ラファエル・ナダル(スペイン)のフレンチ・オープンにおける11番目のタイトルで、彼のグランドスラム大会トロフィーの数は合計「17」となった。これは現在ロジャー・フェデラー(スイス)が持つ最多記録の「20」まで、あと3つという数字だ。

 しかしだからといって、ナダルがライバルに追いつくことに固執している、ということにはならない。

「もちろん、将来的にロジャーのように「20」の、あるいはもっと多くのグランドスラム・タイトルを獲れたらうれしいけどね」とナダルは言った。それはロラン・ギャロス決勝でドミニク・ティーム(オーストリア)を6-4 6-3 6-2で下したあとの夕方のことだ。

「でも正直言って、そういう類いのことは僕の頭の中にあることじゃない」

 彼は、それは頭にこびりついて離れないような願望ではないと言い添えた。

「いまはただ、このタイトルを楽しませてくれ」とナダルは言った。

「常にもっと欲しいと考え続けることはできない。もちろん僕には野望がある。僕は自分がやっていることに情熱をもっている。でも僕はこれまでも一度も、そういったことに夢中だったことはない。もし誰かが自分より多くのお金を持っているからといって、あるいは誰かが自分より大きな家を持っていたり、自分より多くのグランドスラム・タイトルを持っていたからといって、常にフラストレーションを感じるような真似はできないだろう? そんな感情とともに生きることなんてできないだろう?」

 ナダルの叔父で、元コーチのトニー・ナダルは、日曜日の決勝を観戦し、試合後にラファエルがフェデラーと同じ数のタイトルを獲れると思うかと尋ねられた。

「それは可能だと私は思いたいね」とトニーは言った。「でも、もしかすると1ヵ月以内に、フェデラーはふたたびウインブルドンで優勝するかもしれない」。

 フェデラーは、グラスコート・シーズンのために休養をとり、しっかり準備をするためにフレンチ・オープンに出場しなかった。彼は昨年も同じことをやり、オールイングランド・クラブで8度目の優勝を遂げている。今年のウインブルドンは7月2日にスタートする。

 単一のグランドスラム大会でこれより多くのタイトルを獲っている唯一の男が、パリでのナダルだ。ナダルはフレンチ・オープンで86勝2敗の戦績を誇り、現時点での様子では、ロラン・ギャロスにおいては、これまでとまったく変わらぬ強さを誇っている。

 以下は、我々が2018年のフレンチ・オープンで見たそのほかのことだ。

ハレプはビッグタイトルを獲れる

 グランドスラム決勝で3度敗れたあと、シモナ・ハレプ(ルーマニア)は、3セットの戦いの末、スローン・スティーブンス(アメリカ)に逆転勝ちし、世界1位に、ついに初のグランドスラム・タイトルを加えた。ハレプはそうする必要があり、そうできると言い張っていたが、彼女は正しかった。「今、彼女はリラックスして、自分のテニスのなせるままに、のびのびとプレーすることができる」と、彼のコーチであるダレン・ケーヒルは言った。

セレナは変わらず素晴らしい

 母として初めて臨んだ16ヵ月ぶりのグランドスラム大会で、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、そこでの3つの勝利によって、たとえ36歳でも変わらず勝ち進むためのテニスと根性を持っていること、そしてすでに獲った「23」のグランドスラム・タイトルに、新しいものを加える可能性を持つことを示して見せた。彼女は、待ちわびられていた対マリア・シャラポワ(ロシア)の4回戦を前に、胸筋の故障を理由にリタイアした。そのため、セレナがウインブルドンで注目のプレーヤーとなるかは、まだはっきりしていない。

彼らの時はまだ来ていない

 今回準優勝だった24歳のドミニク・ティーム(オーストリア)は、世界で2番目に強いクレーコート・プレーヤーかもしれないが、少なくとも、対ナダルの成績が0勝3敗のロラン・ギャロスでは、まだかなり大きなギャップがある。ティームと、彼が準々決勝で倒した21歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は、ふたりのもっとも多才なテニス界のライジング・スターだ。問いは、いつ彼らが次の段階に進む準備万端となるか、ということだろう。

アメリカの女子選手

 ハレプに敗れる前、25歳のスティーブンスは、2002年以来のアメリカ人対決となった準決勝で、23歳のマディソン・キーズ(アメリカ)を倒していた(2002年には、若きセレナがジェニファー・カプリアティを倒していた)。

「概して言えば、誰も文句は言えないと思う」とスティーブンスは言った。これはまた、スティーブンスがやはりキーズを倒した、昨年のUSオープンの再現でもあった。セレナとビーナスのウイリアムズ姉妹のあと、アメリカのテニスはどうなってしまうのだ、というここ何年にもわたる懸念にも関わらず、アメリカの女子テニスはかなりいい調子のようだ。

 さらにこんなこともある。ジュニアの部の決勝で、フロリダ出身の14歳、コリ・ガウフ(アメリカ)が、オハイオ出身の16歳、キャティ・マクナリー(アメリカ)を倒したのだ。ここ5つのグランドスラム大会のジュニアの部で、ふたりのアメリカ人女子がタイトルをかけて戦ったのは、これで4度目なのである。

負けても去るな!

 このフレンチ・オープンからの、重要なレッスンがひとつある。予選で勝ち上がれなかったからといって、すぐに街から出ていくな、ということだ。故障でぎりぎりに試合を棄権しても賞金の一部を手にできる、という最近のルール変更のおかげで、半ダースほどの男子プレーヤーが、棄権した者に代わって、『ラッキールーザー』として本戦ドローに入った。

 世界ランク190位のマルコ・トゥルンヘリッティ(アルゼンチン)ほど祝福された者はいない。彼は予選で負けたあと、バルセロナの自宅に向かったが、そのあとにラッキールーザーとしてサインアップできることを知った。彼は88歳の祖母、母、弟をレンタカーに乗せ、車を10時間運転してパリに戻り、それからコートに出て行って1回戦に勝ったのである。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はラファエル・ナダル
PARIS, FRANCE - JUNE 10: Mens singles Champion Rafael Nadal of Spain poses with the Musketeers' Cup in his dressing room following victroy in the mens singles final against Dominic Thiem of Austria during day fifteen of the 2018 French Open at Roland Garros on June 10, 2018 in Paris, France.os on June 10, 2018 in Paris, France. (Photo by Philippe Montigny - Pool/Getty Images)

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