も全力を尽くしたが、チャンスは訪れなかった」
しかし、元ダブルス世界1位でオランダのデビスカップ史上最多出場記録を持ち、団体戦を知り尽くすキャプテンは奇跡も信じている。
明日は第1試合で土居がスフースフと対戦する予定。オランダの奇跡の芽が出ないよう、この勢いのまま一気に勝負を決めたい。
(ライター◎山口奈緒美)
※トップ写真は2勝目を挙げてチームと喜びを分かち合う日比野菜緒(ブラス)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU
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