2020年決勝の雪辱を期すジョコビッチが昨年より1ラウンド早くナダルとのリマッチに臨む [フレンチ・オープン]
ストレート勝ちまであと2ポイントと迫っていたノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ラファエル・ナダル(スペイン)に対する準決勝に向けて順調に進んでいるように見えていた。しかしそこから状況は変わり、ジョコビッチは多くのことに対処しなければならなかった。
第1シードのジョコビッチは続けざまにアンフォーストエラーを犯し、逞しいマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)にタイブレークを取られてしまった。それから第4セットに突入するとナイトセッションの観戦を許された観客たちがフランスの夜間外出禁止令のために23時に退場しなければならなくなり、21分半の中断を余儀なくされた。
再開後にジョコビッチは顔から転び、身体を支えようとしてコートについた左の掌をケガして出血した。それでもジョコビッチは踏みとどまって前に進み、第9シードのベレッティーニに対して6-3 6-2 6-7(5) 7-5で勝利をおさめた。試合は午前0時の少し前に終わり、ジョコビッチは自分のチームのほうに向けて雄叫びを上げた。
この日のジョコビッチは2019年USオープン準決勝進出者のベレッティーニに対して第3セットのタイブレークで5-4とリードし、ストレート勝利にあと一歩と迫っていた。しかしそこまでの1時間半でアンフォーストエラーが14本しかなかった彼は縮こまったフォアハンドに続いて浅くなったリターンを叩いたバックハンドもネットにかけ、2つのミスが続いてそのセットを落としてしまった。そしてもっと長く試合を観たがっていた観客たちは、大声を上げてそれを歓迎した。
1万5000人収容のスタジアムに許される観客数は大会の最初の5日の間は1000人に限られていたが、水曜日からは上限が5000人に引き上げられた。ジョコビッチとベレッティーニの試合は1時間前倒しとなって20時に始まり、それ以前には21時だった夜間外出禁止令の門限は23時に変わっていた。
観客たちはウェーブを行っていい雰囲気を作り、特に観客を帰さなければいけない時間がやってくると主審のジェームズ・ケタボンヌ氏はにわかに忙しくなった。
夜間外出禁止令の時間になると観客からはブーイングが起こり、何人かはあえてゆっくりと動いた。ジョコビッチと特に観客からの応援に勇気づけられていたベレッティーニは荷物をまとめ、試合再開まで一時ロッカールームに退散した。
身長196cm体重95kgと恵まれた体格のベレッティーニは、フルパワーでサービスとフォアハンドを叩き込んだ。ジョコビッチのアプローチはより繊細で、コートカバーリング能力をベースにタッチとアングルを使ってそれに対抗した。
対戦予定だった第8シードのフェデラーが棄権したため、ベレッティーニは4回戦をプレーしていなかった。一方のジョコビッチは前のラウンドで、19歳のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)に対して最初の2セットを落としていた。
ベレッティーニは第1セットで3つのブレークポイントをものにすることができず、そのあとは1度も同じようなチャンスを掴むことができなかった。とはいえジョコビッチも試合を締めくくることに失敗し、仕事を完了するのに少し余計に働かなければならなかった。
この結果で彼は金曜日、お馴染みのライバルに対する前年決勝のリマッチに1ラウンド早く臨むことになった。ナダルのロラン・ギャロスでの戦績は105勝2敗だ。
「僕らはお互いをよく知り合っている。この手の試合ではどんなことも起こり得るというのは皆が知っていることだよ」とナダルはコメントした。
ナダルのフレンチ・オープンにおけるセット連取の記録は水曜日に終わったが、彼が目指している大会14勝目タイトルと21回目のグランドスラム制覇の可能性は手つかずのままだ。
鞭打つようなフォアハンドを叩き込み、拳を突き上げて「バモス!」と叫びながら、第3シードのナダルはここ2年で初めてセットを落としたことを受け流して第10シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を6-3 4-6 6-4 6-0で倒した。
パリで準決勝進出を決めたのは、ナダルが14回目でジョコビッチは11度目となる。これはジョコビッチにとってグランドスラム大会で40回目の準決勝進出で、ナダルにとっては35回目だ。ナダルとロジャー・フェデラー(スイス)は現在グランドスラム獲得タイトル数「20」で並び、ジョコビッチが「18」でそれに続いている。
準決勝はこのふたりのスーパースターにとって58回目の対戦となり、対戦成績はジョコビッチが29勝28敗で辛うじてリードしている。しかしグランドスラム大会に限ればナダルが10勝6敗で勝り、フレンチ・オープンでは7勝1敗とはっきりリードしている。
もうひとつの準決勝は、第5シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)という若い世代の顔合わせとなる。(APライター◎サミュエル・ペトレキン&ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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