「まるで魔法みたい」名立たる強豪たちを連破した19歳フェルナンデスがノーシードからグランドスラム決勝の舞台へ [USオープン]

写真はレイラ・フェルナンデス(カナダ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、月曜日に19歳になったばかりのレイラ・フェルナンデス(カナダ)が第2シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)を7-6(3) 4-6 6-4で倒してノーシードからグランドスラム決勝の舞台に駆け上がった。

 試合の出だしにサバレンカは最初の14ポイントのうち12本を取って3-0とリードし、試合を支配しているように見えていた。わずか8分しか経っておらず、ほとんどの観客たちはまだ席に着いていなかった。2万人を超える観客たちがリズミカルな手拍子とともに「レッツゴー、レイラ! レッツゴー!」という叫びに合わせて拳を突き上げ、フェルナンデスを後押しするのはもっとあとになってのことだ。

「私がコートで何をしていようと、観客たちがそれを楽しんでくれていることが凄くうれしいの。そして私もそれを楽しんでいるわ。まるで魔法みたいよ」とフェルナンデスは話した。

 第1セットと第3セットの終盤、勝利を遠ざけたのはサバレンカ自身だった。最後のゲームで彼女はダブルフォールト2本犯してマッチポイントをお膳立てし、それからフォアハンドをアウトした。

「これが私たちが“プレッシャー”と呼んでいるものなのよ」とサバレンカは振り返った。

 しかしどうやらフェルナンデスのほうは、それを感じてはいないようだった。彼女が揺らぐことはなかった。それにここまできて、彼女がうろたえる理由はどこにもない。彼女が持つ落着きは彼女の可能性と同じくらい無限だった。

 これは左利きのフェルナンデスにとって、シード選手に対する4試合連続となる3セットでの勝利だった。最初の勝利は、世界3位でタイトル防衛を目指していた第3シードの大坂なおみ(日清食品)に対するものだった。それから2016年チャンピオンで第16シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)、東京オリンピック銅メダリストで第5シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、世界2位のサバレンカが続いた。

「私ができることには限界がないわ。私はただ、現時点ですべてが上手くいっていることをうれしく思っているの」とカナダに2019年のビアンカ・アンドレスク(カナダ)に続くUSオープンのタイトルをもたらす可能性を持つフェルナンデスは語った。

 フェルナンデスはモントリオールでフィリピン系カナダ人の母とエクアドル人の父の間に生まれ、レイラがジュニアで結果を出し始めた12歳のときにフロリダに引っ越した。彼女のコーチでもある父は今回ニューヨークに来なかったが、自宅から毎日電話でアドバイスを与えている。

 もしかすると彼は娘に、タイブレークでサバレンカに多くのミスを犯させろと言ったのかもしれない。それが第1セットの終りに起こったことだった。サバレンカはタイブレークで2-0としたが、それから完全に道を見失ってしまった。そこでフェルナンデスが取ったポイントはすべて、サバレンカのミスによるものだった。

「彼女が何かをしたとは言えないわ。私が自分自身を崩壊させたとでも言おうかしら」とサバレンカは悔しさを滲ませた。

 第2セットではサバレンカが調子を取り戻し、フェルナンデスは一歩下がった。しかし第3セットに入ると、今度はフェルナンデスが輝くときがきた。

「彼女は今、まるでトップ10プレーヤーのようにプレーしているわ。将来的に、彼女がどれほど優秀になるか見てみましょう」とサバレンカはコメントした。

 土曜日に行われる決勝で、フェルナンデスは第17シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)を6-1 6-4で破って勝ち上がった予選勝者で18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)と対戦する。グランドスラム決勝が10代のふたりで争われるのは、17歳のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が18歳のマルチナ・ヒンギス(スイス)を倒した1999年USオープン以来のこととなる。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

写真◎Getty Images

Pick up

Related

Ranking of articles