プロテニス初のeスポーツ大会はハプニング続出も無事終了

マイクがついていたため実際のテニスコート上でアンディ・マレー(イギリス)がどんなことをしゃべっているのか――悪態をつき、ぶつぶつつぶやき、ブーブー不平を言う――をちらりと垣間見せたその様子は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック渦中に実現したプロ参加の最初のビデオゲーム・テニストーナメントの見せ場のひとつだった。

 木曜日にその4日間の大会が無事終了したが、悲しいことにゲーム自体は不具合が続出した。バーチャルバージョンのマドリッド・オープンでマレーと彼の準決勝の対戦相手だったディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)は、ストップ&スタートを繰り返さなければならなかった。というのも双方が機械系の技術的な問題を抱え、文句を言っていたからだ。

 マレーは試合中に「なんてことだ。何だったんだ?」や「馬鹿げてるよ!」や「これはこれまで見た中で最悪の試合のひとつに違いない」などと叫んで場を盛り上げ、3度グランドスラム大会を制した男が実際に戦っている雰囲気を感じさせてくれた。

 このところ、誰もテニスのプロツアーでプレーしていない。フレンチ・オープンの前哨戦で本来なら金曜日に始まるはずだったクレーコート大会のマドリッド・オープンは、新型コロナウイルスの世界的流行のためにキャンセルされた30以上の大会のひとつだ。この状況のせいで、プロテニスは少なくとも7月半ばまで休止となっている。

 結局のところ、このエレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)の試みの主な目的のひとつは――COVID-19に強いられたロックダウンの状況下でプレーヤーとファンに何かやることを与え、慈善事業に寄付するということを別にすれば――ビデオゲームのストリーム配信をプロモートすることだったのだが、必ずしも常に最高の広告とは言えなかった。

 あちこちで起きる不具合は実際の大会で起こる雨による遅延と大差なく、試合の流れを追うのは容易なことではなかった。まず約2分半の休止があり、スタートし直したあとにもすぐにまたほぼ3分も停止していた。

 そしてシュワルツマンは最終的に勝ったあとにさえ、「僕は決勝進出に値しない」と言い、辞退してマレーに続けさせるほうが理にかなっていると宣言したのである。

 それはこれらの全体的なドタバタ劇のなかで、象徴的な出来事だったと言えるかもしれない。

 実況はプレーヤー間の冗談をかき消すことにしか役に立たず、男子決勝でマレーがダビド・ゴファン(ベルギー)に勝った試合では、「ここでプレーされているふたりのテニスのクオリティが信じられないよ。本当に互角の競り合いだ」などとコメントしていた。

 ちなみに女子決勝はキキ・バーテンズ(オランダ)がフィオナ・フェロ(フランス)を下し、ラケットを手にマドリッド・オープンでトロフィを勝ち獲った1年後にコントローラーを駆使してタイトルを獲得した。

 目をぎょろつかせた絵文字(eye roll emojis)でも打っておこうか…(◔_◔)(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は昨年の北京の大会でのアンディ・マレー(イギリス)(Getty Images)

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