ジョコビッチがオーストラリアン・オープンの観客を見て「胸が一杯になった」

写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)が開幕し、初日は男女シングルス1回戦が行われた。

 多くの観衆の前でプレーするのは非常に久しぶりのことだったからか、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が持ち前のショーマンシップを随所で披露した。

 トップシードのジョコビッチは初日のロッド・レーバー・アリーナ最終試合でジェレミー・シャルディ(フランス)を6-3 6-1 6-2で下し、9度目のタイトル獲得への挑戦を開始した。

 1万5000人収容のスタジアムの3分の1ほどが埋まっていたアリーナでのオンコートインタビューで、「スタジアムにふたたび観客がいるのを見て、胸が一杯になったよ。ここ12ヵ月で見た中で、もっとも多くの観客だった。今夜の皆さんの応援に、心から感謝している」とジョコビッチは話した。

 月曜日のメルボルン・パークの観客動員数は3つのゾーン、昼の部と夜の部を合わせて合計1万7922人だった。昨年のオーストラリアン・オープン初日に詰めかけた6万4387人に比べればかなり少ないが、それでもそれ以降のどのグランドスラム大会での観客数よりも遥かに多い。

 新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック最中のテニスにとって厳しい1年のあと、センターコートで初戦をプレーした大坂なおみ(日清食品)から始まって、セレナ&ビーナスのウイリアムズ姉妹(アメリカ)、別のアリーナでその日を終えた気まぐれな地元の人気者ニック・キリオス(オーストラリア)まで、この初日を通してプレーヤーが異口同音に繰り返したのが「来てくれてありがとう!」だった。

 ジョコビッチは8度栄冠に輝いた「このコートと現在進行中の恋愛関係にある」と言ったが、キリオスは3番目のアリーナでこの日を締めくくった。こちらのコートでは礼儀正しい拍手は常に、カジュアルなどよめきや口笛の次にくる。キリオスはこの日、予選勝者のフェデリコ・フェレイラ シルバ(ポルトガル)を6-4 6-4 6-4で退けた。

 1年ぶりのグランドスラムでの試合を終えたキリオスは観客に、「正直に言って、君たちが大騒ぎしていることが普通だと感じるんだ。また見ることができてうれしいよ。こんなふうに続けられるよう願おうじゃないか」と語った。

 ご存じのように、ジョコビッチとキリオスは好き合ってはいない。彼らは何ヵ月も嫌味の言葉を交わし合ってきたが、今週もさらにいくつかのやり取りがあった。

 通常ならコート間の道は人でごった返すが、この日は比較的閑散としていた。かつてグラウンドコートのファンたちを涼ませるために使われていた霧状の水を放つ巨大な扇風機の代わりに、消毒ステーションが各所に配置されている。この曇った比較的涼しい日、その送風機は必要なかった。

 観客数は働いている人々がナイトセッションを観るためにやってきたとき、数を増すことになった。

「最初の試合、ナイトセッション。とても特別なものだ。我々が自由になれたことを本当にうれしく思うよ。我々はテニスをプレーしている。オーストラリアに戻って来れてよかったよ。ここは我々にとって幸せな場所、“ハッピー・スラム”だ」とジョコビッチはコメントした。(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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