パンデミックの中アメリカでプロテニスが再開も本物には程遠く

4人のプレーヤーたちは間違いなく、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中で開催されたちょっとした賞金(金額は明かされていない)のついた大会でテニスをプレーすることにワクワクしているようだった。例えそのコートが誰かの邸宅の裏庭のプールにほど近く、ATPポイントは1点も稼げず、ロッカールームはなく、観客もボールキッズもおらず、審判すら最低限しかいなかったとしても…。

 テレビのライブスポーツに飢えていた人々は――例えノーアドバンテージで変則ミニバージョン(4ゲーム先取の3セット)の試合だったとしても――世界ランク29位から57位の4人の男子テニス選手たちがプレーするところを見るチャンスを手にした。

 それは新型コロナウイルスのためにプロテニスツアーが中断されて以来となる、アメリカにおける世界ランキング保持者同士のテニス大会だった。そしてこれ以降にテニスマッチを運営する者たちは、この大会で採用されたような社会的距離の取り方やもろもろの予防措置を観察することができたと言えるかもしれない。とはいえ参加者のうちふたりは、シェアしている家から会場まで一緒に車でやって来ていた。

 それでもホベルト・ホルカシュ(ポーランド)、ライリー・オペルカ(アメリカ)、ミオミル・キツマノビッチ(セルビア)、トミー・ポール(アメリカ)が金曜日と土曜日(3日間の予定だったが日曜日の天気予報が雨だったことで2日間に短縮された)にフロリダ州のウェストパームビーチでプレーしたテレビのための大会には、大きな欠点があった。それは男女のプロテニスツアーが再開したときに見られるはずである“本物のテニス”とは程遠いものだった。

 プロのテニスツアーはすでに2ヵ月近く中断されており、少なくとも7月半ばまでは休止が続くことになっている。

「これは普通の大会とはあまりに違っている」とポールは電話インタビューでコメントした。「ここには4人の選手がいて、僕たちはすべてを非常に用心深く扱い、極度に注意しながら物事を行った。4人以上の選手が出る大会を行うときにいったいどうなるのか、僕には想像がつかないよ」。

 誰も事前にウイルス検査を要求されなかったというが、ポールは感染の拡散を防ぐためにとられた予防策のおかげで安全だと感じることができたと明かした。それらはテニスが少しずつ活動再開に向けて動き出す中で、他の場所でも講じられているような感染予防策だった。

 ベラルーシとドイツではすでに非公認の試合を開催しており、同様のイベントはセルビアとフランスでも計画されている。ウェストパームビーチでは5月22日から24日に、やはりそれなりの世界ランクを持つ4人の女子選手による大会が開かれる予定となっている。その一方でラファエル・ナダル(スペイン)は、2020年中に果たしてツアーを再開できるかについて疑問を持っているいる者たちのひとりだ。

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