5限目_堀内昌一先生「キャッチボールをすればサービスが変わる!」

2015年7月25日(土) 開催の第32回テニマガ・テニス部「夏季特別集中レッスン|5限目」は、堀内昌一先生が著書「丸ごと一冊サービス」をテキストに、ナチュラルスピンサービス(自然なスピンがかかったサービスの意)を指導。書籍に習って練習しているプレーヤーが集まったこの部活は、小手先の矯正ではなく、もっとも理想的な動作にとことんこだわって行われた。その中から「キャッチボール練習」の部分を抜粋。【2015年10月号掲載】

構成◎編集部 写真◎BBM、Getty Images 協力◎亜細亜大学テニス部

夏季特別集中レッスン|5限目|キャッチボールをすればサービスが変わる!

サービスの動作はひとつ~ナチュラルスピンサービス〜 レベルアップ編

講師◎堀内昌一

ほりうち・しょういち◎1960年2月1日、東京都生まれ。選手時代の83年にユニバーシアード出場。85、86年ジャパンオープン出場を果たす。現在は学生の育成・強化はもちろんのこと、テニス界全体の普及・強化にも尽力。日本テニス協会公認マスターコーチとして指導者に携わる。

LESSON|小手先の矯正はやめて
もっとも理想的な正しい動作にこだわる

2人1組でお互いを
チェックしながら
レベルアップ

 本気でサービスを上達させたいと考えるなら、日常的にキャッチボールを行うことです。野球のピッチャーがシャドウスイングを繰り返すのは、体の使い方が正しいかどうかがもっとも重要であり、だから自分で自分を徹底的にチェックしているのだと思います。テニスプレーヤーも同じであるべきですが、どうもラケットの動きばかり気にする傾向があります。大もとの、体の動きに目を向けるべきです。

 ボールを捕球して投げる動作は、サービスのトスアップ&テークバックから始まる打球動作とほぼ同じです。ここで行うキャッチボールは、2人1組で対面し、連続で行います。キャッチからスローまで、動作は途切れないようにリズミカルに、かつ、全身運動を心がけます。また、下半身から上半身へエネルギーがどんどん伝わるように、足で地面をしっかりつかみ、指先へと伝えましょう。

 最初は空中でボールをキャッチ(PRACTICE❶)、次にゴロのボールを拾い上げて投げるようにします(PRACTICE❷)。

 キャッチする人は両手を体の前に出し(手のひらを相手に向けて)肘を曲げて待ちます。そして体の正面でボールの勢いを吸収するようにキャッチしたら、キャッチしながら体を後方へ回します。
 気をつけてほしいのは、ボールを取る/腕を後ろに引く(手を耳に近づける)/投げるというように、動作が途切れてしまわないようにすることです。「運動連鎖」がとても大切で、すべてがうまく流れると、「ピュッ!」と必ずいいボールが飛んでいくのでわかります。年齢、性別に関係なく、人間が本来もっている動作を引き出していくことが目標。この動作こそ、サービスそのものです。

動作が途切れないように軽くステップワークを入れながら、リズミカルに行う。ボールをキャッチする人は必ず両手を体の前に出し、飛んできた(転がってきた)ボールの勢いを吸収しながら拾い上げ、運動を続けて体を後方へ回す

肘を後ろへ高く引くようにすると、利き手の位置が顔の前になる。これがテークバックであり、トスアップの動作にもつながる。サービスのトスアップは体を回しながら、ボールを横~斜め前から上げることになる

足で地面をしっかりつかみ、下半身からのエネルギーを上半身へ伝える。テークバックからフォワードスイングへの切り返しでは腰を切る。すると続いて、肩が回り、肘が出て、腕が伸びながら回って、ボールへエネルギーが伝わる。指先からボールが離れてもしっかり腕を回し続けること

サービスの動作方向は(右利きの場合)右斜め上方向。キャッチボールを行っているときは正面を向いて、同じく正面に向かって動作するが、サービスに転換する場合には(クローズドスタンスにして)、斜め上方向に向かって行うとサービスになる。下の写真はキャッチボールの様子を斜めに回転させたもの。サービスはこういうイメージなのだ!

テニスのサービスはクローズドスタンスで、右斜め上(空)に向かって動作を行う。野球の投球はスクエアスタンスで、正面のキャッチャーに向かって動作を行う

「もしもダルビッシュ選手がボールではなくラケットを持ち、クローズドスタンスで、右斜め上方向に向かって動作をしたら…ビッグサーバーになると誰もが想像できるはず!」

サービス動作は投球動作と同じ、基本的にひとつ。このひとつの動作を徹底的に追求することにより、再現性の高い動作、打法を得ることにつながる。この打法を使い(体の傾きをほんのわずかに変えて)「七変化サービス」をつくれば、レシーバーは簡単にサービスを読めず、レシーブ力を下げることになるのだ

 ゴロのボールを拾い上げながら体を後方へ回したあと、(肘を後ろに高く引くように)テークバックすると、手の位置は顔の前になります。写真を見ながらイメージしてください。

 手の位置を変えずに“腰を切る”と、肩が回り、肘が前に出ます。これは電車のつり革につかまっているときに、電車が急停車して体が回り、肘が前に出たような感じです。この動きから、スイングはみるみる加速していきます。そして肩が回り、肘が出て、腕が伸びながら回り、その途中でサービスのインパクトを迎え、投球・打球後はさらに腕が回り続けます。これが正しい運動連鎖です。

参加者の皆さん

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