新デビスカップがスポンサー収入を増やすためバーチャル広告の世界へ
2019年の男子世界国別対抗戦「デビスカップ」における変更は、単に改定されたフォーマットだけではない。一会場で行われる1週間の大会に各国代表を集わせる新しいプレー方式に加え、デ杯はまた新しいスポンサーシップ戦略を実施することになる。それに基づき、このテニスの男子トップチームの大会を、テレビの視聴者の目に違った形で見せることを予定している。
すべては、それを“どこで”見ているかによるのだ。
リーガ・エスパニョーラのFCバルセロナに所属するジェラール・ピケに率いられる、新デ杯の背後にいるグループは、今年の11月18〜24日にスペイン・マドリッドで行われるテニスの“ワールドカップ”のテレビ放映の間、広告を掲示するのに、板などを使用するのではなくバーチャル・イメージを使用することを予定している。
つまりスポンサーロゴは、コート上にデジタルで浮かび上がるのだ。これはアメリカの視聴者に対するもので、アジアやヨーロッパの視聴者、あるいはマドリッドの試合会場「カハ・マジカ」(マジックボックスの意)で実際に観戦している人たちとは、違った広告を見ることになる。
こうした戦略は、スポンサーに柔軟性・適応性を与え、大会開催者が世界中にさまざまな違ったスポンサーシップのパッケージを売ることを可能にし、収入の幅を広げることになる。大会全体にひとつの主要スポンサーを持つ代わりに、開催者は複数の会社と契約を交わすことができるのだ。
「スポンサーシップに関して起こることのひとつは、全世界の関心を引く、世界的ブランドのひとつを見つけるということです」とコスモス・テニスCEOのハビエル・アロンソ氏はAP通信に語った。
「しかし、現在すぐに使用可能なモダンなテクノロジーをもってすれば……我々は3つ、4つの違った放映ネットワークをターゲットにしており、バーチャル・テクノロジーによる広告を用いれば、各放送局がそれぞれ違ったスポンサーを持つことができるという訳です」
さまざまな市場で特有の製品をプロモートできるので、世界の企業はこの新しい雛形から利益を引き出すこともできるはずだ。例えば、自動車会社はヨーロッパではある車種を、アジアでは別の車種の広告を出すことができ、ビール会社は南米である商品を、オセアニアでは別の商品の広告宣伝を行うことができる。
DBR(デジタル・ボード・リプレースメント)と呼ばれるこのテクノロジーは、新デ杯のパートナーでありスポンサーのスペイン・サッカーリーグですでに採用され、成功を収めている。スペインのリーグは5年ほど前にバーチャル・スポンサーシップの戦略を採用した先駆者的スポーツ大会の一つであり、現在9つの違った地方にそれぞれ特有の放映を行っている。
「これはスポンサーにとって、ずっと魅力的なフォーマットです」とリーガ・エスパニョーラの国際開発部門のディレクターを務めるオスカー・マヨ氏は説明した。
「これはフルに開発済みのモデルで、我々はノウハウを分かち合い、サポートを行っているのです」
この新テクノロジーを使うプランは、ピケが創設した投資会社であるコスモスにとってすでに長く練った計画だったが、デ杯の長年のスポンサーであるBNPパリバ銀行が先月、大会への投資を続けないことを決めたあとに状況は加速した。BNPパリバ銀行は、「大会のフォーマットが変わったため」17年のスポンサーシップを終わらせると言ったのだ。
「それが起きたときには驚きでしたが、我々はすでにほかのプランを持っていたので対処できました」とアロンソ氏は語った。
「すでに契約を結んだスポンサーもおり、我々は今、かつての30〜40%をすでに手にしています。問題はありません」
デ杯開催者は、すべての試合が同じ会場で、1週間の間に行われる新フォーマットが新スポンサーを引きつけるカギだと言った。
シーズン末に行われる新デ杯ファイナルズ(決勝トーナメント)では、18ヵ国=18チームが6つのグループに分かれて3チームによる総当たり戦を行い、グループ勝者がノックアウトステージ(トーナメント)に進む。各国は月曜日から木曜日にかけてグループ戦を戦い、金曜日から日曜日がノックアウトラウンドとなる。
各対戦は3つのスタジアム(いずれもハードコート)で午前・午後に行われ、それぞれシングルス2試合、ダブルス1試合(ベスト・オブ・3セットマッチ)の計3試合で勝敗を争う形式をとる。
新デ杯は、コスモスと国際テニス連盟(ITF)の間の25年のパートナーシップ契約の一環で、ITFは地元テニス協会のために収入を増やそうという試みで取引を行った。(C)AP(テニスマガジン)
デビスカップ・ファイナルズ|グループ分け
Aグループ フランス / セルビア / 日本
Bグループ クロアチア / スペイン / ロシア
Cグループ アルゼンチン / ドイツ / チリ
Dグループ ベルギー / オーストラリア / コロンビア
Eグループ イギリス / カザフスタン / オランダ
Fグループ アメリカ / イタリア / カナダ
※トップ写真はデビスカップ(Getty Images)
MADRID, SPAIN - 2019/02/14: Trophy ahead of the draw ceremony of the Davis Cup tennis finals 2019. (Photo by Marcos del Mazo/LightRocket via Getty Images)
Pick up
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-11-29
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-11-29
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ