イギリス・ロンドンで開催されている「ウインブルドン」(7月2~15日/グラスコート)の男子シングルス準決勝。

 ケビン・アンダーソン(南アフリカ)が永遠に終わらないかに見えた死闘に勝ち、ジョン・イズナー(アメリカ)が負けたと言うのは、あまりフェアではないように思える。

 彼らは、1877年に始まった大会の歴史で2番目に長かったこの試合の間、あくびが出るほど退屈なサービスキープに次ぐサービスキープの6時間半を通し、最終的にこの終わりなきサービスのマラソンが第5セット26-24で終わるまで、延々とプレーし続けた。アンダーソンが、569ポイントのうちもっとも重要なそれ――つまり最後のポイントをつかむその瞬間まで…。

 そんな訳で、アンダーソンはセンターコートをあとにしたとき、その7-6(6) 6-7(5) 6-7(9) 6-4 26-24の勝利が、自分に32歳にして初のグランドスラム・タイトルをもたらすかもしれないと自覚しつつも、「結局のところ、これは我々の間での引き分けだと感じている」とコメントした。

 ウインブルドンでこれより長かった試合は、たったひとつだけある。それは2010年の1回戦で、同じイズナーがニコラ・マウ(フランス)に勝ったテニス史上最長の試合だ。この試合は、3日間に渡って11時間5分をかけて行われ、18番コートで第5セット70-68で終わりを遂げた。今や18番コートには、この試合を記念したボードが取り付けられている。

 ウインブルドンは、男子シングルスの第5セット、女子シングルスの第3セットでタイブレークを採用しておらず、そのため試合が延々と続くことを阻むものは何もない。イズナーとアンダーソンの双方が、この決まりが変わるところを見たいと言った。

「長く必要とされていることだ。機は熟している」とイズナーは言った。彼は、第5セットが12-12になったらタイブレークとなるよう、規則を改定することを提案した。

「僕は言うまでもなく、この論議に大いに関与している人間だよ」

 第5セットのある時点で、ひとりの観客はこう叫んだ。

「いい加減にしてくれよ! 僕らはラファを見たいんだ!」

 身長203cmのアンダーソンと、208cmのイズナーのライバル関係は、イズナーがジョージア大学、アンダーソンがイリノイ大学の学生だった大学時代にまで遡る。プロになってからは、イズナーがこれ以前の11対戦で8勝していたが、今回の試合はこれ以上はは無理というほど競ったものとなった。

 この試合に、興味をそそる展開や、試合の流れが行き来するスリルはなかった。何本かの印象的なリターンウィナーを除いては、思い出に残るようなショットもほとんど見られなかった。

 そしてサーブは? それはまた別の話だった。イズナーは最高時速228kmのサービスを打ち、アンダーソンのサーブスピードは時速219kmにまで至った。サービスエースの数は合わせて102本で、イズナーが53本、アンダーソンは49本だった。

「彼らがつぎ込んだ努力、パフォーマンス、根性、その戦いぶり――誇りに思うべきことはたくさんあるよ」とイズナーのコーチのひとり、ジャスティン・ギメルストブは言った。

 双方が、より早い段階であったチャンスをつかみ損ねた。イズナーは、第1セットでセットポイントをふいにし、アンダーソンは第3セット5-3からサービスゲームを迎えながらブレークされ、その後のタイブレークでも2度のセットポイントを、うちひとつは自らのダブルフォールトによって浪費した。

 ブレークチャンスが非常が稀だったより遅い段階では、リターン側が0-15、0-30と小さなリードを奪うたびに、センターコートの観客席にざわめきが広がった。

実際に、ブレークをやってのけられるだろうか? これがそのゲームになるか?

 我々は間もなく、この90回におよぶサービスキープ合戦を終わらせる、この試合6度目であり最後のブレークを目にすることになるのだろうか?

 その答えは、繰り返し『ノー』だった。アンダーソンが7-7からブレークポイントを握ったときも、10-10、17-17からのブレークポイントでもそうだった。10-10からのゲームで、イズナーはフォアのランニング・パッシングショットを決めてキープし、その勢いをそのままコートサイドに持ち込んで、椅子の上にドスンと倒れた。

 最後には、彼は疲労困憊しているように見え、ポイント間には前かがみになり、膝に手をおいて息をついていた。

「かなりひどい気分だよ」と試合後イズナーは言った。

「左のかかとが痛くて死にそうだ。それに右足には、本当にひどい靴ずれができている」

 イズナーは第5セットで、1度もブレークポイントをつかむことができなかった。そしてアンダーソンは最終的に、イズナーが弱々しくバックハンドをネットにかけた瞬間に、6度目のブレークポイントをものにし、25-24とリードを奪った。

 アンダーソンは、そこから試合を閉じるため自分のサービスゲームに入り、マッチポイントでは、イズナーのフォアハンドが力なくサイドラインを割った。そして間もなく、ふたりはネット際で抱擁を交わしていた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真はジョン・イズナー(アメリカ)
LONDON, ENGLAND - JULY 13: John Isner of The United States during a break in his Men's Singles semi-final match against Kevin Anderson of South Africa on day eleven of the Wimbledon Lawn Tennis Championships at All England Lawn Tennis and Croquet Club on July 13, 2018 in London, England. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

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