コロナ危機に瀕するアメリカ大学テニスの苦悩
ニューメキシコ大学とテキサスA&M大学の元コーチのティム・カス氏は現在、フロリダ州にある全米テニス協会(USTA)のナショナルキャンパスのゼネラルマネージャーを務めている。彼は大学が地域にキャンパス内のテニス施設を開放し、ジュニアや大人向けのテニス大会を主催したり課外活動としてテニス教室などを開くことで大学のプログラムを支援することができると信じている。
「もしそのような活動を行えば、プログラムを存続させる可能性が高くなる」とカス氏は主張した。
質の高い施設が少ないことも、一部の削減の原因となっている。ウィンスロップ大学の運動部副ディレクターであるハンク・ハラウッド氏は、同大学のテニス施設の修繕に130万ドルが必要だと話したが、男子コーチのジョン・コリンズ氏は学内の12面のコートのすべてが60万ドル未満で改修できるとの見積もりを受け取ったと明かしている。
南ユタ大学と北コロラド大学には屋内施設がなく、南ユタ大学のチームは練習のために45~50分かけて移動しなければならなかった。
奨学金の問題もまた、この件に影響を与えている。
NCAA(全米大学体育協会)の規定により、大学は男子テニスで最大4分の1、女子テニスでは最大8つの奨学金を提供することができる。ハラウッド氏はこのことを引き合いに出し、ウィンスロップ大学のテニスプログラムが他の競技よりも授業料収益が少なくなることを指摘した。
ウィンスロップ大学が60万ドル以上節約しなければならないと分かったとき、過去に成功をおさめていたとはいえテニスを除外することが最善策であるとハラウッド氏は判断した。
「金銭上の観点から、厳密に言えばキャンパスにおけるビジネス上の決定として、テニスは最小限の学生にしか影響を与えずに最大限の節約ができる対象であることが明らかになった」とハラウッド氏は説明した。
ウィンスロップ大学の女子テニスチームは2016~19年の4連覇を含めてビッグサウスカンファレンス選手権を21回制していた。男子はビッグサウスカンファレンスのレギュラーシーズン優勝を9回遂げた実績を持ち、最後の優勝は2018年だった。同校出身で2002年から05年にかけてビッグサウスカンファレンスの男子の年間最優秀選手に選ばれたクレイトン・アルメイダ(ブラジル)は、大学がテニスプログラムを再開した場合に55万ドル以上の資金を調達すると公約した特別委員会の一員だ。
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