バーティの地元優勝への道は準々決勝で終焉、メディカルタイムアウトでの中断挟み流れ失う [オーストラリアン・オープン]

写真はアシュリー・バーティ(オーストラリア)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の女子シングルス準々決勝で、世界ランク1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)は対戦相手がメディカルタイムアウトを取ってコートを離れるまで大きなリードを奪っていた。

 しかしそれから1時間余り経ったあと、第25シードのカロリーナ・ムチョバ(チェコ)に6-1 3-6 2-6で敗れて足早に出口に向かって歩いていたのは第1シードのバーティのほうだった。

 初のグランドスラム大会準決勝進出を決めたムチョバは、1978年のクリス・オニール(オーストラリア)以来となる母国の地でグランドスラム大会を制したオーストラリア人女子シングルス優勝者となるためのバーティの挑戦を終わらせた。

「もちろん、胸が張り裂けそうよ。でも、明日もまた太陽は昇る。勝つか学ぶかの二者択一なのよ。そして今日は、私にとって大きな学習曲線だったということね」とバーティはコメントした。彼女は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを理由に昨年の大半で大会に出場しておらず、2019年に獲ったフレンチ・オープンのタイトル防衛さえを断念する道を選んでいた。

 木曜日の女子準決勝は、感染拡大を防ぐためにメルボルンで行われた5日間のロックダウンの間にビクトリア州政府に課せられた規制がほぼ1週間ぶりに解かれるセンターコート最初の試合でもある。

 大会ディレクターのクレイグ・タイリー氏は水曜日、大会の残り期間4日間の観客数はロッド・レーバー・アリーナの許容量の半分に当たる1日最大7477人になるだろうと発表した。

 ムチョバの準決勝の対戦相手は、第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)に決まった。ブレイディはこの日、同胞で友人のジェシカ・ペグラ(アメリカ)を4-6 6-2 6-1で倒した。ブレイディは昨年9月のUSオープンに続き、2度目のグランドスラム大会準決勝進出を果たしたことになる。

「自分が習慣を作ったと願いたいわ。できれば決勝に進出するという新しい習慣を作れるといいわね」とブレイディはコメントした。

 この試合で彼女はたびたび苦労し、第2セットの途中では怒ってラケットを宙に投げる場面も見られた。しかし初めてグランドスラム大会で3回戦以上に勝ち上がったノーシードのペグラは、試合が進むにつれて疲労の色が濃くなり力を弱めていくように見えた。

「私たちは本当にいい友達同士なの。私は彼女の成功をうれしく思うし、これからも多くの厳しい戦いをし合っていくことになるでしょうね」とブレイディはペグラの健闘を称えた。

 ブレイディはのちにウイルス検査で陽性と判定された人物と同じチャーター便に乗ってオーストラリアに到着したため、大会前に2週間の『ハードロックダウン』を課されていた。

 自身2度目となるグランドスラム大会準々決勝に臨んだムチョバは出だしでお粗末なプレーをし、バーティは6ポイントしか失わないまま瞬く間に5-0とリードした。開始から9ゲームが終わったあと、ムチョバは1本のウィナーしか奪えないまま18本のアンフォーストエラーを犯していた。

 第2セットの早い段階で、彼女は約10分を要したメディカルタイムアウトを取った。それはケイレンなどよりも大きな問題を抱えていると判断された場合、選手が取ることを許されているものだ。

 天気がよく、気温は30度ほどに上がっていたことが要因だったとムチョバは説明した。

「暑さのせいだったのだと思うわ。それにやられて私は少しくらくらして、もう少しで気絶しそうだったのよ。それで私は助けを求めたの」

 医療スタッフは彼女の体温と血圧を測り、彼女がコートを離れる前に氷を与えた。戻ってきたとき、ムチョバはずっといいプレーをするようになった。

「第1セットのように長いラリーにならないよう、私はより速いラリーをするようしたの。それがうまく機能したわ」と彼女は振り返った。

 バーティはムチョバがプレーを中断したことについて、何の文句も言わなかった。

「それは規則で許されていることよ。その時間を取るのは彼女の権利の範囲内だわ。それがこの試合最大のターニングポイントであるべきではない。私は自分がそれをターニングポイントにさせてしまったことにがっかりしているわ」

 今大会でのムチョバにとって、カムバックは定番となっている。彼女はこれに先立つラウンドでも、0-5や0-4でリードされたあとにセットを取っていたのだ。

 バーティに対して彼女はコート内に踏み込み、早いタイミングでストロークを打ち始めた。ベースラインの後ろに押し下げられたバーティはやや決定力を欠き、不安定になり始めた。

 試合のある時間帯に、ムチョバは9ゲーム中8ゲームを取って流れに乗った。バーティは37本のアンフォーストエラーとともに試合を終え、最後の2セットで4度サービスゲームをブレークされた。

「私は無理して、強く打ち過ぎていた。いくつかの重要な瞬間に、あまりにも多くの勿体ないエラーでポイントを与えてしまったわ」とバーティは敗因を語った。(C)AP(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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