ルブレフがナダルからの初勝利をクレーコートでマークし準決勝へ [モンテカルロ・マスターズ]
第2セット3-1からブレークポイントを握っていた23歳のルブレフは、ナダルに対してより圧倒的な勝利をおさめていたかもしれなかった。ピンチを凌いだナダルは苦労しながらも奮闘して最終セットに持ち込み軌道修正できたかに思われたが、34歳のナダルが非常に疲れているように見えた第3セットの出だしでルブレフがすぐにブレークを果たした。
「彼のような素晴らしい選手と対戦したとき、自分がいいプレーをしなければ負けるのは当然のことだ。彼は素晴らしいプレーをしたし、アグレッシブだった。彼はよくやったよ」とナダルは勝者を称えた。
最初のマッチポイントでパワフルなフォアハンドのウィナーを決めたルブレフは、ナダルからの初勝利を彼がもっとも得意とするサーフェスでマークした。世界ランク3位のナダルは、試合を通してルブレフの武器である強力なフォアハンドを封じることに苦労し続けた。
「何と言ったらいいのかさえ分からないよ。誰もがクレーコートで最高のプレーヤーであると認めるラファの状況に立たされることを想像することもできない。彼にとって、信じられないほど辛いことだろうね」とルブレフはコメントした。
得意のクレーコートシーズンに向けて好調をアピールしていたナダルは2018年以来のタイトル奪還に大きな希望を持っており、木曜日の3回戦で第14シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を一蹴したときには周囲もそう考えていた。
しかしルブレフに対する試合では状況が一変し、2時間半の戦いでナダルは打ちのめされた。ナダルは試合を通して7本のダブルスフォールトを犯し、15本のブレークポイントを与えて7度サービスゲームを落とした。
非常に攻撃的にプレーしたルブレフは、第1セットで早くもナダルのリズムを崩した。そのセットでナダルは48%しかファーストサーブを入れることができず、5度のダブルフォールトとアンフォーストエラー13本などミスを量産した。
「今日の僕はサービスに大きな問題を抱えていた。練習では問題なかったから、どうしてそうなったのかは分からないんだ。でも終わってみれば、今日はサービスが途轍もなくひどかった日のひとつだったよ。自信がないときは打つことにしか意識が回らず、どうのように打とうかについては考えられなくなるんだ」とナダルは振り返った。
第2セットの第2ゲームまでには、ナダルは怒って自分を叱りつけたりボールを荒々しく打ちつけたりする姿を見せた。これはナダルにしては非常に珍しく、動揺した様子を露呈したシーンだった。
同じセットの第4ゲームでルブレフがブレークポイントをセーブしたとき、ナダルは腰に手を当てて困惑した表情で立っていた。それから彼は次の自分のサービスゲームをキープするのに11分を費やし、ルブレフが4-1とリードを広げることを何とか阻止した。
フレンチ・オープンを13度制したナダルはそこからフィジカル勝負でルブレフにミスを強い、第10ゲームをブレークしてセットオールに持ち込んだ。しかしルブレフはそのまま失速せず、ライジングスターと呼ばれる理由を示して見せたのだ。
第3セットの出だしにブレークしたルブレフは、次のゲームで35本続いたラリーを制した。ナダルは珍しく膝に手を当てて前屈みになる姿を見せたが、何とか踏ん張りブレークバックして1-1と追いつく意地を見せた。しかし消耗したナダルにそれ以上打つ手はなく、ルブレフが引き離してキャリア最大の勝利に向けて突き進んだ。
準々決勝で敗れ、コートをあとにするラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)
ロシア代表の一員として母国をATPカップで世界一に導いたあと、ルブレフはオーストラリアン・オープンで8強入りした。その後も彼は先月のロッテルダムを制し、ここ7ヵ月で4つ目のタイトルを獲得した。ロッテルダム以来、彼はこのモンテカルロを含めて4大会連続で準決勝に進出したことになる。
グランドスラム大会を20度制したナダルを打破したルブレフは次のラウンドで、2019年チャンピオンで第15シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-4 6-3で破って勝ち上がったノーシードのキャスパー・ルード(ノルウェー)と対戦する。
「キャスパーは非常にいいプレーをしているよ。彼のことはずっと昔から知ってるんだ。今日は彼のほうが早めに試合を終えたから、僕は出来る限り回復しなくちゃいけないね」と22歳のルードと同年代であるルブレフは次戦を見据えた。彼はここまでのところ、ツアーレベルではルードに対して3勝0敗とリードしている。
前のラウンドで敗れていたノバク・ジョコビッチ(セルビア)にナダルとフォニーニが合流し、ベスト4の顔ぶれの中に元チャンピオンがいなくなった。
昨年の大会は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりキャンセルされたが、今年は無観客での開催ながら男子ツアーのカレンダーに戻ってきた。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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