険しい道を潜り抜けた予選勝者たちが活躍 [フレンチ・オープン]
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の本戦7日目は、男女シングルス3回戦残り試合と男女ダブルス2回戦などが行われた。
テニス界のスターたちがチームの取り巻きたちたちとともに衛生面を保証されたオフィシャルホテルに集結しつつある頃、ダニエル・アルトマイアー(ドイツ)はすでにパリのクレーコートで走り回っていた。彼はサーフェースの気まぐれさについてヒントを学びながら、泥まみれになって本戦出場権を手に入れるために奮闘していた。
ほとんど知られていない彼の名前が有名なスター選手たちに混ざって本戦ドローに並んだ今、22歳のアルトマイアーは綺麗な布地についたレンガ色の土の頑固な汚れと同じくらい取り除くのが難しい存在であることを証明しつつある。
初めてのグランドスラム大会の本戦で、彼がここまで落としたセット数は“ゼロ”だ。緊張が高まるタイブレークに勝つ頻度は? 彼はプレーした3つのタイブレークのすべてを取っている。
第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を6-2 7-6(5) 6-4で倒す最新の番狂わせを演じたあと、「僕は進み続ける」と世界ランク186位のアルトマイアーは語った。
故障と戦いながら復帰したアルトマイアーは、低いレベルのサーキットで叩きあげて力を付けてきた。彼は予選前にプレーしたチャレンジャー大会で左脚を痛めたため、ぎりぎりまでフレンチ・オープンでプレーできるか分からない状況だった。
フィリップ・シャトリエ・コートの新しい屋根が開き、秋の輝かしい青空が顔を覗かせ始めようとする中で掴んだその勝利のおかげで、アルトマイアーは4回戦に進出した他のふたりのロラン・ギャロス初出場選手であるセバスチャン・コルダ(アメリカ)とヤニク・シンネル(イタリア)に合流した。4人の初出場者がベスト16に入ったのは、1994年以来のことだ。
1998年オーストラリアン・オープンを制したペトル・コルダ(チェコ)の息子であるセバスチャンは、アルトマイアーと同じく予選から勝ち上がった。アルトマイアーと20歳のコルダは、これ以前に多くの予選勝者が4回戦に進んだ1994年にまだ生まれていなかった。
女子のドローでも、ふたりの予選勝者が4回戦に進んだ。初めてのロラン・ギャロスで輝いたのは、ナディア・ポドロスカ(アルゼンチン)とマルチナ・トレビザン(イタリア)だ。
これらすべてのことはアルトマイアーにとってあまりに馴染みのないことなので、引退した地元のスター選手であるファブリス・サントーロ(フランス)がセンターコートで試合後のオンコートインタビューをするために出てきたとき、新参者は「あなたに会えてうれしいです」と口にした。
アルトマイアーは次のラウンドで、第10シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)と同胞対決を6-3 6-3 5-7 6-4で制して勝ち上がった第17シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と対戦する。
2回戦で第30シードのヤン レナード・ストルフ(ドイツ)を破っていたアルトマイアーにとって、カレーニョ ブスタは今大会で顔を合わせる3人目のシード選手だ。
勝利のあと、「僕はマシンだ」とアルトマイアーはコメントした。彼はそれをジョークのつもりで言ったのだが、彼のクレーコートの安定性は対戦相手にとって笑えない問題となりつつある。
彼は新型コロナウイルス(COVID-19)に強いられたツアー休止期間を利用してフィットネスを高め、アルゼンチンにいるコーチとズームで連絡を取りながらトレーニングを積んだ。その努力が今、パリのクレーコートで彼の溢れるエネルギーとなって実を結びつつある。
「文字通り、現時点では誰が誰を倒すことだって可能だよ」と彼は話した。(APライター◎ジョン・レスター/構成◎テニスマガジン)
※写真はダニエル・アルトマイアー(ドイツ)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 03: Daniel Altmaier of Germany plays a backhand during his Men's Singles third round match against Matteo Berrettini of Italy on day seven of the 2020 French Open at Roland Garros on October 03, 2020 in Paris, France. (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ