ナダルがティームに敗れ、ここ一年で初のクレーでの黒星 [ムトゥア・マドリッド・オープン]
ラファエル・ナダル(スペイン)は、クレーコート上で価値あるライバルを見つけた。
スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/5月6~13日/賞金総額719万0930ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で、ドミニク・ティーム(オーストリア)は世界1位のナダルを7-5 6-3で倒し、前年度覇者でもあったナダルのクレーでの連勝記録を21で断ち切った。
ナダルは、一年前のイタリア国際の準々決勝でティームに敗れて以来、クレー上で1セットも落としていなかった。
しかしティームは、持ち前の深いドライブショットで、ほぼ不可能に近いことをやってのけた。彼はナダルを、クレーコート上で反応がやや遅く、一歩遅れているように見せたのだ。
そしてこの敗戦によって、ナダルは世界1位の座を失い、ロジャー・フェデラー(スイス)が世界一に舞い戻ることが決まった。
「もちろんがっかりだ」とナダルは言った。
「僕は反撃しようとしたが、十分なだけよい戦いができず、彼のほうが上だった。ドミニクは大きなポテンシャルを持っている。彼がいいプレーをしているときは常に、彼を止めることは非常に難しい」
昨年のティームに対する敗戦以来、ナダルはこのお気に入りのサーフェスで、文句のつけようがなかった。彼はフレンチ・オープンと、ハードコートのUSオープンで優勝してグランドスラム大会での優勝数を16とし、マドリッドにやってきたときには、モンテカルロとバルセロナでそれぞれ11度目の優勝を果たしたばかりのところだった。
しかしながらナダルは、この敗戦は、自分が来たる週にここまで10度獲得している全仏タイトルにもうひとつを加えるチャンスに、疑念を抱く理由にはならない、と言う。
「僕はこのサーフェスで連続50セットを取ったんだ」と彼は言った。
「今日、僕は負けた。今日は僕のための日ではなかった。でもそれは、このスポーツの一部だ。僕はホテルに戻って、次の大会に向け準備するために、多くの違ったことをやらなければならない、などとは考えない。なぜってそれは、賢いことではないと思うからだ」
3週間前のモンテカルロでのナダルは、ティームを6-0 6-2で簡単に倒していた。それはティームが足の故障のため1ヵ月活動を停止していたあと、復帰を果たした大会でもあった。
マドリッドのカハ・マジカで、ティームは目覚ましい調子だった。彼は非常に正確なウィナーを放って長いラリーを制し、高くつくミスを回避してナダルのタイトル防衛の野望を沈ませた。
「彼は常に相手を振り回し、いいショットを打ち、ボールを心地よい位置で叩けるポジションにいた」とナダルは言った。
「彼は非常にパワフルで、ボールをすごく強く打つから、彼みたいな選手を傷めつけるのは難しい」
第5シードのティームは、昨年のここマドリッド決勝でナダルに敗れた雪辱を果たし、ナダルに対する9対戦で3度目となる勝利を刻んだ。それはすべて、クレーコート上でのものだった。
「クレーでラファを倒すというのは、もっとも難しいことのひとつだ」とティームは言った。
「彼の母国で、マドリッドの彼の庭で、そうできるというのは、本当に特別な驚くべきことだ。本当にすばらしい試合だった」
ティームは準決勝で、第6シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)と対戦する。アンダーソンは15本のエースを決め、ドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)を7-6(3) 3-6 6-3で下した。
ナダルは木曜日、クレーコートでの連続50セット目を取って、ジョン・マッケンロー(アメリカ)が1884年に樹立した、同じサーフェス上での連続セット獲得数の記録を破ったあと、ティームに対する試合が『大会のカギになるだろう』と思っている、と話していた。
心配した彼は正しかったようだ。
ティームは、第1セットで2度ナダルのサービスゲームをブレークし、ナダルを出だしからかき乱した。
ナダルがブレークバックして5-5としたとき、危機を脱したかに見えたが、次のゲームではフォアハンドをネットにかけるようなミスなどを犯し、ティームがすぐに優位性を奪い返した。ティームはサービスエースで、このセットを締めくくった。
彼のシャツは汗でぬれていた。ナダルは、4本のサービスを連続してネットにかけて2本連続のダブルフォールトを犯したとき、驚いているように見えた。それから彼はまたもブレークを許し、1-2と早くも劣勢に立たされた。
ナダルは何とかワンブレークを返したが、自分のサービスゲームを守ることができず、ティームはさらに2度ブレークに成功する。ティームは、最後は見事なフォアのウィナーで、世界1位の男にとどめを刺した。
一方のティームは、「もし彼を、特にクレー上で倒したいなら、何か特別なことをやってのけなければならない。もし通常通りプレーしていたら、チャンスはない」と言った。
「僕は思い切って決め球を打ち、ダウン・ザ・ラインを狙わねばならず、今日、すべてはいい形で機能した。クレーでラファを倒すには、自分の特別な日に当たっている必要があるんだよ」
また、第2シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は第7シードのジョン・イズナー(アメリカ)を6-4 7-5で下した。ズベレフは準決勝で、19歳のデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。シャポバロフは準々決勝で、カイル・エドマンド(イギリス)に7-5 6-7(6) 6-4で競り勝った。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は準々決勝で対戦したラファエル・ナダル(スペイン/右)とドミニク・ティーム(オーストリア/左)
MADRID, SPAIN - MAY 11: Dominic Thiem of Austria shakes hands with Rafael Nadal of Spain after his straight sets victory during their quarterfinal match on day seven of Mutua Madrid Open at the Caja Magica on May 11, 2018 in Madrid, Spain. (Photo by Denis Doyle/Getty Images)
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『
Pick up
-
2024-12-12
サービス第二弾!テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)12月25日(水) 書籍&電子書籍同時発売
テニス丸ごと一冊サービス [技術の修正](堀内昌一 著)20
-
2024-12-12
テニスマガジン今後の予定(部活および新刊情報)
CHECK1テニスマガジンONLINEテニス界の最新情報を毎
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2023-04-03
『テニスの心理学~“心”技体を鍛えてメンタルタフになれ!』(佐藤雅幸著)
Tennis Magazine extraシリーズの最新刊『