ノールックショットでポイントゲットのセレナがポタポワに勝利 [オーストラリアン・オープン]
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は次の試合で、背中にネットを向けてショットを見ずに肩越しに打つランニングショットをまた打つことに成功するかもしれない。しかしメルボルンの郊外で新型コロナウイルス(COVID-19)感染者のクラスターが起きたため、そのようなショットに感嘆の拍手で応えて歓声を送る観客たちはもうそこにいないだろう。
それはセレナが金曜日にそのマジックを使って20歳年下の相手に対してカムバック勝利に突き進んでいる間に、ビクトリア州政府がホテルでの感染対策として5日間のロックダウンを発表したからなのである。
オーストラリアン・オープンは開催を続けることを許されたが、土曜日からは観客なしで行われることになった。
パンデミックによりウィンブルドンが中止となり、USオープンが無観客開催を余儀なくされ、フレンチ・オープンは1日わずか1000人の観客で我慢しなければならなかった。しかしビクトリア州政府はオーストラリアン・オープンで、収容人数の50%に当たる最大1日3万人の観客動員を許可した。
しかしもはや、そうではなくなったのだ。
「皆にとって、厳しい数日になるでしょうね。でも潜り抜けられるよう願っているわ」とセレナはアンフォーストエラーを25本も犯したにも関わらず19歳のアナスタシア・ポタポワ(ロシア)を7-6(5) 6-2で倒したあとにコメントした。
「理想的ではないわね。ここ数日は特にここで、ふたたび観客の前でプレーできて本当に楽しかったわ。本当に素敵だったの。でも結局のところ、私たちは最善を尽くさないよいけないのよ。大丈夫になることを願うばかりだわ」
前回大会の初戦でセレナはこの日と同じポタポワと対戦し、わずか3ゲームしか落とさなかった。しかしそのあと3回戦で番狂わせに遭遇し、メルボルン・パークではここ14年でもっとも早期の敗退を喫した。
グランドスラム大会のシングルスで獲得した23のタイトルのうち7つをオーストラリアで獲ったセレナは今回もその段階(3回戦)の第1セットで劣勢に立たされ、ポタポワが5-3から自らのサービスゲームを迎えた。しかし、2016年ウィンブルドンのジュニアの部チャンピオンであるポタポワはそのゲームで、セットポイントでの2本を含む5度ダブルフォールトを犯してしまった。
そのあともセレナはタイブレークで一時3-5とリードされたが、次の4ポイントを取って逆転した。最後のポイントはラリーが続いたが、21本目でポタポワがフォアハンドをネットにかけた。
「私はこのようなステージでの経験がまだ浅いわ。あれは絶対的にメンタルの問題だった。考え過ぎて無理をしてしまい、ボールを強く打ちすぎていたわ」とポタポワは振り返った。彼女は肋骨の痛みで呼吸がしずらくなったため、第2セットの途中でトレーナーを呼んだ。
「セレナに敬意を表すわ。彼女は挽回した。彼女は諦めなかった。彼女はすべてのポイント、すべてのボールのために戦い続けていたわ」と世界ランク101位のポタポワは語った。
ポタポワは第2セットの出だしにブレークしてふたたびリードしたが、セレナが劣勢から放ったロブが効果を発揮して直ちに追いついた。ネットにおびき出されたあとにロブを上げられたセレナは背走して何とかラケットをボールに当ててコート内に入れたが、ポイントを失うと確信した39歳のセレナは動きを緩めて笑みを浮かべた。しかしポタポワはサービスライン付近で高く跳ねたボールをグラウンドスマッシュでネットに打ち込み、そのポイントが自分のものになったと気づいたセレナからは笑いが漏れた。
「あれは素晴らしいポイントだったわ。すごく美しい」とポタポワはAP通信とのビデオインタビューの際に笑みを浮かべながら話した。「それが彼女がやることよ。だからこそ彼女は偉大な選手になったの」。
日曜日に行われる4回戦で、セレナは第7シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)と対戦する。彼女は20歳のアン・リー(アメリカ)を6-3 6-1で退け、グランドスラム自己最高に並ぶ16強入りを決めた。
「この種のプレーヤーたちとプレーするのは常に大きなチャレンジだと考えているわ。でも私はこの対戦で勝利をおさめるため、できる限りのことをするつもりよ。私たちは皆、勝つためにここにいるんですもの」とサバレンカは次戦を見据えた。
サバレンカは昨シーズンの終わりからかなりのペースで勝利を積み重ねており、ここ19試合でマッチ18勝を挙げている。
「彼女はボールを非常に強く打つわね。もの凄いパワーゲームの持ち主だわ。彼女は大柄で…、私みたいに強靭な女性よ」とセレナは22歳のサバレンカについて評価した。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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