ケニンがムグルッサを倒してグランドスラム初優勝「人生で最高の2週間」 [オーストラリアン・オープン]

 ムグルッサはこの決勝を、より素晴らしい戦歴とともに迎えた。彼女は過去に世界1位だったことがあり、2016年フレンチ・オープンと2017年ウインブルドンで優勝した実績を持っていた。彼女はグランドスラム決勝で、ウイリアムズ姉妹の双方を倒した唯一のプレーヤーだった。

 しかし彼女は昨シーズンの揮わなかった成績のためにトップ30位から滑り落ち、1968年に始まったプロ化以降の時代で決勝に進出した3人目のノーシード選手としてこの試合に臨んだ。

 コートに向かうトンネルの中から、ムグルッサはすでに戦闘モードに入っていた。彼女は試合前のフォトセッションで大きな笑みを浮かべるケニンの横で、微笑みさえしていなかったのだ。

 そして15分後に最初のブレークを果たして2-1とリードしたとき、彼女はストリングを指でいじりながら地下鉄に乗りに行く途中で新聞を脇に挟む通勤者のようにラケットを左腕の下に挟んだのだった。

 一方のケニンは、自分の感情を常に表に出していた。

 あるポイントを落としたあと、彼女はラケットをバウンドさせて足でそれを蹴り、目をぐるりと動かして自分に向かってぶつぶつ言った。ポイントを取ったあとには、こぶしを突き出して「カモン!」と叫んだ。第2セットで5-2としたときには、ボールをつかんで青いコートに叩きつけた。彼女は終わりが近づいたときに、もう一度それをやった。

 全体的にムグルッサはお気に入りの戦術、つまりひたすら強く打つ作戦に執着し、状況によってネットに出た。ケニンはより球種に変化を加え、可能なときにはドロップショットを放った。

 第1セットでムグルッサは最後の2ゲームを取ってリードしたが、そのあと試合の流れは完全に変わった。

 確かにケニンのプレーレベルは上がったが、またムグルッサのほうは落ちていた。彼女のサービスの確率は落ち、彼女のフットワークは問題を抱えていた。

 ブレークを果たして3-1とリードしたケニンは、勝負を第3セットに持ち込んだ。

 そして、問題の瞬間が訪れる。ケニンは第3セット2-2でのカギとなる分岐点で苦境を乗り越えてキープし、それからすぐにブレークを果たして自分の足場をみつけたのだ。

「あれは、非常に重要な瞬間だった」とムグルッサは振り返ったが、それでは言い足りないだろう。

 それから程なくして、ケニンはトロフィーにキスしていた。ロッカールームを出てコートに向かう廊下で、父が彼女の頬にキスするのと同じように。

「これは私にとって、人生で最高の2週間だった。私のチーム、父、これを可能にしてくれた皆にお礼を言いたい。家にいて、たぶん今このスピーチを観てくれている母にも。お母さん、愛してるわ」とケニンは感謝の気持ちを述べた。

「私たちは本当に一生懸命努力を積んできた。だからこれを成し遂げられ、本当にうれしいわ」

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はソフィア・ケニン(アメリカ)
撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録