最後にケイレンを起こしながらもメドベージェフがルブレフを倒す「本当に暑い日だった」 [オーストラリアン・オープン]

写真は試合終了後にトレーナーを呼んでマッサージを受けるダニール・メドベージェフ(ロシア)(Getty Images)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第4シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)が第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を7-5 6-3 6-2で倒した試合の間、どれほど不快なまでに暑かったかの証拠がこれだ。勝者は立ち上がってコートでのテレビインタビューに臨む前、ケイレンがきていた左腿にマッサージを受ける必要があったのである。

 よき友人であるルブレフを下してキャリア3度目のグランドスラム大会準決勝に駒を進めたメドベージェフは、昨年から進行中の連勝記録を「19」に伸ばした。

 サービング・フォー・ザ・マッチの最後の3ポイントでメドベージェフは左脚を動かすのに苦労していたことを明かし、ルブレフもまたケイレンを起こしていたのが分かったと話した。第2セットの重要な時間帯でルブレフはコートサイドのタオルボックスのところに行き、息をつくために日陰のところで体を休めた。

「僕らはいつも、彼はデュラセル(長持ちが売りの電池メーカー)とかの電池みたいだと言って彼のことをからかっているんだよ。僕は何とか彼を疲れさせることができたようだね。今日は今大会で初めての本当に暑い日だった」とメドベージェフは安堵の表情を浮かべた。

 ロシア勢対決のこの準々決勝は2時間ほどで終わったが、それでも非常に長いラリー――あるポイントではサービスを含めて44のラリーが交わされていた――と左右だけでなく前後の動きを伴う苦しいものだった。午後の太陽が照り付け、気温は30度に達していた。

「いくつかの信じられないようなラリーがあった。ポイントのあとには呼吸するのが辛かったよ」とメドベージェフは振り返った。彼は2019年USオープン決勝でラファエル・ナダル(スペイン)に敗れはしたが準優勝し、昨年のニューヨークでも準々決勝でルブレフを倒して4強入りしていた。

 金曜日のナイトセッションで行われる準決勝で、メドベージェフは第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と対戦する。チチパスは同日の最終試合で、第2シードのナダルに対して2セットダウンから挽回して3-6 2-6 7-6(4) 6-4 7-5のスコアで逆転勝ちに成功した。

 もうひとつの男子準決勝は、世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と世界ランク114位で予選勝者のアスラン・カラツェフ(ロシア)の顔合わせとなる。今回初めてグランドスラム大会本戦に出場した27歳のカラツェフは、プロ化以降の時代で初のグランドスラム大会で準決勝に至った唯一の男子選手となった。

 カラツェフとメドベージェフは、同じグランドスラム大会でふたりのロシア人が準決勝に進出するという快挙を成し遂げた。このようなことは、長いテニスの歴史を振り返っても3度しか起きていない。

「驚くべきだ。信じられないくらい凄いことだよ」とメドベージェフはカラツェフのここまでの快進撃に賛辞を送った。

 メルボルン・パークでの準々決勝でロシア勢対決を実現したメドベージェフとルブレフは、お互いに子供の頃からよく知る仲だった。現在25歳でルブレフより2つ年上のメドベージェフは、プロになってからのふたりの対戦でプレーしたすべてのセットを取って常に勝者になっていた。メドベージェフは多彩なプレーを織り交ぜるプレースタイルを持ち、198cmと大柄ながらよく動いてコートを非常にうまくカバーする。

「僕らはこれから何年にも渡って何度も対戦していくことになるだろう。僕はそう願っているよ。だから少なくとも1度は僕にもチャンスがあるはずだ」とルブレフは語った。

 今回も第1セット5-5までは互角だったが、そこからメドベージェフがキープして先行すると続くゲームではルブレフの犯したフォアハンドとバックバンドのミスにも助けられ、ラブゲームでブレークしてセットを取った。

 もうひとつの鍵となる時間帯は、第2セットの半ばに訪れた。メドベージェフが3-2リードのデュースの場面でルブレフがサービスを打ってから、お互いの肉体に多くの負担をかけることになった44本のラリーを交わしたのだ。最後のショットでメドベージェフがフォアハンドをミスしたため最終的にそのポイントを取ったのはルブレフだったが、彼はそのあとエネルギーを搾り取られてしまったように見えた。

 少し息をつくため、ルブレフが初めて休憩したのはそのときだ。そのあとのコートチェンジで彼はどすんと体を落とし、公園のベンチで昼寝をしているかのように頭をガクンと落とした。

 何とかキープして3-3と追いついたルブレフは、次のゲームで3つのブレークポイントを掴んだときにそのセットの主導権を握ることができたかもしれなかった。しかしメドベージェフは決意を固め、素晴らしいディフェンス力を発揮してそのピンチを脱することに成功した。

 これでグランドスラム大会の準々決勝で5戦全敗となったルブレフは、「もちろん、メンタル的には厳しかったよ。集中力を落とせないと常に感じさせられるんだからね。少しでも気がそれてしまったら、それで終わりだよ」とコメントした。

 第3セットの前にロッカールームに行ったルブレフは、シャワーを浴びて体を冷やそうとしたかのように濡れた髪で戻ってきた。それで彼の気分は幾分よくなったかもしれないが、結果を変えるには至らなかった。

「僕のテニスは彼のスタイルとかなり相性がいいんだ。彼のことはずっと昔から知っているからね。だから僕は彼の驚くべきビックショットをどうやったら無効化できるを知っているんだよ」と言ってメドベージェフは笑顔を見せた。(C)AP(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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