ケニンがムグルッサを倒してグランドスラム初優勝「人生で最高の2週間」 [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月20日~2月2日/ハードコート)は大会13日目、女子シングルス決勝。
ソフィア・ケニン(アメリカ)が勝つか負けるかのキーポイントは、次の瞬間にあった。彼女はガルビネ・ムグルッサ(スペイン)に対する第3セット2-2からのサービスゲームで、0-40と劣勢に立たされたのだ。
ケニンはその危機を、見事なやり方で切り抜けた。彼女は続く5ポイントを、すべてウイナーによって連取したのだ。3ポイント連続で決めたクリーンなグラウンドストロークによるダウン・ザ・ラインで追いついたあとサービスエースを決め、最後はフォアハンドでパスを抜いた。ラリーになったポイントは、いずれも11ショット以上の応酬だった。
21歳にしてグランドスラムでの初タイトルを獲得する過程で、ケニンはもはや1ゲームも落とさなかった。ボールを強打するにしろ、赤白青のラケットを落とすにしろ、自分の腿を叩くにしろ、可能な限り感情を露わに表現しながら、第14シードのケニンは次第に力を弱めたムグルッサに4-6 6-2 6-2で挽回勝ちをおさめた。
「これは私の最初のスピーチだけど、ベストを尽くすわ」とケニンはロッド・レーバー・アリーナの表彰式の優勝スピーチで言った。アリーナの屋根は、雨模様のため閉じられていた。
「私の夢が正式に実現した」とケニンは観客に向かって語った。「夢が現実になった。だから、もしあなたたちに夢があるなら挑戦して欲しい。それはきっと実現するから」。
決勝でのケニンは、重要な瞬間に素晴らしいプレーをした。彼女は直面した12のブレークポイントのうち10本をセーブし、手にした6つのブレ―クポイントのうち5つをものにした。
「自分のパフォーマンスはとても満足できるものではなかったわ。…特に重要な瞬間に、自分のショットを打つことができなかった」とムグルッサは悔しさを滲ませた。「彼女は彼女らしいショットを打ち、私はそうではなかった」。
第2セットにトレーナーを呼んだムグルッサは、試合を通して動きが理想的ではなかった。また、自らのサービスでも苦しんだ。ムグルッサはこの試合で、8度ダブルフォールトを犯した。そのうち3つは最後のゲームで、うち1本はマッチポイントで起きてしまった。
「少しエネルギー不足だった」とムグルッサは言い添えた。
かなりの間、ケニンは例えば15歳のコリ・ガウフ(アメリカ)や18歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)のような他のアメリカの若手選手たちほど注目を集めず、見過ごされ、過小評価されていた。今大会でのケニンは、4回戦でガウフを倒して勝ち上がっていた。
もしかしたらそれは、ケニンが身長170cmと比較的小柄だからなのかもしれない。もしかしたら、昨年を次のような経歴で始めたからなのかもしれない。世界ランク50位以下、グランドスラム大会でまだ3回戦を超えたことがい、ツアーレベルでタイトルなし…。
しかしケニンは今、世間の皆からより真剣に受け取られるようになった。
観客席からナーバスな様子で見守っていたコーチでもある父のアレックスとともに、ケニンは2008年以降でもっとも若いオーストラリアン・オープン女王となった。2008年には、マリア・シャラポワ(ロシア)が20歳で優勝を遂げていた。
大会後に更新される世界ランクでケニンは初めてトップ10入りを果たし、7位に浮上する見込みとなっている。彼女は1999年のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)以降で、トップ10デビューしたもっとも若いアメリカ人となった。
「彼女の力を信じなかった人々には、信じなくても然るべき理由があった。彼女はもっとも背が低かったからだ」と父のアレックスは決勝の前日に話していた。「でもありがたいことに、私は彼らが見なかったあるものを目にしていたんだ。なぜって、私は彼女のことを他の人たちよりもよく知っているからね。私はかなり幸せだ。私は正しかったと思う」。
1998年にロシア人も両親のもと、ケニンはロシアのモスクワで生まれた。彼らは1980年代にアメリカのニューヨークに移住したが、娘の誕生で家族とともにいるためロシアに一時帰国していたのだ。数ヵ月後、彼らはアメリカに永住するために戻ってきた。そうしてソフィアはフロリダで育ち、今も変わらずそこに住んでいる。
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