パンデミックの中アメリカでプロテニスが再開も本物には程遠く
「我々はもちろん、世界中で現れ始めているこれらのエキシビション・タイプの試合に注意を払っています。そこから学ぶことができますから」と全米テニス協会(USTA)のスポークスマンであるクリス・ウィドマイアー氏は語った。
「どのような適切な安全予防策がとられたか、そして大会がどんなふうに行われたかを見たいと思っています。テニスだけでなく他のスポーツにおいても、このようなタイプのイベントはUSオープン前の一連の前哨戦やUSオープンを開催するとなったときに役立てることができるはずです」
鎖でつながれたフェンスに囲まれた青いハードコートでプレーされたウェストパームビーチでの大会では、会場にいるすべての人物が事前に体温を測ることを義務付けらた。試合後の握手の代わりに、ラケットを軽く叩き合わせる挨拶(ラケットタップ)が採用された。
会場に入る際に体温チェックを受けるミオミル・キツマノビッチ(セルビア)(Getty Images)
また各プレーヤーが自分がサーブに使ったボールのみを触るよう、ボールには黒か赤の印がつけられていた。清掃スタッフはネットと椅子を拭き掃除し、ベースラインの後ろの壁までをこすって洗った。各プレーヤーはプレーしていないときには自分専用のテントで休むことができ、手を殺菌するための薬品がサイドライン沿いのベンチに備え付けられていた。
ボールには印がつけられ、サーブを打つ人だけが触るよう徹底(Getty Images)
清掃スタッフがコート上のあらゆることを衛生的にするよう精力的に作業(Getty Images)
金曜日にプレーしたポールは、それらを実際に体験した。コート内にいるスタッフは審判は主審と線審(フェンスの向こう側からサービスラインのコールをする)だけで、彼らはマスクと手袋を着用している。
離れた位置から見ると、その閑散としたセッティングはマイナーリーグの競技や練習セッションに似た印象を与えた。
またこの対戦を放映したテニスチャンネルの番組は、ときにこの試合のスポンサーとなった非公式のレイティングシステムのためのインフォマーシャル(ひとつの商品を時間をかけて紹介する宣伝方法)のように感じられた。
この試合ではスコアボードがなかったため、ポールは金曜日の試合で主審に3度ほど現在のスコアはどうなっているか尋ねていた。
ポールによれば、このイベントに参加した者たちにとって大事だったのは、「自分が実際にプレーすること、そして対戦相手がどんなプレーをするのかをリアルに肌で感じること」だった。
「でも周りを見回しても誰も観てくれておらず、家のプライベートコートでプレーしているような状況では“リアル”に感じることは難しいよ」とポールは本音を漏らした。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※トップ写真は試合後の握手の代わりに“ラケットタップ”をするホベルト・ホルカシュ(ポーランド/左)とライリー・オペルカ(アメリカ)
WEST PALM BEACH, FLORIDA - MAY 09: Hubert Hurkacz of Poland and Reilly Opelka of the United States tap rackets after their match during the UTR Pro Match Series Day 2 on May 09, 2020 in West Palm Beach, Florida. Due to the COVID-19, players are no longer permitted to shake hands according to new safety guidelines. (Photo by Michael Reaves/Getty Images)
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