ナダルはUSオープン開催に確信持てず「安全の保障と自由な渡航解禁が必要条件」
パンデミックによる延期がなければフレンチ・オープンは今頃2週目に突入し、ラファエル・ナダル(スペイン)はグランドスラムで20回目のタイトル獲得を目指して戦っているところだったかもしれなかった。その代わりに現在の彼は母国スペインにいて、軽い練習をしながらテニス界の他の皆と同じように次のグランドスラム大会であるUSオープンが開催されるのか否か疑問に思っている。
そしてもし開催されることになったなら、彼はプレーするのだろうか。
木曜日にAP通信や他の通信社のために行われたオンライン記者会見の際に、「もし今日、君がその質問をするなら、僕は『ノー』と答えるだろう」とナダルは頭を振りながら答えた。
「数ヵ月後なら? わからない。『イエス』であるよう願うよ」と彼は続けた。
「でも恐らくウイルスの状態がどのように展開して数ヵ月後にニューヨークがどのような状況になっているかについて、より明確な情報を得られるまで待つ必要があるだろう。なぜって言うまでもなく、ニューヨークはウイルスによって非常に大きなダメージを受けた都市のひとつだから…。まずは様子を見てみよう」
今年のUSオープン開催が実現するには――そしてテニスのプロツアーがどこであれ再開するには――ふたつのカギとなる必要条件があるとナダルは考えている。それは“新型コロナウイルス(COVID-19)から守られている保証”と“皆が自由に世界各地を渡航できる”ということだ。
「健康面で状況が完全に安全になるまで、ツアーを再開することはできない」と彼は主張した。「そしてすべての国のすべてのプレーヤーが競技をしても安全な状況の中、大会参加のために旅をすることができるという面で平等な状態でなければならない」。
テニスは他のほとんどのスポーツと同じように新型コロナウイルス大流行のために3月途中から中断しており、男女のプロテニスツアーは少なくとも7月末までこの状態が続くことになっている。フレンチ・オープンの開始日は5月から9月末に延期され、ウインブルドンは75年ぶりに中止(戦争以外では史上初)となっていた。
USオープンに関する決断は、数週間のうちに下されるはずだ。大会の本戦は8月31日から、ニューヨークで行われる予定になっている。
全米テニス協会(USTA)のプロテニス部門の最高責任者であるステイシー・アラスター氏は土曜日、緊急時の対策の中にはプレーヤーのために世界中からのチャーター便を提供すること、渡航前に検査を受けてコロナウイルス陰性であることを証明する必要があることなどが含まれるとAP通信に説明した。
「辛抱強く、責任ある行動をとる必要があると僕は心底信じている」とナダルはコメントした。「我々は落ち着きを保ち、正しい行動をとる必要がある」。
水曜日に34歳になったナダルはごく最近になって「自分の体にテストを課さない」程度に通常よりも強度を落とした練習を再開したが、それまで2ヵ月以上ラケットに触っていなかったと明かした。
「僕は急に毎日プレーするようなことはせず、練習量を抑えながらゆっくり段階を追って進んでいくつもりだよ」
通常であれば彼は1年のこの時期に、グランドスラムでここまで獲った「19」のタイトルのうち「12」をつかんだロラン・ギャロスのレッドクレーで奮闘しているところだ。
現在の彼はフレンチ・オープンが2020年の後半に開催されることが可能か否かについて、楽観的でも悲観的でもないという。
「テニスをプレーできなくて寂しいよ。もっとも愛する大会をプレーする感覚が恋しい」とナダルは語った。「でも同時に、僕の頭はそのことを考えてはいない。僕の頭は、普通の生活を取り戻そうとすることに焦点を当てている。我々がやらなければならない最初のことは、当たり前の日常を取り戻すことなんだ」。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は昨年のUSオープン男子シングルス表彰式でのラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)
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