USオープン開催可否の決断は6月の予定、無観客は「非常に可能性低い」
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を理由にUSオープンが延期されるかキャンセルされるかの決断は、6月に下される見通しだと全米テニス協会(USTA)の新しい最高経営責任者(CEO)が木曜日に明かした。彼はまた、このグランドスラム大会を観客なしで開催するというのは、「非常に可能性が低い」と言い添えた。
「言うまでもなく、我々の願いは大会を開催することです。それが我々の組織、統括団体を駆り立てているエンジンなのです。そうは言っても、それが原動力となる訳ではありません」と1月1日にUSTAのCEOに就任したマイク・ドース氏は記者を交えての電話会議の場で語った。「原動力となる要素はあくまでも、プレーヤーやファン、そしてスタッフの健康と幸福です」。
彼はまた、USTAは少なくとも5人の医師を含む医療顧問グループのアドバイスを受けているとも話した。
「現時点では、時間が我々の味方です」とドース氏はコメントした。USオープンが始まるのは、8月末の予定だからだ。
ニューヨークで行われるこの大会は、テニスのカレンダーにおける次のグランドスラム大会だ。フレンチ・オープンは5月から9月に延期され、ウインブルドンはきっぱりとキャンセルされた。
男子と女子のテニスツアーは少なくとも7月半ばまで休止することが決まっており、8月の1大会(カナダ・モントリオールでの女子ロジャーズ・カップ)もすでに中止となった。
USオープンを無観客で開催する可能性に関してドース氏は、「(USTAは)どんな可能性も除外しはしませんが、現時点では非常に可能性が低いシナリオです」との見解を示した。
「物事は流動的です」と彼はつけ足した。「もし医療の専門家が『確実に安全な方法があるとすれば、残念ながらそれは無観客で開催することだ』と言ったなら、我々は考え直してその手段を検討するかもしれません」。
一般的に言って、テレビ放映権を主な収入源としている他の人気スポーツのリーグと比べ、テニス大会は収益のより大きな割合をチケットやグッズ、会場の食べ物の販売などに頼っている。
ドース氏はまた、草の根レベルで新型コロナウイルス感染拡大の影響受けたテニス関係者や施設などを救済するために、5000万ドル以上の支援を公約するというUSTAのプランについても言及した。
3月に実施された市場調査によれば、アメリカ全土の85%のテニスの施設が自宅隔離(ロックダウン)の指令のために閉鎖され、今現在はそれが90%に及んでいると推測されるとドース氏は述べた。
同氏によれば、USTAは自らの管理者層の給金を減らして選手強化とマーケティングのプログラムを削除することで、1500万ドルを節約しようとしているという。その中には、先月にフロリダ州オーランド郊外のUSTAナショナル・キャンパスを一時的に閉鎖することによって節約した資金も含まれている。
USTAと産業的パートナーたちによって提供される将来的援助の総額(それには財政的援助のみならず、この伝染病により感情的打撃を受けた者のための電話ホットラインのようなサポートも含まれる)は――もし開催されるなら――2020年USオープンの財政的成功に左右されることになるだろう。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真は昨年のUSオープン男子シングルス表彰式でのラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)
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