身長173cm、20歳のガストンにフランスが熱狂 [フレンチ・オープン]
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の本戦6日目は、男女シングルス3回戦と男女ダブルス2回戦が行われた。
フランスは今、ロラン・ギャロスでの自国の若手の活躍に沸いている。その筆頭が、9月末に20歳になったばかりのユーゴ・ガストン(フランス)だ。ガストンは金曜日に元フレンチ・オープン優勝者で第16シードのスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦し、2-6 6-3 6-3 4-6 6-0で勝利を掴んだ。
ジュニア時代には2017年オレンジボウルや2018年ユース五輪を制するなど世界ランク2位に到達した実績があるが、現在の彼はATPランキングが239位でこの初春にはまだ673位だった選手であり、今回はワイルドカード(主催者推薦枠)での本戦出場だった。
何よりフランスを沸かせたのは、彼のクリエイティブなテニスと大物に気後れすることがないその度胸だ。身長173cmと小柄だがコートカバーリング能力は高く、ワウリンカとの試合では相手のオーバーヘッドを読んで切り返して逆にポイントを奪う場面もあった。いいタイミングでネットにも出て、重要なポイントをものにした。
彼は0-3とリードされていた第4セットでもそのままワウリンカに流れを渡すことなく、4-4まで挽回することで相手にプレッシャーをかけた。そして結局そのセットは落としたものの、第5セットの最初のゲームでブレークを果たして百戦錬磨のワウリンカの気持を切ることに成功した。
「クレイジーだ。最終セットはすべてのポイントでいいプレーをするため、僕は本当に自分のテニスに集中していた。それはうまくいき、願った通りにプレーにバリエーションを与えることができた」とガストンはコメントした。そのプレーの多彩さが彼の特徴であり、武器でもある。
勝利後も落ち着いているように見えることを指摘されると、ガストンは「必ずしも外には見せていないかもしれないけど、僕の内側は感情でいっぱいだ。多分まだ、何が起こったかに気付いていないんじゃないかな。家族と一緒にこの瞬間を堪能し、しっかり休むとするよ。明日になればしっかり気付くのかもしれないね」と答えた。
一方、本人よりも興奮していたコーチのマーク・バルビエ氏は、「非現実的だ。僕たちは今、目覚めた夢を体験している」と語った。
「少しずつだけど、僕たちは信じ始めた。僕たちの意図は最初、ここでプレーできるすべての瞬間から何かを吸収しようというものだった。僕たちは直接的で激烈な対決を避けて様々なゾーンにボールを散らし、回転やスピードなどリズムにバリエーションをつけるプレープランを立てた。最初はややオドオドしていたけど、少しずつエンジンがかかってきたら彼はぺースを掴んで自分のテニスを展開し始めた。それがワウリンカのバランスを崩したんだ」
コーチはまた、「肉体的準備ができているのは分かっていたが、感情的に持ち堪えられるか分からなかった。しかし彼は感情的にも、ハイレベルの戦いに非常にしっかり耐えることができるところを証明して見せた。第5セット(6-0)は信じらないほどだったよ」と言い添えた。
「創造力が彼のプレーのアイデンティティなんだ。彼はずっと、こんなふうにプレーしてきた。この創造力、クリエイティビティがパフォーマンスの役に立つようでなければならない。芸術的スポーツをやっている訳ではないので、それを効率に結び付けていかなければいけないんだ」とコーチは指摘した。
彼はバリエーションに富んだガストンのプレーが対戦相手を煩わせる理由を、「それが対戦相手たちの頭に入っていくからだ。おかげではっきりした理由なく、ミスが引き出される。彼のコートカバーリングがいいから対戦相手はいろいろなことを考え、自分のプレーに疑念を抱き、それがミスを誘うんだ」と分析した。
コーチはまた、西岡良仁(ミキハウス)に6-4 7-6(4) 3-6 6-2で勝った2回戦に勝利がカギだったと振り返った。
「彼はそこで、クレーコートこのレベルの大会でいいパフォーマンスをすることができるのだということを自分に証明して見せたんだ」
ガストンの次の相手は、第3シードでUSオープンを制したばかりのドミニク・ティーム(オーストリア)だ。挑戦のハードルは間違いなく上がるが、ガストンはそこでも面白い闘いを見せてくれるかもしれない
「数年前、数ヵ月前の彼(ガストン)は完璧ではなかったし、今も完璧ではない。まだまだ努力を積まなければならないが、彼はいい軌道の上にいる。上達し続けているよ」と話すコーチの言葉通り、若い才能の成長は現在進行中だ。(テニスマガジン)
※写真はユーゴ・ガストン(フランス/手前)とスタン・ワウリンカ(スイス)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 02: Hugo Gaston of France celebrates after winning match point in his Men's Singles third round match against Stan Wawrinka of Switzerland on day six of the 2020 French Open at Roland Garros on October 02, 2020 in Paris, France. (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ