フェデラーがイズナーを破り、通算101勝目となるタイトルを獲得 [マイアミ・オープン]
ATPツアー公式戦の「マイアミ・オープン」(ATP1000/アメリカ・フロリダ州マイアミ/3月20~31日/賞金総額931万4875ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝で、第4シードのロジャー・フェデラー(スイス)が足を引きずるジョン・イズナー(アメリカ)を6-1 6-4で下し、キャリア101勝目となるタイトルを獲得した。
37歳のフェデラーが見慣れた大きな笑みを浮かべ、またひとつトロフィーを高く掲げたとき、オレンジ色のテープが降り注いだ。この結果で彼は、2019年に2度優勝した初のプレーヤーとなった。
フェデラーは前年覇者で第7シードのイズナーのビッグサーブを攻略し、そして自分のサービスからの35ポイントのうち32本を取った。
身長208cmのイズナーは、ラリーに踏みとどまろうと必死になってバタバタと走り回ったために左足を痛めてしまい、最後の数ポイントではひどく足を引きずっていた。
試合後のイズナーは、故障がどんなもので、どれくらい深刻かはまだわからないと言った。
一方でフェデラーは、「今は僕にとってよい一時期、一連のよい期間にある」とコメントした。
「僕は本当に、自分がすごく健康だと感じているんだ。だからこそ、ここ4週間は(ほぼ)毎日プレーすることができた。ここ2年は、必ずしも常にそうではなかったと思う。だから、こういった瞬間には感謝するものだ」
フェデラーの今年の戦績はこれで18勝2敗となり、これは男子ツアーで最良のものだ。この事実は彼が今年、男子史上最多記録となるグランドスラム20勝を更新する可能性を示している。
「あなたがこのレベルのテニスをプレーし続け、勝ち続けているというのは驚くべきことだ」と元トップ5の選手で現在マイアミ・オープンのトーナメントディレクターであるジェームズ・ブレイク(アメリカ)は、表彰式でフェデラーを称賛した。
「それは僕自身を、ひどい劣等生だと感じさせる。僕らは皆、ただただ畏れ入るばかりだ」
イズナーも表彰式でフェデラーに大きな賛辞を送った。
「今日のあなたは、あまりにもうますぎた。この大会全体を通して、まったく有能すぎだよ」
「あなたはそのキャリア全体を通して、ひたすら有能すぎた。今あなたがやっていることは、まったく信じられないようなことばかりだ。このスポーツに今あなたがいることを、僕らは本当に幸運だと思う。僕ら皆が、あなたにプレーし続けてほしいと、文字通り、決して引退しないでほしいと願っている。だから頑張り続けてほしい」
2019年開始時からの男女33大会で、33人の違ったプレーヤーたちが優勝を遂げた。その中には、土曜日にマイアミ・オープン女子シングルス決勝で勝った22歳のアシュリー・バーティ(オーストラリア)も含まれる。フェデラーはすでに今年行われた20の男子の大会で、優勝を繰り返した初の選手となった。
「ある意味で、それはふさわしいよ」とイズナーは言った。
20年前にワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したフェデラーは、マイアミ・オープン優勝を遂げた初のプレーヤーとなった。彼は、ドルフィン・コンプレックスに移転する前のキービスケーンが会場だった2005年、2006年、2017年にもタイトルを獲得していた。
「僕にとってここでの旅は、この上なく長いものだった」とフェデラーは観客たちに向かって語った。
「こんなに長い年月のあとに、今ここに立っているということは、僕にとって本当に大きな意味を持つ」
このNFLスタジアムの中の仮設スタンドは、この男子決勝ではほとんど満席だった。しかしフェデラーは迅速に、あらゆるドラマの可能性を取り除いた。彼は第1ゲームでブレークを果たし、それからわずか24分しかかからなかった第1セットで、さらに2度ブレークに成功した。
「チャンピオン、ロジャー!」とひとりのファンが叫び、それがさらなる喝采を促した。
イズナーにとって状況をより難しくすることに、彼の足は第1セットの途中から痛み始め、試合が進むにつれて問題は悪化していった。
「ひどい気分だよ。史上もっとも偉大な選手と対戦し、この信じられないような雰囲気の中でプレーしているときに、足がひどく痛むとは」とイズナーは振り返った。
「痛んでいなかったら僕が勝ったかも、ということではない。そこははっきりさせておこう。でも、これをより面白い試合にすることはできたんじゃないかと思う。そしてもう少し楽しいものに」
フェデラーはイズナーを気の毒に思ったが、そのことによってプレーが影響を受けるような事態には陥らなかった。
「自分がやっていたことをやり続けることが重要だった。もし彼がケガをしてしまったというなら、それは仕方ないことだ。彼にとって不運なことだが」とフェデラーは言った。
「試合のあとには、もちろん、深刻なケガでないことを願ったよ」
イズナーは治癒に少し時間がかかるかもしれない一方で、フェデラーは昨年はスキップしていたクレーコート・シーズンのための準備を始めることになる。彼は、フレンチ・オープンのための調整として、5月にマドリッド・オープンでのプレーを予定している。
「率直に言うが、僕はクレーコート・シーズンに入っていくにあたり、大いに自信を持っている訳ではない。なぜって、どうやってスライディングするかさえ、もはや覚えていないからね」とフェデラーは不安を口にした。
「現時点での僕は、小さな一歩を踏んで、本当に少しずつ進んでいる。すごくわくわくしているよ。いいチャレンジ、いいテストだ。自信? はっきりとはわからないね」
はっきりとわからないと言うのに、彼はノーマンズランド(無人地帯)という表現を使った。テニス界で、ノーマンズランドはサービスライン付近のこと指す。フェデラーは、そこから多くのウィナーを打ち込むことだろう。
前日にはダブルス決勝が行われ、第3シードのボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(ともにアメリカ)がヴェスレイ・クールホフ(オランダ)/ステファノス・チチパス(ギリシャ)を7-5 7-6(8)で倒して大会を制した。(C)AP(テニスマガジン)
※トップ写真はマイアミ優勝のロジャー・フェデラー(スイス/右)と準優勝のジョン・イズナー(アメリカ/左)
MIAMI GARDENS, FLORIDA - MARCH 31: during day fourteen of the Miami Open tennis on March 31, 2019 in Miami Gardens, Florida. (Photo by Julian Finney/Getty Images)
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