コロナ危機に瀕するアメリカ大学テニスの苦悩
アメリカの大学スポーツにおいて、テニスは他の競技よりも海外からの留学生に依存している。
NCAAの調査によると、2018年のディビジョン1の男子テニス選手の63%、同じく女子テニス選手の62%がアメリカ国外からの留学生だった。男子サッカーのほうが男子テニスよりわずかに多くの留学生を受け入れていたが、選手の大多数が国外から来ている競技はほかにない。
ヘッドコーチ時代にスタンフォード大学を17回のNCAAタイトルに導いたディック・グールド氏は、主に留学生で構成されるテニスプログラムは大学が経費を削減する必要があるときには目を付けられやすいのだと指摘した。
「州政府や公的資金を受けている州立学校でメンバーの70%が留学生なら、その競技は明らかにターゲットにされてしまうと私は考えます」と2004年にヘッドコーチを退任してからもスタンフォード大学のテニスチームをディレクターとして12年間支えたグールド氏は私見を述べた。
コリンズ氏は確信が持てなかった。ウィンスロップ大学で全額の奨学金を受け取らなかった留学生選手は、州外からの授業料を支払うことによって実際には大学により多くの収益を生み出していたことに彼は着目した。
「過去5年から10年の間に、ネバダ州、ユタ州、アリゾナ州のような山岳地帯のアメリカ人が増えれば、サポートはよくなっていただろう。寄付してくれる人が増え、施設を改修するための資金調達の機会も多くなり、恐らくこのような事態は避けられたのではないか」と南ユタ大学の女子チームのコーチであるマイケル・ムッチ氏は自身の見解を示した。
「しかし多くのアメリカ人が影響を受けたプログラムがたくさんあるので、状況によるとしか言いようがない」
今年のウィンスロップ大学の男女の登録名簿の中には、アメリカ人がひとりもいなかった。バネメレディのようにアメリカ国内に留まった留学生選手は一連の決定に直面している。
彼は大学テニスを諦め、テニス選手として提供された財政的援助を受けながらウィンスロップ大学で勉強を続けることができる。彼はまた別の大学に移ってプレーすることもできるが、同じような選手が多くいるため登録名簿に余裕がないことが分かっている。
選んだ先の大学が1年後にプログラムをやめてしまうリスクについて、彼は心配せざるを得ない。
「そのことは間違いなく、僕の心の中にあることです。現状では、非常に不確かなことがたくさんあります。正直に言って、基本的にギャンブルですよ」とバネメレディは苦悩を打ち明けた。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はイメージ(Getty Images)
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