30回目の“ウイリアムズ対決”はセレナの一方的な勝利に [USオープン]

「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月27日~9月9日/ハードコート)の女子シングルス3回戦。

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、ネットの反対側で打ち負かされている相手を気の毒に思うことを決して自分に許さず、ウィナーを狙ってビッグショットを炸裂させ続けた。

 では、それが自分の姉に起きたらどうなるのか?

 ウイリアムズ姉妹は、プロとしての30対戦があったその20年にわたるキャリアの中で、ずっと昔に、試合では互いをただの対戦相手と見なければならない、ということを学んでいだ。そしてセレナの目の中で、姉であるビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)はこれまで対戦した中で最高の選手だった。

「特に私にとっては難しいことだけど、私達はとにかくベストを尽くさなくてはならない」とセレナは言った。

 金曜日のプレーは、おそらく彼女がビーナスに対してやった中で最高の試合のひとつだった。セレナはビーナスを6-1 6-2で下し、姉に対するもっとも一方的な勝利に匹敵するものをやってのけた。

 試合の早い段階で足首を痛めたにもかかわらず、セレナは7ゲームを連取し、おそらく、1年前に娘を生んで以来もっとも圧倒的なパフォーマンスを見せつつ、試合の主導権を握った。

 ここ20年のグランドスラム大会でもっとも早い段階で起きた姉妹対決は、ビーナスがセレナのパワーを弱めるために何をすることもできなかったために、早めに終わることになった。その日、大会記録となった7万162人もの観客たちが、第2セットの出だしに「カモン(頑張れ)、ビーナス!」と叫び、必死に彼女の後押しをしようとしたにもかかわらず。

「これは、私が彼女に対してプレーしたなかで、最高の試合だったと思うわ」とセレナは1時間12分で終わった試合についてコメントした。

「でも、これまでの人生を通して最高だったかはわからない。多分そうかもしれないけど。復帰の試みを始めてからで言えば、今夜は以前よりもずっといいプレーができたわ」

 この3回戦での衝突は、グランドスラム大会において、彼女たちのプロとしての初対戦だった1998年オーストラリアン・オープン2回戦でビーナスが勝ったときに次いで早い段階での対戦だった。どちらか3ゲームしか落とさず勝ったことは、ここ20年でほかに1度しかない。2013年のチャールストン準決勝で、セレナは同じスコアでビーナスに勝ったことがあったのだ。

「これは彼女が私に対してやった中で、最高の試合だったと思うわ」とビーナスは言った。

「私は自分が間違ったプレーをしたとは思わない。でも、ただ彼女が、すべてを正しくやってのけたのよ」

 第17シードのセレナは次の4回戦で、カイア・カネピ(エストニア)と対戦する。カネピは1回戦で、世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)を破っていた。

 来月に37歳になるセレナは、姉との対戦成績で18勝12敗、グランドスラム大会だけでいうと11勝5敗でリードしている。しかしこの対戦が、こうも簡単なものになるとは予想されていなかった。セレナは出産を経てこの春にツアーに戻ったあと、いまだ調子を取り戻すため努力しているところだったからだ。

 しかし、この日彼女が見せたのは、彼女が23度のグランドスラム・タイトルを勝ち獲った選手であることを証明するテニスだった。コートのいたるところに力強いショットを打ち込み続け、取れないかに見える稀なショットに追いつく能力を見せつけた。

 セレナは10本のサービスエースを打ち込み、ビーナスのほうは1本にとどまった。おそらく彼女は、大会出だしのふたつのタフな試合のために体力を消耗していた。ビーナスは1回戦で、2004年USオープン優勝者のスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)に対してフルセットの接戦を演じていたのだ。

 一方のセレナは、最初の2ラウンドを比較的楽に勝ち上がっていたが、金曜日のアーサー・アッシュ・スタジアムの照明の下では接戦になるだろうと予想されていた。姉妹は、フラッシングメドウで2人合わせて8つの優勝杯を獲得している。うち6つがセレナ、残りの2つはビーナスで、お互いに決勝で、もうひとりを倒してもいた。

 しかしこの夜、セレナを倒すことは不可能であるように見えた。試合の大部分でビーナスの顔によぎっていたがっかりしたような表情は、彼女がそのことに気付いていた証拠でもあっただろう。

「彼女は、本当にいいプレーをしていた。私は決して本当の意味でボールに触れなかった」と昨年ベスト4のビーナスは言った。

 それでも、この試合の第2ゲームで、ビーナスのショットに背後を突かれ、セレナが足首を奇妙な具合にひねったときには、彼女が問題を抱えるかに見えていたのだ。セレナは数秒の間、背中をコートに向けてベースラインの近くに立っていた。彼女はそれから主審に、次のエンドチェンジでトレーナーを呼びたいと身振りで合図した。

 セレナは2-1とリードしたあとに足首に治療を受け、それから、ビーナスが簡単なスイングボレーをミスしたことにも助けられ、次のゲームでブレークを果たした。彼女はふたたびブレークして5-1とリードを広げ、それから、次のサービスゲームで2本のサービスエースを決めて、31分で第1セットを終わらせた。

「言うまでもなく、彼女はこのレベルを大会を通してキープしたいと思うでしょう。間違いなく」とビーナスは言った。

「対戦相手がこんなふうにプレーしているときには、(敗れたからと)動揺すべき理由は何もないわ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は3回戦で対戦したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ/右)とビーナス・ウイリアムズ(アメリカ/左)
NEW YORK, NY - AUGUST 31: Serena Williams of The United States is congratulated by her sister and opponant Venus Williams of The United States following their ladies singles third round match on Day Five of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 31, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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