フレンチ・オープン決勝で敗れたチチパスが学んだ教訓「僕は自分のテニスを信じている」

写真はフレンチ・オープン男子シングルス表彰式でのノバク・ジョコビッチ(セルビア/右)と準優勝のステファノス・チチパス(ギリシャ)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月30日~6月13日/クレーコート)の大会最終日は、女子ダブルスと男子シングルスの決勝が行われた。

 ステファノス・チチパス(ギリシャ)は初めてのグランドスラム決勝が終わったとき、コートサイドのベンチに身を沈めてタオルに顔をうずめた。

 彼をそうさせたのは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)だった。

 決勝でのチチパスは大きなリードを築き、フレンチ・オープンにおける番狂わせの勝利に向かって突き進んでいるように見えていた。しかし第1シードのジョコビッチはあり得ないようなカムバックをやってのけ、最終的に6-7(6) 2-6 6-3 6-2 6-4で第5シードのチチパスを退け19回目のグランドスラム制覇を成し遂げた。

「僕が今日学んだのは試合を終わらせるためには3セットを勝ち取らなければならないのであり、2セットではないということだ。2セットだけでは何の意味もないんだ」とチチパスはコメントした。

 確かにジョコビッチに対しては、特にそうだ。彼は今大会で2度も2セットダウンを覆しており、キャリアでは6度に渡ってそれに成功していた。彼は2セットを落としたあとにトイレ休憩を取り、そのあとには最後の3セットで一度もブレークポイントを与えないまま試合を支配した。

「あそこで何が起きたのか分からない。でも彼は突然まったく違うプレーヤーのようになって帰ってきたんだ。彼は本当にいいプレーをし、僕に何の余地も与えなかったよ」とチチパスは振り返った。

 この大逆転は驚くべきものだった。何故ならチチパスは22歳でジョコビッチより12歳も若く、彼は最初の2セットでより活力があるように見えていたからだ。

 ジョコビッチはチチパスがいいスタートを切ることを想定し、そのための心構えをしていたと明かした。

「彼は初のグランドスラム優勝杯を手にするために戦うんだ。失うものはあまりない。だから彼が恐らく非常にいいスタートを切るだろうと分かっていたし、実際にそうだった」とジョコビッチは語った。

 しかしジョコビッチは調子を取り戻して試合が進むにつれてその動きはよくなっていき、そしてチチパスのテニスは崩れていった。チチパスのグラウンドストロークは勢いがなくなり、最後のほうになると彼の表情には疲労の色が濃くなっていた。

「リズムがないと感じた。何故なのかはよく分からない。出だしに本当にいいリズムを掴んでいいショットを打ち、コートでの動きが完璧だったことを考えると非常に奇妙だったよ。僕は突然寒気を感じ、それらを失ってしまった。ちょっぴり自分のテニスを失ってしまったように感じられたんだ。本当にそれが何故なのかを理解できたらいいのにと思っているよ」とチチパスは悔しさを滲ませた。

 チチパスは第3セットのあとに腰の治療を受けたが、それが問題だった訳ではないと明言した。彼はラファエル・ナダル(スペイン)が優勝した2008年以降でもっとも若いフレンチ・オープン決勝進出者であり、グランドスラム大会で優勝した最初のギリシャ人になることを目指しているところだった。

「今日の試合に敗れはしたが、僕は自分のテニスを信じているよ。僕は間もなくその地点に到達できるだろうと心から信じている。僕は今日、もう少しだった」とチチパスは先を見据えた。(C)AP(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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