「東京オリンピック2020テニス競技」が開幕、早くも暑さが大きな問題に
1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)が開幕し、初日は男女単複の1回戦が行われた。
フレンチ・オープン準優勝者のアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)はメディカルタイムアウトの間にエアチューブを掴み、コートサイドの容器に氷がないことに苛立ちを見せた。
モナ・バートル(ドイツ)はイガ・シフィオンテク(ポーランド)に敗れた試合で太陽の眩しさに悩まされ、トスを上げた際にボールを見ることができなくなったことで10本のダブルフォールトを犯した。
オリンピックのテニス競技が土曜日に始まったとき、暑さと湿気はあっという間に大きな問題となった。気温は34度にまで上がり、湿気のせいで体感温度は38度以上だった。
「いい気分でないわ。だからまったく楽しめなかった」とパブリウチェンコワは振り返った。
それでも第13シードのパブリウチェンコワはサラ・エラーニ(イタリア)を6-0 6-1で下し、2020年ロラン・ギャロス女王で第6シードのシフィオンテクはセンターコートの開幕試合で世界ランク172位のバートルを6-2 6-2で退けた。
一方で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は世界139位のウーゴ・デリエン(ボリビア)に6-2 6-2で勝ったあと、体調を崩した様子は見せなかった。
ジョコビッチは同じ年に4つのグランドスラム大会すべてのタイトルとオリンピック男子シングルスでの金メダルを獲り、『ゴールデンスラム』を成し遂げる最初の男子プレーヤーとなることを目指している。
コートの半分が影に覆われた遅めの時間帯にプレーしたジョコビッチは、「絶えず水分が足りないと感じる。空気が循環していないよ」とコメントした。
第2セットの途中でパブリウチェンコワがチェンジコートの際にスカートの上にアイスバッグを置いたとき、彼女の心に疑念が浮かび始めた。それから彼女は、ベンチの横から冷たい空気を吹き付けるチューブの調整に四苦八苦した。
「ただベンチの側にあって、自分に向かって空気がくるよう誰かがそれを持っていないといけないから正しいポジションを見つけるのが容易ではないのよ」と彼女は不満を漏らした。
コートサイドの容器からは氷が解けだし、パブリウチェンコワは「アイスパックやアイスタオルを取るたびに、それがまったく冷たくないの。主催者は暑さを予想していたはずだけど、私たちのために100%の準備ができていなかったのよ」と指摘した。
試合後に記者たちと話す前、パブリウチェンコワは回復するために1時間半以上を必要とした。
「少し気分がよくなったけど、今は酷い頭痛に見舞われているの。彼らは少し凌ぎやすくするために何かができるはずだと思うわ」と彼女は話した。
あるときバートルは、サービスのときに完全にボールを見失ってしまった。
「太陽で目が眩んでしまったの。もはや見えなくなってしまったのよ」とバートルは説明した。
パブリウチェンコワと同じくロシア五輪委員会(ROC)を代表してプレーする第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)はアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン)を6-4 7-6(8)で倒したあと、この日のコンディションを「これまで体験した中で最悪の暑さだった」と表現した。
「でも、プレーしなければならない。それがオリンピックだ。メダルを目指しているんだ。暑さについて文句を言うためにここにいるんじゃない」とメドベージェフは語った。
メドベージェフは日中の暑さを避けるため、主催者はすべての試合を夕方以降の遅い時間帯に移したらどうかと提言した。
「大会の途中に彼らが何かを変えるとは思わないけど、それが可能な策だと思うよ。コートチェンジの間が1分しかないというのはジョークだ。他の大会と同じように1分30分であるべきだ」
世界ナンバーワンのジョコビッチもこれに同意した。
「率直に言って、理解できない」とジョコビッチは言い、それから時差があるため遅いスタートのほうがアメリカやヨーロッパのテレビ放送局にとってよりよいはずだと付け加えた。
もしプレーヤーがリクエストすれば、第2セットと第3セットの間に10分間の休憩を取ることが可能となる酷暑ルールがある。また内部の諮問グループがコンディションが人体にとって危険と判断した場合には、プレーが中断されることもある。そのような判断が下された場合には、開閉式の屋根を閉じたセンターコートでプレーが続けられることもあり得る。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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