大坂が敗れるも奈良と加藤/二宮で逆転勝利、日本がワールドグループ2部昇格 [フェド杯プレーオフ 日本対イギリス]

 女子テニスの国別対抗戦「フェドカップ(フェド杯)」のワールドグループ2部プレーオフ「日本対イギリス」(4月21、22日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)は2日間の日程を終え、日本がイギリスを3勝2敗の接戦で下した。

 両国1勝1敗で迎えた本日2日目、日本は大坂なおみ(日清食品)がジョハナ・コンタ(イギリス)とのエース対決に3-6 3-6で敗れたが、奈良くるみ(安藤証券)がWTAランキングでは格上のヘザー・ワトソン(イギリス)に7-6(7) 6-4で勝利。勝負のかかったダブルスで加藤未唯(ザイマックス)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)がコンタ/ワトソンに3-6 6-3 6-3で逆転勝ちし、日本は2014年以来となるワールドグループ2部への復帰を決めた。

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 二宮のフォアハンドのリターンがコンタとワトソンの間をすり抜けた。日本チームが5年ぶりワールドグループ復帰を叶えた瞬間だ。午後6時半。正午に始まった2日目の戦いは夕飯時に突入したが、空腹を抱えても2300人近い観客はほとんど帰らず、バルーンスティックを打ち鳴らし、声援を送り続けた。

 2勝が期待された大坂が今日はコンタに敗れ、日本は1勝2敗の劣勢に立たされたが、残りのメンバー全員で大坂の黒星を補った。それを後押ししたのは、大坂の出場によって膨れ上がったファンのパワー。これこそチームの勝利、ホームのアドバンテージだっただろう。

 大坂はラブゲームキープでの快調な滑り出しを見せたが、コンタも負けじとラブゲームでキープ。両エースの気迫とプライドがあふれる立ち上がりだったが、第1セット3-3から3ゲーム連取を許す。やや打ち急いでいた理由はあとで大坂が明かした。

「今日は足がちょっと疲れていて、動きがあまりよくなかった。もうちょっと長いラリーに持ち込めたらよかった」

第3試合のエース対決で対戦した大坂なおみ(日清食品/右)とジョハナ・コンタ(イギリス)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)

 第2セットは第5ゲームでダブルのブレークチャンスを生かせず、次のゲームをブレークされて、勢いづく元世界4位を止めることができなかった。

 あとがない状況でコートに入った奈良は、大坂が今回チームに入るとわかってからは「とにかく自分がなんとか1勝すれば、日本は勝てると信じていた」という。

 ブレーク合戦となった第1セットは、それぞれ3つずつブレークしてタイブレークに突入。6-3で3つのセットポイントを握ったのはワトソンだったが、奈良が持ち味の粘りから相手のミスを引き出し、あるいは緻密な攻めでウィナーにつなげて追いつき、2度目のセットポイントを生かしてこのタイブレークを逆転でものにした。

 第2セットは序盤でブレークし合ったあと、第8ゲームでブレークした奈良が5-3でサービング・フォー・ザ・マッチを迎える。ここはブレークバックを許したが、1勝への決意と執念がリターンゲームでふたたびチャンスを呼び込み、ブレークで試合を締めくくった。

日本の貴重な2勝目を挙げた奈良くるみ(安藤証券)(撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)

 イギリスのアン・ケタボンヌ監督がオーダー変更に動く。予定されていたアンナ・スミス/ガブリエラ・テイラー(イギリス)ではなく、シングルスを戦ったコンタとワトソンがふたたびコートに戻った。ワトソンは4度のツアー優勝などダブルスの実績がある。

 ケタボンヌ監督は「時間がない中で最高レベルの切り替えが求められたが、勝負がかかればこのペアでいくと決めていた」という。

 日本はもちろん予定通りの単複分業。加藤と二宮はこのダブルスのために時間を費やしてきた。

 立ち上がりのブレーク成功から逆転で第1セットを奪われたが、第2セットは5-0まで一気に突き放したリードを生かして6-3でものにする。ペアの平均身長の差は20cm近くあるが、相手ペアの強打に打ち負けず、ときに度が過ぎるほど思い切ったポーチも功を奏した。

 最終セットは互いにキープの展開から、第7ゲームをブレーク。最後はコンタのサービスゲーム、15-40のマッチポイントから一度はデュースに追いつかれたが、デュースのあとに握った3度目のマッチポイントで冒頭のウィニングシーンが訪れた。

日本の勝利を決めた加藤未唯(奥)/二宮真琴 (撮影◎毛受亮介/テニスマガジン)

 力強く両腕を突き上げた二宮と加藤を、スタンドの大歓声が包む。30人近くに膨れ上がった日本チームも、全員がコートになだれ込むような勢いで一斉に立ち上がった。

「今回のワールドグループ復帰は、我々がチームとしてどういう準備をし、どういうサポートをするのか、考えて実行してつかんだもの」と土橋登志久監督はその達成感を語った。ワールドグループ2部での新たな挑戦は来年2月に始まる。

「日本は団結力もあるし、ダブルスは強み。まだまだ上にいける」と加藤。二宮は「さらに上の舞台でもどれだけ自分たちの力が出せるのか楽しみ。次も(メンバーに)選んでもらえるように頑張るだけ」と意気込みを見せた。

 これからの個々のツアーでの戦いは、次に向けた準備の一歩一歩となる。

(ライター◎山口奈緒美)

ワールドグループ2部プレーオフ 日本 3-2 イギリス

第1日|4月21日(土)

第1試合 ○大坂なおみ(日清食品:単22位)6-2 6-3 ●ヘザー・ワトソン(単77位)

第2試合 ●奈良くるみ(安藤証券:単100位)4-6 2-6 ○ジョハナ・コンタ(単23位)

第2日|4月22日(日)

第3試合 ●大坂なおみ(日清食品:単22位)3-6 3-6 ○ジョハナ・コンタ(単23位)

第4試合 ○奈良くるみ(安藤証券:単100位)7-6(7) 6-4 ●ヘザー・ワトソン(単77位)

第5試合 ○加藤未唯(ザイマックス:複55位)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス:複40位)3-6 6-3 6-3 ●ジョハナ・コンタ(複213位)/ヘザー・ワトソン(複64位)

※世界ランクは4月16日付

※トップ写真はワールドグループ2部復帰を決めた日本チーム
撮影◎毛受亮介/テニスマガジン

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