最終聖火ランナーの栄誉に刺激を受けた大坂が3回戦へ [東京2020]

写真は大坂なおみ(日清食品)(Getty Images)


 1年遅れでの開催となる世界的なスポーツの祭典「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)の大会3日目は、男女単複の2回戦が行われた。

 大坂なおみ(日清食品)がメンタルヘルスの問題ため2ヵ月の休養を取ったときにも、彼女のポテンシャルについては何の疑問もなかった。彼女がグランドスラム大会で4つのタイトルを獲り、東京オリンピックのサーフェスでもあるハードコートでは特にそうだ。

 フォアバックの両翼から思いのままに強打を叩き込み、第2シードの大坂は世界ランク49位のビクトリヤ・ゴルビッチ(スイス)を6-3 6-2で下してベスト16に進出した。

 それは前日にジェン・サイサイ(中国)を圧倒したときと同じような形で進んだ試合であり、開会式で聖火台に火を灯すという究極の栄誉を手にしたあとの勢いを延長させるものでもあった。

 3月に最終聖火ランナーを頼まれた大坂は、その任命にプレッシャーは感じなかったと話した。

「ワクワク感のほうが大きかったです。それは義務感のようでもあり、自分が成し遂げたいと強く願う何かでもありました」と大坂は語った。

「それは子供の頃にテレビで観るようなものです。オリンピックのときは家族と一緒にテレビの周りに集まって開会式を観る…。多分おじいちゃんとおばあちゃんは泣いていたと思うし、もちろん母も泣いていました」

 あとふたつ勝てば、大坂は初のオリンピックでさらなる栄誉――メダル――を狙う位置に立つことになる。

「間違いなく私にとって大きな意味を持つことだけど、それは過程なのだということは分かっています」と大坂はコメントした。

「どの大会でプレーしても国旗は私の名前の横にあるけれど、このスケールはずっと大きいように感じます。それは私が(2013年にプロ転向して以来)8年の間も待っていたものです」

 うだるような暑さだった最初の2日間よりも風があって涼しく雲がかかったコンディションの中、大坂は29本のウィナーを決めて11本しかアンフォーストエラーを犯さなかった。それに対してゴルビッチは、ウィナーが14本でアンフォーストエラーは21本だった。

 恐らくより多くを語っているのは、大坂がウインブルドンで準々決勝に進出したばかりの選手を倒すのに65分しか必要としなかった事実だろう。

 リターンに戻る前に左腿を叩いて気合を入れた大坂はフォアハンドをクロスに叩き込んで最初のブレークに成功し、第1セットで5-3とリードした。第2セットで4-0とした大坂は、主導権を握ったまま試合を締めくくった。

 他の競技と同じく有明コロシアムは無観客だったが、この試合のカメラマンエリアは大坂のすべての動きを撮影しようとするカメラマンたちでこれまでになく混雑していた。

 最初のマッチポイントで大坂は強烈なセカンドサーブをサービスボックスのTゾーンに打ち込み、それから前方に走るとゴルビッチの弱いリターンをインサイドアウトのフォアハンドで決めた。

 カメラマンたちがシャッターを押す中でこの日の仕事を終えた大坂は左の拳を突き上げ、笑みを浮かべてコート後方の自分のサポートチームに視線を向けた。

 世界2位の大坂は次のラウンドで、ミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)を6-1 6-2で破って勝ち上がった2019年フレンチ・オープン準優勝者のマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)と対戦する。

 同日のセンターコート第3試合では、第3シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)がドナ・ベキッチ(クロアチア)に4-6 6-3 6-7(3)で敗れる番狂わせが起きた。それ以外にも2020年ロラン・ギャロス女王で第6シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)がパウラ・バドーサ(スペイン)に3-6 6-7(4)で、リオデジャネイロ五輪銅メダリストで第10シードのペトラ・クビトバ(チェコ)はアリソン・バン ウィトバンク(ベルギー)に7-5 3-6 0-6で敗れた。

 そのほかの女子シングルスの試合ではウインブルドン準優勝者で第5シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、第7シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、フレンチ・オープン覇者で第8シードのバーボラ・クレイチコバ(チェコ)、第9シードのベリンダ・ベンチッチ(スイス)、第13シードのアナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)、第14シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)、第15シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)らが3回戦に駒を進めた。

 女子ダブルスでは前日にシングルスで敗退した世界1位のアシュリー・バーティ(オーストラリア)がストーム・サンダース(オーストラリア)とのペアでシュー・イーファン/ヤン・ザオシャン(中国)を6-4 6-4で倒し、メダル獲得への望みを繋いだ。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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