日本、“ホームの利”生かせず、格下エクアドルに2連敗 [デビスカップ]
男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten」のファイナルズ予選「日本対エクアドル」(3月6、7日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)が始まり、初日はシングルス2試合が行われた。
内山靖崇(北日本物産)と添田豪(GODAI)で臨んだ日本だが、添田がエミリオ・ゴメス(エクアドル)に5-7 6-7(3)、内山はロベルト・キロス(エクアドル)に6-7(4) 6-2 6-7(8)といずれも格下相手に連敗を喫し、予想外のスタートで早くもあとがなくなった。
デビスカップの勝敗にランキングは関係ないとよく言われる。団体戦では何が起こるかわからないとも言われる。番狂わせが生まれやすいのは、「勝って当たり前」という状況でのプレッシャーが「チームの願い」を背負って倍増するからだろう。初日、日本にとっては最悪の「まさか」が現実となった。
第1試合は日本のナンバー2とエクアドルのナンバー1との対決だったが、世界ランクは添田の117位に対してゴメスが151位。「勝って当然」というほどの差ではないが、自己最高でも143位のゴメスとそれが47位の添田では、ゴメスの父親が1990年のフレンチ・オープンを制したアンドレス・ゴメス(エクアドル)だということを差し引いても〈経験値〉には大きな差があったはずだった。
立ち上がりでいきなりブレークを許した添田は第8ゲームでブレークバックに成功するが、5-5からふたたびブレークされて5-7でセットを失った。ゴメスはよく走り、しぶとく拾った。第2セットは序盤にブレークし合ってタイブレークにもつれたが、添田は最後までその粘りを崩しきれず、最終セットに持ち込むことはできなかった。
続く第2試合。昨年後半に念願のトップ100入りを果たし、現在90位の内山の相手は276位のキロスだった。自己最高でも172位の28歳は、過去トップ100の選手に勝ったことは一度しかない。しかし、身長193cmの左利きが繰り出すサービスと強烈なフォアハンドの逆クロスが要所で炸裂する。1セットダウンから第2セットを6-2で奪い返した内山だが、最終セットはふたたび第1セット同様にキープ合戦。第8ゲームと第10ゲームのサービスで0-40からの逆転キープに成功した内山はタイブレークで3度のマッチポイントも握ったが、あと1ポイントが遠かった。
「自分のプレーは悪くなかった。自分の形にしていたポイントでも相手がすばらしいプレーをしたところもある。勝負は紙一重だった」と内山。添田は「相手の気迫は感じたが、僕らも気迫は負けていなかった。ただ、気持ちだとか、何か一つ向こうが上回った」と語った。相手がわずかに上回ったもの、紙一重の勝負を制したものは何だったのか。
2020デビスカップ by Rakuten ファイナルズ|トーナメント表
本来なら日本のトップ2は錦織圭(日清食品)と西岡良仁(ミキハウス)だが、錦織はメンバー入りしているもののまだプレーできる状態ではなさそうだ。西岡は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でアメリカに入国できなくなる事態を恐れて、先週のうちに辞退を申し出た。
エクアドルのラウル・ビベル監督は「錦織はケガでプレーしない可能性があるというのは感じていたが、西岡までも出ないというのは驚きだった」と語ったが、トップ2を欠く日本チームを見て突如希望が湧いたエクアドル代表チームはやる気に満ちている。
何しろ、今や危険な国と見られる日本にやって来たのだ。「これがチームの決断。マドリッドでのファイナルへ続く道を選んだ」とゴメスは明かした。また、南米といえばクレーが得意と思いがちだが、彼らの多くはアメリカの大学でプレーしていたこともあり、ハードコートがもっとも得意だという。
「僕たちは皆、このサーフェスがとても気に入っている。アメリカでは冬の間にインドアのハードコートでプレーしたし、ここはとても慣れたタイプのコートだ。ここに来る前もインドアのハードコートの大会に出てしっかり準備をしてきた」とゴメスもキロスも口を揃えて「快適」を強調した。
無観客という状況のため、日本にはホームアドバンテージの大きな要素である応援がない。崖っぷちに立たされていることは間違いないが、この状況を覆すことはできるだろうか。初日としては最悪の結果でも、まだ最悪の結末を見た訳ではない。
(ライター◎山口奈緒美)
※トップ写真は左から添田豪(GODAI)、内山靖崇(北日本物産)、岩渕聡監督
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU
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